餓鬼(サパ、ベトナム)

黒モン族の村でホームステイできると聞いて行ってみた。
が、期待はずれ。
もっと伝統的な民家を想像していたのだが、これじゃあただのゲストハウスだ。
もちろんここには黒モン族の人たちは暮らしていない。
いるのは外国人観光客ばかり。
そんなの意味ないじゃん。

この娘たちはもっと遠い村に住んでいるそうです。
そこに泊めてもらうことはできないもんかね。
「写真を撮ってもいいかな?」
と聞くと、うなづきます。
しかし、その後一斉に彼女たちが私を取り囲みました。
「写真撮ったんだから、これ買ってよ」
そうです。
彼女たちは土産物を売りつけるためにこのゲストハウスの周りをうろついていたのです。
最初は10人ほどだった女の子たちが、気がつくと30人くらいになってます。
みんな大声でわめきながら、「これを買え!」と私に詰め寄ります。
暴力こそふるいませんが、ものすごい剣幕で、私はたじたじになってしまいました。
とりあえず携帯電話カバーを一つ買うと、
「私たちみんなの写真を撮ったんだから、全員から買えっ!」
と言い出す始末。
ほうほうの体でバイクまで逃げ帰ると、運転手のテンスがのんびりした声で言います。
「黒モン族はお金にがめついから、気をつけなきゃだめだよ。」
そういうことは最初に言えよ。
それに、俺がひどい目にあってるのに、どうして助けに来てくれないんだよ。
ガイドブックの写真では、黒モン族の少女が微笑んでいます。
それをバイクの運転手のテンスに見せると、
「ああ、それね。
写真を撮る前にカメラマンが彼女たちにお金を渡してるんだよ。
特に日本のカメラマンは金払いがいいからね。
大金をせしめた彼女たちは、そりゃほくほく顔にもなるさ。
だからマサト、黒モン族の女の子の笑顔が撮りたきゃ、お金を握らせるといいよ。」
身も蓋も無い話だな。
ガイドブックにはこう書いてあります。
「素朴な笑顔に出会える」















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