フェミニスト

カウチサーフィンをしている女の子は気の強い娘が多い。
だが、テリヤはその中でも群を抜いている。
テリヤは自他共に認めるフェミニスト。
女性蔑視発言は決して見逃さない。
彼女たちは食後に爪楊枝を使う。
それを見た私が、
「日本では、若い女の子は、あまり人前では爪楊枝を使わない。」
と言うと、
「じゃあ、いったい彼女たちは歯に詰まった物をどうしてるの?」
と聞いてくる。
さあ、トイレでやってるんじゃないかな。
「じゃあ、私たちが爪楊枝を使ってる間、アンタがトイレにこもってなさいよっ!」
なんで私が怒鳴られなきゃならないんだ?
日本では、女の子が胡坐(あぐら)をかいて座るのは はしたないこととされている、
と説明すると、
「誰がミニスカートはいてる時にあぐらなんてかくのよ」
いや、たとえジーパンはいてても、あぐら座りは良くないと思うな。
「どうして?」
見たくなるじゃん。
「もしも私のプライベートな部分をジッと見てくる奴がいたら、
絶対に訴えるわよ。
そんなの欧米では常識よ。
実際にヨーロッパでは、何人もの男たちが有罪判決を喰らってるわ。
マサトも気をつけることね。」
そう言って、すごい形相でにらみつけてくる。
もしかして、昨日 伏見稲荷の山を登ってる時、後ろから彼女たちのお尻を眺めていたのがバレていたのだろうか。
ヤバい。
マジで訴えられる。
こんな調子で、テリヤはなにかと私に突っかかってくる。
私が、ヨーロッパの女の子はきれいだ、と言うと、
「リンガ、ちょっと聞いたぁ?
マサトはRacist(人種差別主義者)よ」
私が、女の子というものは、基本的に甘い物が好きだ、と言うと、
「リンガ、ちょっと聞いたァ?
マサトはエヴァを侮辱したわよ。
じゃあ、私たちの妹はチョコレートが嫌いだから、女の子じゃないっていうわけ?
あんなにかわいいのに」
私が、二人一緒の写真を撮りたいから、リンガにちょっとこっちに来て、と頼んだら、
「あら、私一人じゃ物足りないっていうの?
ちょっと、リンガ、今の聞いたぁ?
私 傷ついたわ」
ずっとこんな調子で、私の上げ足をとっては楽しんでいる。
どうやら、私の困った顔を見るのが楽しいようだ。
テリヤは真正の M だな。
ん?
待てよ。
もしかしてテリヤは俺に気があるんじゃないのか?
ほら、小学生の男の子は好きな女の子をいじめて泣かすじゃないか。
だが、問題は、我々はもう小学生ではないし、テリヤは男の子ではない、ということだ。
そして、私の自分に都合のいい妄想は、翌日、無残にも打ち砕かれることになった。
-続く-
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