推しメンはだれ?
といってもニナはスロベニア人だったが、今度は本物の中国人だ。
彼の名前はソングリン。
正直に言って、私は中国人に対してあまりいいイメージはもっていない。
なぜだろう。
べつに中国人にひどい目に遭わされたとか、そんなことはないというのに。
マスコミの影響かな。
だがカウチサーフィンをするようになってから、これまでに数人の中国人と過ごす機会があった。
彼女たちはみな親日的で、礼儀正しく、一緒にいて心地よかった。
これまでいだいてきた中国人のイメージからあまりにもかけ離れていたため、
「おや?」と思ったほどだ。
だが今回のゲストは男。
これまでのように友好的なムードとはいかないかもしれない。
尖閣諸島の議論とかふっかけられたらどうしよう。
すこしビビりながら彼を迎えた。

(右がソングリン)
ソングリンは中国は四川省成都の出身。
この前うちに泊まったニナも成都に住んでいる。
そういう偶然もあるのだな。
ニナから成都の話はたくさん聞かされていたので、ソングリンとの会話もスムーズにいった。
複数の人間から違う角度でいろんな情報をもらえたので、今では私はちょっとした成都通になった気分だ。
ニナからもらったパンダのキーホルダーをソングリンに見せたら、「おおーっ」と喜んでいた。
その外観からは想像できないくらい彼は人懐っこい。
中国人って実はいい奴が多いのかもしれない。
カウチサーフィンを利用して日本に来る人間は、やはり普通の中国人とは違うのかな。
日本が嫌いなら日本人の家に泊まろうとは思わないだろうし、そもそも日本に来ようなどとは思わないだろう。
さらにソングリンはアメリカの大学院に通っている。
しかも誰もが名前を知っている有名大学。
こう見えてかなりのインテリなのだ。

ソングリンはおみやげをくれた。
日本でもおなじみのこのお菓子も、中国語表記になってるとなんだか印象が違ってくるから不思議だ。

彼はさらにチョコレートもくれた。
ベルギーと書いてあるが、メイドインチャイナだ。
「中国製だけど安心して食べれると思うよ」
中国産の食品は外国では評判が悪いということも、彼はちゃんと知っているようだ。
このソングリン、大の日本ファンなのだ。
今回の日本旅行に大いに感動し、
「もう中国には帰りたくない!」
とまで言っている。
「日本人が中国人のことをあまりよく思っていないのは知っている。
俺も中国人が嫌いだ。
このまま日本に暮らしたい」
うーむ、日本ってそんなにいい国かな。
それとも中国がひどすぎるのだろうか。
だが、ソングリンの話をよく聞いてみると、彼が日本好きなのにはちゃんとした理由があった。
日本の女の子が好きらしい。
どうやら本気で日本人の彼女をつくろうとしているようだ。
「日本の女の子は中国人の男のことをどう思っているんだ?」
うーん。いっとき韓国がブームになってたことはあったけど、中国人の男が人気があるという話を聞いた記憶はないなあ。
「どうやったら日本人の女の子を彼女にできる?」
日本人の女の子の彼女がいない俺に聞かないでくれ。
もちろんソングリンは日本のアイドルも大好き。
特に彼のお気に入りは倉木麻衣とAKB48.
「まさと、君の推しメンはだれ?」
いやいや、俺もAKBのファンだという前提で話をしないでくれ。
中国でもAKBはかなり人気で、ファンは普通に「推しメン」という日本語を使っているそうだ。
日本の文化が世界に広まっていくのは喜ばしいことだが、なぜだか素直によろこべないのはどうしてだろう。
もちろんソングリンは東京では秋葉原にも立ち寄った。
メイドカフェには感激したようだ。
「まさと、君は週に何回メイドカフェに通ってるんだい?」
日本人の男がみんな毎週メイドカフェに入り浸っているわけではないということを
どうすれば彼に理解してもらえるのだろうか。
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