ポチョムキンの階段(オデッサ、ウクライナ)

今朝もリーザが朝食を用意してくれました。
サワークリーム? チーズ?
よくわからないけど、めちゃくちゃ美味しかったです。

オデッサの街を歩いていると、こんな車を見かけました。
持ち主はやはり日本好きなのだろうか。

港の近くには、「愛の橋」というのがあります。
地球の歩き方にも載っているくらいなので、かなりメジャーなスポットなのでしょう。
ここは恋人たちが永遠の愛を誓って、橋に南京錠をかけていく場所なのですが、
現在は橋ではなく、このオブジェに南京錠をかけるように指導されているようです。
というのも、あまりにたくさんのカップルが鍵をかけていくため、その重さを無視できなくなってしまったのです。
このままでは南京錠の重みに耐えきれず、橋が落下する恐れも・・・
サンベルたちからその話を聞いたとき、
「んなアホな。 それくらいで橋が落ちるもんか」
と思ったのですが、この話にはまだ続きがあります。
卒業式などのイベントのある時には、酒に酔った学生たちがこの橋に大挙して押し寄せて、みんなで一斉に橋を揺らすのがオデッサの隠れた習わしなのだとか。
この「愛の橋」、言っちゃあなんですが、かなりちゃちな造りです。
普通に歩行者が何人か歩いているだけでかなり揺れます。
それを酔った学生たちが大勢でゆすったりしたら、いつの日か本当に落ちるかもしれません。
これで私はウクライナのニュースから目が離せなくなってしまいました。

港には数隻の軍艦が見えます。
これらの艦船はもともとはクリミア半島にある軍港を母港としていました。
しかし、かの地は現在ロシアに取られてしまったので、やむなくオデッサに避難しているのだそうです。
その混乱の中、何隻かは寝返ってロシア側についたのだとか。
大丈夫か、ウクライナ?

ついにやってきました、オデッサ港。
これこれ。
この写真を撮りたかったんだよ。
それにしても、どうして俺はこの場所にこんなにも惹かれるのだろう。
ガンダムのオデッサ作戦のせい?

侍のかっこうをしていると、いろんな人から記念撮影をせがまれます。


私の写真にちょっかいをだしてくれるリーザ。
彼女のそういうとこ、好きです。


それにしても絵になるカップルだ。
見せつけてくれるぜ。

このオデッサを訪れるにあたって、私は映画「戦艦ポチョムキン」を見てきました。
映画の中のワンシーン、暴動を鎮圧する冷酷な兵士になりきって階段を下りる私。
ガイドブックによると「戦艦ポチョムキン」はソヴィエト映画史上ナンバーワンなのだそうだ。
え? あれで?
ということは他のソヴィエト映画はあれよりもっとつまらないということなのだろうか。

ウクライナ中どこへ行ってもこの青と黄色を目にする。
これほど自国の国旗を愛する民族も珍しい。
それとも、日本人の日の丸に対する感情が複雑なだけなのだろうか。

オペラ・バレエ劇場。
キエフ市民はキエフの劇場がウクライナ一だと言い、
リヴィウ市民はリヴィウのものが一番だと言う。
そしてもちろん、オデッサ市民はオデッサのバレエ劇場が一番だと言って譲らない。
まあ気持ちはわからんではないが。

オデッサはプーシキンとゆかりがあるようだ。
といっても、私はプーシキンのことなんて何も知らない。

プーシキンと一緒に記念撮影。
あまり気乗りしなかったのだが、サンベルたちが撮れ、撮れ!とうるさいのでしかたなかったのだ。
この後、サンベルとリーザは、以前彼らが暮らしていたというアパートにも案内してくれた。
なんの変哲もない住宅街で、観光スポットからは離れている。
もちろんガイドブックには載っていない。
本来なら退屈きわまりないはずなのだが、なつかしそうに眼を細めて歩くふたりを見ていると、なんだかこっちまでほんわりと暖かくなってくる。
こういう時間も悪くない。
今日はウクライナの独立記念日。
港では記念式典が行われるらしい。
海軍艦艇が勢ぞろいし、空軍のアクロバットチームが華麗なデモンストレーションを披露する。
さらにはパラシュート部隊が巨大なウクライナ国旗を掲げながらダイブしてくるのだという。
そんな特別な日にオデッサを訪れることができた俺はツイてる。
いったん家に戻り、サンベルの妹たちと落ち合う。
彼女たちも記念式典に一緒に行くのだが、軍事パレードに興味があるわけではない。
なんと、彼女たちは私に会いに来たのだという。
聞けば、サンベルの妹とその友達はコスプレイヤーなのだそうだ。
日本のアニメに夢中な二人。
そんな彼女たちは私がただ日本人というだけの理由で、うっとりとした目で私を見つめてくる。
日本人に生まれてきてよかった!
サンベルの車に乗り込み、記念式典会場へと向かう。
日本大好きウクライナ少女たちに両脇をはさまれ、ゴキゲンな私。
彼女たちは「もっと日本の話を聞かせて」とせがんでくる。
日本にいるとなかなか気づかないが、日本ってけっこういい国なのかもしれない。
上機嫌な私だったが、港に着いた途端、雲行きが怪しくなってきた。
さっきまで快晴だったのに・・・・
もしも雨が降ってきたら、パレードはどうなるのだろう?
と言っているはたから雨が降り出した。
それも土砂降りの大雨。
「どうしてこのタイミングで降り始めるわけ?
この1か月、雨なんて一滴も降らなかったのに!」
サンベルが叫ぶようにつぶやく。
夏のオデッサに雨が降ることなどめったにないらしい。
自分の運の悪さを呪った。
この天候じゃ空軍の戦闘機によるアクロバット飛行は絶望的だ。
パラシュート部隊の降下もないだろう。
海軍パレードだってあやしいもんだ。

