彼氏?
私の家には今、台湾人のイーシャンが泊まっているのだが、彼女は今日は他のカウチサーファーと会う約束があるとかで、一人ででかけてしまった。
そういう状態のところへ、別のカウチサーファーからメッセージが届いた。
香港人のジュンからだ。
彼女はゲストハウスに泊まっているから、寝る場所は必要ないのだが、一人で旅行しているので、誰か地元の人間に京都を案内してもらいたいということだった。

(高台寺の近くにある着物のレンタルショップ)
ジュンの京都での目的は、着物を着て街を歩くこと。
レンタルの予約はすでに済ませてある。
そのお店は香港や台湾ではかなり人気があるらしく、京都を紹介する雑誌などで頻繁にとりあげられているのだとか。
そのため、お店の中は台湾や香港からの観光客でいっぱいだった。
少なくとも私がいた間には、日本人の客は一人も来なかった。

(手を洗うジュン。清水寺にて)

(清水寺の中にあるお茶屋さん)

待ち合わせ場所にジュンが現れた時、彼女は私を見て落胆したように見えた。気のせいかもしれない。
彼女は終始笑顔を浮かべている。でも、それはよく訓練された作り物のように見えなくもない。
彼女は私に何を期待していたのだろう。
彼女は私の何に失望したのだろう。

(高台寺)


この着物レンタルのお店はブログを運営している。
その中で使いたいからということで、お店の人がジュンの写真を撮った。
その時お店の人から「彼氏?」と聞かれた。
うれしかった。
「そうか、俺と彼女はそんなふうに見えるんだ」と思ったからだ。
でも、しばらくしてからそうでないことに気付いた。
どこからどう見てもお似合いのカップルに向かって、「二人は付き合ってるの?」と聞く人はいない。
私とジュンはとてもそういう関係には見えなかったのだろう。
それなのに一緒にいるから不思議に思って、「彼氏なの?」と聞いたのではないだろうか。
べつに彼女と付き合いとかそういうわけではない。
ただ自分が、「若くてかわいい女の子と一緒にいるのが不自然な存在」なのだということに気づかされ、ちょっぴりさびしくなっただけだ。

この水で顔を洗うときれいになれるらしい。

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