沈黙の後で

電車の中でお互いの写真を撮り合うイと私。
はたから見れば、さぞかし間抜けな光景なのでしょう。

平日の午前中だというのに、舞妓変身のお店は大混雑。
ああそうか。
世間は春休みなのですね。

(二年坂)
慣れない舞妓姿に、歩きにくそうなイ。
階段を上り下りするときには彼女は私の腕にすがります。
ラッキー!
役得ですな。
ついでに胸の感触も味わおうと思ったのですが、
固い帯に阻まれます。
無念。

(清水寺)
着物姿の女の子たちと一緒に記念撮影。

すると、他の外国人観光客も
「俺も!」
と言って割り込んできました。

いったん侵入を許すともう流れは止まりません。
「私も!」「俺も!」
と次から次へと記念撮影をしていきます。

芸能人気分を味わいたい方は是非、
舞妓姿で清水寺界隈を練り歩いてみてください。

(地主神社)
イは舞妓の後ろ姿が気に入った様子。
しきりと「後ろからの写真をもっと撮って!」とせがみます。
地主神社の名物「恋占いの石」もやはり大混雑。
舞妓姿で歩きにくいイはさすがに断念しました。

(人形祓い)
ごついカメラは舞妓姿には似合わないと思うぞ。

(丑の刻参りの解説)

清水の舞台を背景に写真を撮っていると、
「きれいな人。
何かの撮影なのかな?」
といった声が聞こえてきます。
本物の舞妓のわけないだろ。
ヨタヨタ歩いているイを見て気付かないのかな。

大きく開いた背中が艶っぽいです。

(托鉢僧と)

舞妓の衣装を脱いで身軽になったイはまるで別人のよう。
さっきまでしずしずと歩いていたのに、今は飛ぶように歩きます。
おしとやかだった話し方も、普段のイに戻ってしまいました。
舞妓姿の時にはがまんしていた食事も今では存分に楽しめます。
食べ物を求めて跳び回るイの姿は女豹を連想させます。

彼女が最初に目をつけたのは「とうふまんじゅう」
私の分も買ってくれました。

イはカレーパンも買いました。
私の分も。


昼食の場所としてイが選んだのは豆腐料理屋。
たしかに京都らしいお店ですが、値段が高そう・・・

このお店では自分で豆腐を作れるんですね。
砂時計を片手に、ひたすらかき混ぜる私。

好奇心旺盛なイもやってみます。

イはごま豆腐がとても気に入ったようです。
もちもちした触感がたまらないとか。

完成した豆腐。
「豆腐なんてどれも同じだろ。」
と思っていた私ですが、とんでもない。
もうスーパーで売っている1丁100円の豆腐なんてとても食べられません。

伏見稲荷の山頂からはきれいな夜景が見れます。
とてもいい雰囲気なので、カップルの方はぜひ!
まだカップルになりきれていない二人にもおススメです。
自然に肩を抱くことができるかもしれません。
私は失敗しましたが。
___________________________
イはとても素敵な女性です。
ドキュメンタリー映画の監督として、普段は大勢の部下を指揮する彼女。
沈着冷静で、一見するとどこにも隙はなさそうに見えます。
でも、イは自分の感情をとてもストレートに表現するんですね。
やはり映画の仕事に携わっている人は感性が豊かなのでしょうか。
そして、イとの会話はとても楽しい。
教養豊かで知性にあふれる女性と一緒にいると、
自分がどんどん成長していくのが実感できます。
イはけっして美人ではないし、グラマーでもありません。
でも、なぜか彼女には惹かれるんですね。
日没は伏見稲荷の頂上で迎えました。
だんだんと暗くなっていく街並みを眺めているうちに
二人とも無口になっていきます。
なんでイはさっきから黙っているんだろう。
沈黙が重い。
眼下には家々の灯がゆらゆらと揺れながら輝いています。
時折強い風が吹く度に彼女の肩を抱き寄せたくなる衝動に駆られます。
そんなことをしたらきっとイは怒るんだろうなあ。
でも、明日には他のカウチサーファーがうちにやって来るんだよなあ。
と、そこでまたしても携帯の呼び出し音が静寂を切り裂きます。
このタイミングで電話をかけてくる奴と言えば、やはりマリエラか?
違いました。
明日来るはずだったカウチサーファーが、予定を早めて今夜から泊まりたいということです。
私はイに尋ねます。
「他のカウチサーファーが今夜私の家に泊まりたいって言ってるんだけどいいかな?」
「あなたの家なんだから、あなたが決めて。」
イはピシャリと答えます。
そりゃそうなんだけど、なにもそんな言い方しなくたっていいじゃないか。
帰りのバスの中でイが尋ねます。
「マサト、あなたはなぜ結婚しないの?したくないの?」
そりゃあ、結婚はしたいさ。
でも、今まで付き合った女性とはうまくいかなかったんだ。
「あなたはいい人なのになぜなのかしら?」
なんでだろうね。
俺と付き合ったらその答えがわかるかもしれないよ。
試してみる?
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