サグラダファミリアと美少女窃盗団

サグラダ・ファミリア教会(バルセロナ、スペイン)


観光客であふれかえり、工事中であるにもかかわらず、圧倒的な美しさ!

この荘厳な建築物を見ていると、心が洗われるような気がします。
とても、悪いことをしようなんて気にはなれません。


サグラダファミリアと窃盗団
朝 目が覚めるとファクはすでに出勤していていなかった。
代わりにマリアが帰ってきていた。
なんと、彼女は妊娠しているらしい。
まだ2ヶ月だからそんなにお腹は大きくない。
おめでとう!
だが、同時にヴィーカとアンドレアのことを思い出してしまった。
アンドレアはどうしているだろう。
ヴィーカは大丈夫だろうか。
彼らは産まれてくる赤ん坊のためにもっと広いアパートに引っ越す計画を立てていた。
私が彼らの新居を訪れる日は来るのだろうか。
夜勤明けにもかかわらず、マリアは私に朝食を作ってくれた。
少し休憩した後、また仕事に出かけるのだという。
妊娠しているというのに、そんなに働いて大丈夫なのかな。
今日のメインはもちろんサグラダファミリア。
天気も快晴。
サグラダファミリアの周りを何度もグルグル回りながらたくさんの写真を撮った。
すると三人の女の子たちが近づいてきた。
12、3歳くらいだろうか。
とてもかわいらしい。
彼女たちは、障害を持った人のために署名活動をしているという。
もちろん喜んで署名させてもらった。
「できたら募金もしてくれないか」というので、財布から2ユーロコインを取り出した。
「そんなにいらない。50セントでいい」
というから、再び財布を開けた。
その時、別の女の子が
「私は日本が大好きなの。握手して」
と言ってきた。
握手すると、別の女の子も
「私にも握手して!日本人大好き!」
と言ってくる。
そんなふうに言われると、悪い気はしない。
結局三人全員のために署名して、握手もした。
彼女たちと別れた後、財布をポケットにしまおうとして異変に気づいた。
あれ? なんだか財布が薄くなっているような気がするぞ。
中身を確認すると、お札が全て無くなっている。
やられた。
彼女たちはスリだったのだ。
あたりを見渡しても、どこにも彼女たちの姿は無い。
いったいいつ、財布からお札を抜き取ったのだろう。
私はずっと財布を手に持ったままだった。
それでもまったく気付かなかったのだ。
実に見事なお手並みというしかない。
チームワークも完璧。
三人が交互に話しかけて、たくみに私の注意を分散させる。
握手を求めたり、署名させたりしたのも、すべて計算ずくの行動だったのだ。
彼女たちのスリのスキルは芸術の域に達している。
あまりの鮮やかさに思わず感心してしまった。
これを読んでいるみなさんは、
「自分ならそんなヘマはしない」
と思っていることでしょう。
私もそう思っていました。
財布の中に手を突っ込まれて気づかないわけがない。
でも、まったく気づきませんでした。
家に帰ってファクとマリアにこのことを話したら、それはスペインでは古典的な手口だと言われました。
みんなその手口は知っているので、だれも引っかからない。
引っかかるのは日本人の観光客くらいだ、と。
彼女たちが言っていた
「日本人 大好き!」
というのは嘘ではなかったのです。
だって、日本人は間抜けでお人好しで、しかもお金をたくさん持っているのだから。
そう言えば、彼女たちが集めた署名の大半は日本人の名前だったな。
世界中でカモられる日本人。
もしもサグラダファミリアを訪れて、彼女たちと出会ったなら、よろしく言っといてください。
- 関連記事
-
- コルドバ
- マドリッドの熱い夜。
- マドリッド
- セゴビア
- マドリッドでカウチサーフィン
- トレド
- バルセロナの夜
- サグラダファミリアと美少女窃盗団
- バルセロナでカウチサーフィン
- ジュネーブ
- Martigny~ローザンヌ~ジュネーブ
- ベルン
- チューリッヒ(スイス)
- ボローニャでカウチサーフィン
- ヴェネツィア