傘をさして海を眺めていると、一艘の船が横切っていくのが見えた。
「パレードができるかどうか、波の状態を確かめに来たのよ」
と誰かが言う。
ウクライナ海軍の船らしいが、とても小さい。
荒波に小さな船体が翻弄されている。

タタタタッ、タタッ。
なんの前触れもなく、機関銃の音が響いてきた。
どうやら模擬戦闘が始まったらしい。

照明弾を落としたりしているが、解説がないので、いったいなにをやっているのかいまいち理解できない。
それに、どの船も小さい。
海軍のパレードだというから、もっとごっつい戦艦を期待していたのだが、どうも沿岸警備隊っぽい。
がっかりだ。

ようやく戦艦が現れた。
ヘリコプターが戦艦に着艦すると、あちこちから歓声が沸き起こる。
ここからは目と鼻の先のクリミア半島には、ロシア軍が駐留している。
オデッサ市民と私とでは、軍事パレードに対する感慨はまったく異なるのだろう。

銃声が止み、どうやらパレードは終わったようだ。
悪天候だから仕方ないのかもしれないが、いまいち盛り上がりに欠ける。
近くの喫茶店に入り、何か飲もうということになった。
みんな暖かいドリンクを注文する。
だが、ココア一杯くらいでは、冷え切った体を温めることなんてできやしない。
今は8月。
ここは東ヨーロッパ有数のビーチリゾート。
それなのに、なぜ俺たちは寒さに震えているのだろう。

サンベルの妹とその友達。
今度会うときは、初音ミクのコスプレで来てね。

サンベルの車で家へと向かう。
雨は上がり、晴れ間も見えてきた。
雨が降っていたのは記念式典の間だけだ。
なにかの嫌がらせか?

雨があがったので、かねてからの予定通り、サイクリングに行くことにした。
アルカーディアまではけっこう距離があるが、海沿いのサイクリングロードがあるそうだ。

レストラン「KYOTO」

サイクリングロードをひた走る。
リーザの自転車のカゴにはラジカセが入っていて、音楽を聴きながら走ることができる。
なんだか楽しい。
ウキウキしてきた。

天気は快晴とはいかなかったが、それでも海沿いのサイクリングロードを走るのは気持ちよかった。
しかもただの海ではない。
ここはオデッサ、黒海沿岸のビーチリゾートなのだ。


アルカーディアに到着。
予想以上に都会だった。
オデッサ市内よりもはるかに人口密度が高そうだ。


ホテルにリゾートマンション。
バーやレストラン。
ビーチというよりは、一大歓楽街のようだ。
建築中の高層ビルが何棟も見える。
この街はこれからさらに混雑することになるのだろう。

オデッサからアルカーディアまで自転車で行くという発想はなかった。
ガイドブックにもサイクリングロードのことは載っていない。
いい経験をさせてもらった。
ありがとう、サンベル、リーザ。

今日はウクライナの独立記念日。
オデッサ港では花火大会が開かれるらしい。
ポチョムキンの階段から見る打ち上げ花火。
これは一生の思い出になるだろう。
花火を見ようと、広場には大勢の人が集まっていた。
だが、予定時刻になっても花火は上がらない。
昼間の雨で火薬がしけってしまったか?

花火はあきらめて、食事にすることにした。
彼らが連れてきてくれたのは、その名も「オデッサ・カフェ」。
そしてもちろんオデッサのビールを注文する。

それにしても寒い。
できればオープン・カフェじゃなくて、店舗の中に入りたかったな。
凍えながらビールを飲む私を見かねて、リーザが毛布を持ってきてくれた。
真夏の夜のオープンテラスで、肩に毛布を掛けながらビールを飲む。
なにかが間違ってる気がする。

サンベルとリーザ。
今日も一日、付き合ってくれてありがとね。
君たちは最高のカップルだ。
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