さらばパリ、さらばヨーロッパ











さらばパリ、さらばヨーロッパ
ついにこの日がやって来た。
今日はヨーロッパ最後の日。
朝の6時半に起きて出発の準備をする。
グレッグとアンも起きて朝食を用意してくれた。
しかもお土産までくれた。
包み紙には日本語でメッセージが書かれている。
本当に素敵なカップルだ。
ぜひもう一度会いたい。
グレッグが途中まで送ってくれた。
雨はあがっていたが、道路はまだ濡れている。
彼らが空港までの行き方を丁寧に教えてくれたので、問題は無いはずだった。
だが、Chatelet Les Hallesの駅はとてつもなくデカい。
数多くの路線が乗り入れているので、出口や乗り場がたくさんある。
それに加えて朝の通勤ラッシュ。
パリの人はものすごく早足で歩く。
標識の文字を読もうと立ち止まったらドカドカとぶつかられる。
歩きながら読むしかない。
だが、イギリスでメガネを失った私は遠くの文字を読むことができない。
間違った出口から出てしまった。
道に迷ったことに気がついたので元来た道を戻ろうとしたらゲートが閉じた。
どうやら一度外に出てしまったらもうこの切符は使えないらしい。
事情を話して新しい切符を再発行してもらおうと思ったら、窓口は長蛇の列。
まずいぞ。
飛行機に乗り遅れたら日本に帰れないじゃないか。
もしそうなったらしばらくパリで暮らそうかな。
なかなか素敵なアイデアだ。
軍資金はもうないけれど。
シャルル・ド・ゴール空港行きの電車は超満員。
思い荷物を抱えた旅行者にはつらい。
それでもなんとか空港にはたどり着いた。
なんてデカいんだ、この空港は。
ターミナルがいくつもある。
電車の駅も二つある。
空港内を移動するのに電車を利用しなければならない。
二ヶ月前、初めて空港を利用した時は何もわからず、すべてが手探り状態だった。
今回もシャルル・ド・ゴール空港は初めてだが、スムーズに事は運んだ。
この旅行で私も少しは成長したらしい。
懐かしのEVER AIR 。
機内誌には中国語の他に日本語も見受けられる。
客室乗務員は黒い髪、黒い瞳。
機内のシートに座った時、なんだか我が家に帰って来たような気がした。
あれからもう二ヶ月も経ってしまったのか。
なんだかジーンときた。
このぶんだと日本に到着したら号泣してしまうかも。
飛行機が離陸して安定したら、お待ちかねの食事タイム!
このためにお腹をすかせておいたのだ。
EVER AIR 大好き!
ただ、問題は、客室乗務員が私に中国語で話しかけてくること。
パリでは誰も私にフランス語で話しかけて来なかったのに。
パリでは朝なのに、台湾時間ではもう夜。
機内は台湾時間にシフトしたようだ。
食事の後は電気が消された。
だが、数時間前に起床したばかりなのだ。
眠れるわけがない。
これが時差ボケの原因になるのだろう。
機内はすいていて、私の隣には誰もいない。
だから三人分の座席を利用して横になることはできた。
しかし、小さな子供がいるらしく、ずっと騒いでいる。
どうやら親は注意する気はなさそうだ。
まあいいか。
そのうち疲れて眠るだろう。
・・・
甘かった。
その子供はおそろしく元気で、朝までずっと機内を走り回っていた。
大声で歌いながら。
結局一睡もできなかった。
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