バイクにまつわるエトセトラ(フエ、ベトナム)
でも、それだけでは物足りない。
ガイドブックではあまりおすすめしてないが、私はよくバイクタクシーを利用している。
バイクタクシーは小回りがきくので、自分の好きな所に行けるので便利だ。
だが、そのためにはドライバーに目的地を的確に伝えなくてはならない。
実はこれがなかなか難しい。
そして最大の難関が料金交渉。
これもかなりハード。
でも、そんなことはどうでもいい。
ベトナム人にはもっと根源的な問題があるのだ。
日本の常識なんて通用しないのだ、あいつらには。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
話は少しさかのぼる。
フエに到着してバスを降ろされたのだが、いったいここがどこだかわからない。
バスの運転手に聞いても、教えてくれない。
いぢわる。
地図を広げていると、バイクタクシーの運転手に取り囲まれる。
「ホテルを探してるのか? 俺が安い所に連れて行ってやる。」
けっこうです。
フエではタムというかわいい女の子が私をエスコートしてくれることになっているのだ。
誰が好き好んで汗臭いお前らなんかのバイクの後ろに乗るものか。
携帯からタムに電話をかける。
「ごめんなさい。ちょっと今、手が離せないの。
悪いけど自力で宿まで行って待っててくれる?
後からすぐに行くから。」
そういうことなら仕方がない。
しつこく私の周りに付きまとっていたバイクタクシーの運ちゃんに行き先を告げて送ってもらう。
ゲストハウスについて、受付で話をしていると、どうもかみあわない。
おかしいな。
タムがすでに話をつけてくれてるはずなのに・・・
よく見ると、そこは私が指定したのとはまったく別のホテルだった。
バイクタクシーの運ちゃんに文句を言うと、
「ああ、そのゲストハウスなら知ってる。
ここからそんなに遠くない。」
彼は悪びれずにさらっと言ってのけた。
なんで最初からそこに行かないんだよっ!
俺はちゃんとお前にメモを見せただろ?
タクシーの運転手はバックマージン欲しさに、自分の契約しているホテルに客を連れて行きたかったのだろう。
まったく。
時間の無駄だ。
今度こそ、タムの教えてくれたゲストハウスに到着した。
しかし、バイクタクシーの運転手は、
「ずいぶんと遠回りしたから、料金は倍もらうぞ。」
とぬかしやがる。
何を言ってるんだ、こいつは?
誰が遠回りしてくれって頼んだ?
日本では温厚な紳士の私だが、ベトナムではそういうわけにはいかない。
おとなしくしてると、こいつらはとことんつけあがる。
なめられたら駄目だ。
しかし、私の英語は教科書英語。
どうもドスがきかない。
今度ベトナムに来る時までには、ハリウッド映画を見て汚いスラングを身につけなくては。
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タムやアィンたちとの楽しいひと時を終え、フエの安宿街に帰ってきた。
今夜はシャワーだけでなく、ゆっくりと湯船に浸かりたいなあ。
風呂は無理でも、どこかにサウナはないだろうか。
サウナを求めてフラフラと歩いていると、バイクタクシーの兄ちゃんが声をかけてきた。
「何を探してるんだ? サウナ? それならいい場所知ってるぜ。乗りな。」
学習能力のない私はうかつにも、彼のバイクに乗ってしまった。
バイクは市街地を離れ、かなり郊外までひた走る。
もうここはフエの観光地ではない。
あたりは真っ暗。
だんだん不安になる。
ほんとにこんな所にサウナなんてあるのか?
私を乗せたバイクが停車したのは、ピンク色のネオンが輝く、「いかにも」といった感じの店の前だった。
おいおい。
これ、サウナじゃないじゃん。
彼が連れてきてくれたのはソープランドだった。
私が帰ろうとすると、バイクタクシーの運転手は色をなして怒り始めた。
おそらく、ソープランドに客を紹介することで手数料を稼いでいるのだろう。
まずいな。
ソープランドの周りには他の店はなく、薄暗い。
治安にかなり問題のありそうな場所だ。
こんなところで変なゴタゴタに巻き込まれたくはない。
ここは、この兄ちゃんを下手に刺激しない方が得策だ。
「いや、今日は疲れてるから、女を抱く気にはなれないよ。
明日また連れてきてくれ。」
なんとか彼をなだめすかして、フエの街まで連れて帰ってもらった。
「どこのホテルに泊ってるんだ?教えろよ。
明日の夜に迎えに行くから。」
こんな男に寝場所を教えたくなんてない。
なんとかして彼をまこうと、食堂でジュースを飲んだりして時間をつぶしていたのだが、
彼は外でずーっと私を見張っていた。
結局、バイクタクシーの運転手に私の泊っているゲストハウスを知られてしまった。
「じゃあ、明日の夜、ここに迎えに来るからな。
明日こそはちゃんと女を買えよ。
約束だぞ。」
そう言って彼は念を押した。
わかった、わかった。明日な。
そうあしらって、その日は別れた。
明日はDMZのツアーに行く予定だから、帰ってくるのはかなり遅くなる。
まさかそんな遅くまで私を待ってたりはしないだろう。
彼だって、いくらなんでもそこまで暇ではないだろう。
甘かった。
私はベトナム人をナメていた。
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