5月29日(火) たちこめる暗雲 (バタワース、マレーシア)

ゲオクの部屋からの眺め

バタワース行きフェリー乗り場

バタワース駅

バタワース バスターミナル


ゲオクが持たせてくれた弁当。

糸引いてます。
大丈夫かいな

マレーシアータイ 国境

このバスでハート・ヤイまで

タイだねえ~

バイクの兄ちゃん。
強引だけど、悪い人ではありませんでした


この店で両替とバスのチケットの手配をしました。
結局、何の店だったんだろう

あまりの暑さに犬も死んでます

ハート・ヤイの町
5月29日(火) たちこめる暗雲 (バタワース、マレーシア)
寝起きの顔はともかく、きちんと身なりを整えたゲオクはやはりいい女だ。
とてもあのおぞましい部屋の住人とは思えない。
フェリー乗り場まで車で送ってもらい、弁当まで持たせてもらった分際でこんな事は言いたくはないが、
今度会う時までに部屋を片付けておいてね、ゲオク。
せっかくのいい女が台無しだよ。
バンコクでのホストはもう確保してある。
しかし、明後日にはバンコクに到着するというのに、ホストからはまだ連絡がない。
住所も電話番号もまだ聞いていないのだが、これから夜行列車にのるからもう連絡のしようがない。
参ったな。
悪い事というのは続くようで、バンコク行きの列車のチケットはすでに売り切れていた。
受付のお姉さんは、
「あんた、当日の昼間に来てまだチケットがあるとでも思ってるの?」
という顔をしていた。
確かに地球の歩き方には、「人気路線なので早目に予約するように」と書いてあった。
クアラルンプールでのホスト、マーティンも同じ事を言っていた。
だが、ゲオクは
「バンコク行きの列車なんて使うマレーシア人なんていないわよ。
予約なんて不要。
出発30分前でもチケット余りまくりよ」
と豪語していたのだ。
たしかにマレーシアの人は利用しないかもしれない。
でも、マレーシアからバンコクへ向かう外国人観光客はかなりの確率で利用する人気路線なのだ。
まあ今更そんなことを悔いても仕方が無い。
幸い、ハート・ヤイ行のバスはあるようなので、タイ国内に入ることは可能だ。
タイにさえ入ってしまえば、後はなんとかなるだろう。
バスターミナルの周辺には、相変わらずチケット売りが大勢たむろしている。
「KL! KL! KL!」などとけたたましく目的地を連呼している。
こういう手合いとは関わらないのが鉄則だが、
バンコク行きの列車を逃してしまった私には心の余裕がない。
すがるような声で
「バンコク行きある?」
と聞いてしまった。
見ると、その売り子はかなりズル賢そうな顔をした女性だ。
しまった。
聞く相手を間違えたかな。
こりゃボラれそうだ。
ハート・ヤイまでの適性料金がいくらなのかは知らないが、
彼女の提示した金額は妥当なものに思われた。
それに、彼女は丁寧にバンコクへの行き方や、切手が買える店も教えてくれたし、
バス乗り場へも案内してくれた。
人は見かけによらない。
きっちり商売はするが、人としての優しさは失わない。
彼女と接したのはほんの短い間だったが、気持ちよく別れることができた。
マレーシアの国境を越えて、タイに入る。
このタイのイミグレーションオフィスはかなりズボラで、
私の入出国カードには明らかな誤りがあるにも関わらず、
なんのお咎めもなかった。
X線装置も止まっている。
荷物を機械にかけなくてもいいのか?
なんてユルい国境なんだ。
これがタイか。
なかなか面白そうな国にやって来たぞ。
ハート・ヤイではどこだかわからない場所でバスを降ろされた。
バスターミナルではない。
普通の路上だ。
いったいここはどこだ?
地図を確かめる間もなく男たちが「わっ」と私の周りに群がり、
「どこに行くんだ?」と聞いてくる。
なにがなんだかわからないうちに、「バンコク」と答えてしまった。
すると一人の男が私の手をつかみ、道路の向こう側へと引っ張って行く。
そこにはバイクが一台止まっている。
どうやら、これに乗れ、ということらしい。
冗談じゃない。
こんな得体のしれない男のバイクに乗ったら、どこへ連れていかれるかわかったもんじゃない。
男の手を振りほどき、バスの運転手に現在地を確かめに戻ろうとしたら、今度は二人掛かりでバイクの所へ連れ戻された。
なんだこれは。
これじゃあまるで拉致じゃないか。
まあいいか。
ここは流れに身を任せてみよう。
彼のバイクが向かった先は、何を売っているのか見当もつかない、得体のしれない店だった。
中には中年の女性が一人座っている。
目力の強い、計算高そうな女性だ。
まずはマレーシアのお金をタイ・バーツに替えてもらう。
それほどレートは悪くない。
次にバンコク行のチケットを手配してもらった。
よかった。
これで予定通りバンコクに行ける。
ホッとして余裕ができたのか、彼女の顔をじっくりと見ることができた。
中学の時の担任の先生に似ている。
いつも竹刀を振り回していた体育の先生だが、
鬼瓦のような顔をしているにも関わらず、専門は新体操。
審査員の先生方の身にもなってみろってんだ。
知っている人に似ているというだけで、
なんとなく親近感がわいてきた。
この女性の事を信用してもいいかな、
と思いかけていたら、急に真剣な顔で
「あなたに話がある」
と言う。
なんだ、あらたまって。
「バンコク行のバスは満員で、チケットはもう無い。
あなたは知らないかもしれないけど、
タイは今、4連休中だからチケットの確保は難しいの。
今 別のバスを探しているから、私を信じて待っていて。」
なんだそういうことか。
この店はただの取次店だったのだ。
例のバイクの兄ちゃんが何度もバスターミナルへ行っては、女将さんに報告をいれている。
どうやらチケットは見つからないようだ。
その度に兄ちゃんは女将さんにどやされて、ショボンとしている。
がんばってくれ兄ちゃん、俺のために。
なんとかバンコク行のチケットは確保できた。
代理店である彼女たちに、当然上増しされた料金を取られただろう。
自分で直接買った方が安いに決まっている。
だが、タイ人の兄ちゃんでさえ入手するのに苦労したのだ。
私が自分でやっていたら、もっと手間取っていただろう。
明日の朝にはバンコクだ。
それで十分だ。
バスの中には女性の車掌がいたが、全く英語が通じない。
パンや水をくれたりと、サービスはよかったが愛想というものがまったくない。
その上、大音量でテレビを付けっぱなし。
これは夜行バスだろう?
何を考えてるんだ?
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