ストーカー
元カレから電話がかかってきたそうだ。
復縁を迫られたらしい。
声の調子が尋常ではなく、とても怖かったのだとか。
彼女はしばらく海外で暮らしていて、最近帰国した。
その間その元カレは彼女の帰国をずーっと待っていたらしい。
数年間も。
なんだか危険な兆候だと思い、警察に相談するように彼女にすすめた。
でも、いやだという。
そんなことくらいでは警察は動いてくれないんだと。
日本では似たようなケースで、数件、凄惨な事件が相次いだ。
おかげで最近は警察も話だけは聞いてくれるようになったみたいだ。
でも、海外ではいまだに門前払いされてしまう国も多いらしい。
具体的な被害はでていないし、そもそもそれは身内のトラブルなので、警察の管轄外だという理由で。
「わたし怖いわ。どうしたらいいの、マサト?」
その男は彼女の家を知っている。
もしも本気で彼女を傷つけるつもりなら、防ぐ方法なんてないんじゃなかろうか。
いちおう、「彼とは絶対に会っちゃだめだ。いつでも警察を呼べるように、常に気をつけて!」
とは言ったものの、すぐにそんなことは不可能だと気づいた。
24時間ずっと警戒し続けることなんてできっこない。
相手はいつだって襲ってこれるのだ。
事件が起きるまで、警察は動いてくれない。
でも、何かが起こってしまってからでは遅すぎる。
ストーカーなんて、今までは自分とは縁の無い、遠い世界の話だと思っていた。
いざ、それが自分の近くで起こってみると、有効な対抗手段がないことを思い知らされ、
慄然とした。
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