バイア・マーレでジャム作り!(ルーマニア)

バイア・マーレでのホスト、アディの家は市の中心部から少し離れた村の中にあります。
なかなか落ち着いた雰囲気の静かな村で、ひと目でここが気に入りました。
今日は月曜日。
もちろんアディには仕事があるので、出勤のついでに車で市内まで送ってもらいました。

アディが家族で経営しているパン屋さん。
バイア・マーレ市内に9つものお店を持つというアディ一家。
なかなか裕福な家庭のようです。
いつも鷹揚な態度をくずさない彼らからは、余裕のようなものを感じました。

アディの会社から市内へは、この線路をまたいで抜けていきます。
踏切なんてありません。
これがルーマニア方式なのか!
なかなかスリルがあって楽しかったです。
私の他にも、たくさんのバイア・マーレ市民がこの線路を横断していました。
日本の国土交通省が見たら大泣きしそうな光景です。

線路を抜けるとそこにはバスターミナルが。
鉄道網があまり発展していないルーマニアでは、このミニバスこそが重要な庶民の足となります。
ただ、外国人観光客へ向けた配慮はありません。
まあ、それが旅のおもしろさでもあるんですけどね。

バスターミナルのとなりには、バイア・マーレの鉄道駅があります。
ここはルーマニア北部の拠点都市のはずなのですが、駅前でもそれほど発達はしていません。
市の中心部でもかなり静か。
ルーマニアはやはり落ち着きます。

まだ体調は回復していなかったので、今日は一日、バイア・マーレ市内を散策します。
アディに教えられた鉱物博物館へとやってきました。
しかし、どうやら今日はお休みのようです。
本音をいうと、あまり博物館には興味がなかったのでほっとしました。
次は郊外にある民俗博物館を目指します。
アディはバスを使うように言ってくれましたが、私はあえて歩きます。
途中、旧市街区のような場所を通ったのですが、近代化されたバイア・マーレ中心部とは違い、なんだかとてもルーマニアっぽくてよかったです。
アディは地図をプリントアウトしてくれた上に、道順を詳細に書き込んでくれました。
おかげで迷わず民俗博物館にたどりつくことができました。

民俗博物館では、ルーマニア各地の伝統家屋を見ることができます。
なかなかいいと思うのですが、本物の木造教会を見た後では、やはりもの足りません。
さっとひととおり見ただけで、すぐに出てきてしまいました。
一日かけてバイア・マーレ市内を見てまわるつもりでしたが、あまりおもしろそうな街ではありません。
公園のベンチで昼寝をして時間をつぶすことにしました。
このトイレには仮設の公衆トイレがあり、無料で使えます。
ヨーロッパではたいていトイレは有料なので、これはとても珍しいです。
ところが、いざ使おうとして、断念してしまいました。
鍵は壊れているし、タンクも見事なまでに破壊されていて、どう考えても水は流れそうになかったからです。
夕方近くまで昼寝をしていると、アディからメッセージが届きました。
仕事を終えた彼は、わざわざ車で公園まで迎えにきてくれ、その後いくつかの支店をまわりました。
そしてその後はいよいよ帰宅です。
今日はアディの家に、親戚の人が集まっているといいます。
ぶどうを収穫して、みんなでジャムをつくるのです。
ジャム作り!
そんな経験したことないぞ。
おもしろそう!

私たちが帰宅したとき、すでにジャム作りは始まっていました。
いったいどうやってジャムは作られるのだろうか。
なんだかわくわくします。

このおじさんはなぜ上半身裸なのか。
ジャムを煮立てる釜は火を焚いているので、とても暑いのです。

おじさんにジャム作りを教わりました。
単純なようでいて、けっこう難しいです。
同じペースでゆっくりとかきまぜないと、火が均等にゆきわたりません。
「だめだ、だめだ。もっと腰をいれろ!」
何度もダメ出しをされてしまいました。
そしてなぜか、
「おっ! いい時計してるな。 俺はセイコーの時計が大好きなんだ。セイコーの時計は最高だ。
その時計、俺にくれよ」
なにを言ってるんだ、このおじさんは。
なんでいきなりあんたにあげなきゃならないんだよ。

ふたを開けるとこんなかんじ。
ぶどうがぐつぐつと煮立っています。
バチバチとあたりに飛び散ります。
おじさんはこれを、「地獄の釜」と呼んでいました。

アディの家のとなりには、果樹園があります。
ぶどうはこの畑で採れた新鮮なものなのです。

ぶどう。
収穫は今日一日では終わらないので、明日も続きます。
人手が必要なので、親戚が集まってみんなで共同作業をするのです。

ジャムを煮るのは主に男性の仕事。
女性はまた別の作業を担当します。
私も体験させてもらいました。

ここでの作業はぶどうをひとつひとつ種を取り除いて、水できれいに洗うというもの。
地味だけど、けっこう大変な作業でした。

アディの家ではさらに鳥も何種類か飼っていました。
まさに自給自足です。
さらに、親戚もそれぞれ別の作物を栽培しているので、みんなで持ち寄れば買い物に行く必要はないそうです。
ルーマニアの生活って、なんだか健康によさそう!

ジャムができあがったので、さっそく試食させてもらいました。
できたてのほやほやなので、湯気がたっています。
アツアツのジャムを食べるのなんて初めてです。
そしてこのジャム、うまいっ!
こんなおいしいジャム食べたことない。
このジャムに比べれば、スーパーで売っているジャムなんて、死んだジャムも同然です。
できたてのジャムというのは、工場でパックされたものとはまったくの別物でした。
こんなの食べた後には、もう既製品なんて食べれません。

今日の作業はもう終わりかと思っていたのですが、そうは問屋がおろしません。
今度は別の色をしたぶどうが運び込まれてきました。
うへえ、まだあるのかよ。
もう腰が痛いんですけど。
しかし、おいしいジャムをごちそうになってしまった以上、作業に参加しないわけにはいきません。

アディのお母さんからお声がかかります。
「ほらほらマサト。いつまで油売ってんのよ。さっさと仕事に戻りなさい。
これが終わるまで、晩御飯は食べれませんからね」
ううっ。
働かざる者、食うべからず。
この法則は世界共通のようです。
まさかルーマニアまで来て、ジャム作りを体験させてもらえるとは思ってもみなかった。
ありがとう、カウチサーフィン。
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