今夜こそきっと
中国から来たカウチサーファー、ヴィヴィアンから連絡があった。
彼女は前回の訪問時、さんざん思わせぶりな態度をとっておいて、結局はイケメン京大生のもとへと走った。
その時の様子
ヴィヴィアンは現在、奈良を旅行中なのだが、明日、また京都に戻ってくるらしい。
てっきりまた、例のイケメン京大生に連絡をとるものとばかり思っていたのだが、
どうやら今回は私の方を選んだらしい。
ふふふ。
そうか、そうか。
ようやく俺の魅力に気がついたか。
なかなか男を見る眼があるじゃないか。
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しかし、待ち合わせ場所に現れたのはヴィヴィアンだけではなかった。
彼女のほかに、2人の女の子がいる。
「この子たちも伏見稲荷を見たいって言うから、一緒に連れてきちゃった。
別にかまわないでしょ?」
てっきりヴィヴィアンとふたりきりになれると思っていたのに・・・
しかし、ものは考えようだ。
今の私の状況は、「両手に花」どころか、ハーレム状態じゃないか。
むしろラッキーと呼べるんじゃないか。
それにしても、この間のファブリッツォといい、カウチサーフィンとは関係ない人と出会うことが増えてきたな。

左から、ヴィヴィアン、エリカ、アリス。
エリカとアリスは香港の人。
大阪に宿をとっていて、今日は日帰りで京都までやってきたらしい。
でも、ヴィヴィアンは中国は北京の人。
いったいどういう知り合いなんだろう?
「さっき電車の中で会ったの」
なんだ、友達じゃなかったのか。
同じ中国といっても、北京と香港とでは話す言語が異なるらしい。
私にとってはどちらも同じ中国語にしか聞こえないのだが、3人は疎通に苦労していた。
お互いの言語を多少は理解できるのだが、むしろ英語で話した方が通じやすいくらいだと言っていた。

3人とも伏見稲荷が気に入ったようで、結局すべてのコースを歩ききりました。

この神社はキツネだらけです。

きつねのストラップお守り。

写真を撮る時、ヴィヴィアンはおもいっきり体を密着させてくれるから好きです。

4人で記念撮影した時、さりげなく腕を組んでくるヴィヴィアン。
え? まさか、まさか・・・
今夜は期待してもいいですか?
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ヴィヴィアンは中国人なので、外見は日本人とそれほど変わらない。
だからよくお店の人なんかに日本語で話しかけられる。
そのたびにヴィヴィアンはうれしそうな顔をする。
「私って、そんなに日本人に見える?」
見えるよ。日本人になりたいの?
「なりたーい! だから日本の習慣とか、いっぱい教えてね」
彼女の希望により、さっそく 「ヴィヴィアン日本人化計画」 が始まった。
電車の中で飲食を始めようとした彼女を制止する。
「日本では、公共の場所で物を食べるのは、とても行儀が悪いことなんだよ」
「どうして? 中国ではみんな食べてるわよ。
これ、電車の中で食べようと思って買ったのに。
それに、せっかく温かいのを買ったんだから、すぐに食べないと冷めちゃうじゃない」
そんなに食べたいのなら、勝手にすれば。
「マサトは食べないの?」
俺はいいよ。
「どうして?
私ひとりだけ食べるのなんていやよ。
マサトも一緒に食べてよ。
私のことを愛してるのならできるはずよ。
お願い、わたしのために、食べてっ!」
公衆の面前で「愛してる」とか言うなよ。
あー、恥ずかし。

京阪電車の車両の中に、肉まんの匂いを充満させたのは私たちです。
ごめんなさい。

銀閣寺にも行きました。
ここで、ヴィヴィアンは中年の男性に話しかけられます。
私たちが英語で話していたのを聞いたその男性は
「姉ちゃんはどこから来たんや?
インドネシアか?」
などとぬかします。
それを聞いたヴィヴィアンは涙目に。
「まさとー、私、日本人には見えないの?」
大丈夫だよ、ヴィヴィアン。君は日本人以上にかわいいから心配しないで。
このおっさんの目は腐ってるんだ。気にしちゃだめだよ。

下賀茂神社に向かう途中で、河合神社に立ち寄りました。
「日本第一美麗神」
とは、なんと仰々しい。
河合神社の「河合」を「かわいい」とかけているらしい。

この河合神社の特色は、何といっても「鏡絵馬」。
手鏡の形をした絵馬というのも珍しい。

なんとか閉門前に下賀茂神社にたどりつくことができました。
こちらの絵馬は神々しい。
今年の干支、「へび」です。
しかも白くてデカい。

もう日暮れに近かったので、下賀茂神社の中はガラガラ。
最後に厳かな雰囲気を味わうことができて、3人とも満足してくれたようです。

京都駅ビル内にある拉麺小路でラーメンを食べた後、エリカとアリスは大阪へと帰っていきました。
やっとヴィヴィアンとふたりきりになれた。
ふぅー。
長い道のりだったな。
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バス停でバスを待っているあいだ、ずっとヴィヴィアンと話した。
いつもなら退屈な待ち時間も、彼女と一緒だと楽しくてしょうがない。
それにしても、この子はなんて素直で純粋なんだろう。
「北京大学卒・外資系企業勤務」という肩書からはとても想像できない。
ヴィヴィアンにかぎらず、私がこれまでにカウチサーフィンを通じて出会ってきた中国人は、
それまでに抱いていた中国人のイメージとはかけ離れた人たちばかりだった。
でも、本当のところはどうなんだろう。
実際に中国に行って、彼らと直接交わってみる必要がありそうだ。
そうこうしているうちに、バスがやってきた。
順番待ちの列が動き出すのにあわせて、前に進む。
が、ヴィヴィアンはその場を動かない。
???
どうしたんだ、ヴィヴィアン?
「今日は楽しかったわ、まさと。
本当にありがとう。
私はこの前泊めてもらった人のところに泊まるから、
別のバスに乗らなきゃ。
じゃあねー、バイバーイ」
え?え?
まさか、まさかの大どんでんがえし。
ヴィヴィアンは今夜もイケメン京大生のマンションに泊まるらしい。
そんなことひと言も言ってなかったじゃないかよ。
君が昼間に見せた、あの思わせぶりな態度はいったいなんだったんだよ!
普通に考えたら、そのまま私の家に来るのが自然な流れなのに。
そんなに私の部屋は居心地が悪いのだろうか。
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そんなヴィヴィアンとは、今でもやり取りが続いています。
LINEやfacebookで。
中国ではフェイスブックは規制されていますが、彼女はアメリカの企業に勤務。
会社のパソコンを使って、海外のサーバーを経由すれば、facebookも問題なく使えるのだとか。
まじめに仕事しろ。
「見て見てー。今日はラーメンを食べたの。おいしかったー。
でもやっぱり日本のラーメンの方がいいわね。
また京都に遊びに行くから、その時は一緒に遊んでねー」
はいはい。
もし生まれ変わるとしたら、イケメンでお金持ちの京大生がいいな。
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