









ストックホルムへ
次のホストからの連絡がないと思っていたら、私の出したメッセージが届いていなかったようだ。
急いでメールを送る。
まだ彼の連絡先を聞いていないのだ。
そして、また一つミスを犯していることに気づいた。
ゴットランド島のヴィスビィ行のフェリーは、土曜日には減便されるのだ。
飛行機を使うべきか。
いや、予算オーバーだ。
次のホスト先はもう決まっているので、日程は変更できない。
こういうところがカウチサーフィンの不便なところだ。
まあ、最初から日程に余裕を持たせておけば問題はないのだが。
朝早くにも関わらず、イヴェルタが見送ってくれた。
ヤーシャはまだ寝ている。
荷造りに手間取ってしまい、駅まで走って行った。
霜が降りているので滑って転びそうになる。
あせって道を間違えそうになった。
もしも電車に乗り遅れたら、次のストックホルム行の直通列車は数時間後になる。
オスロの駅は早朝にもかかわらず混雑していた。
ストックホルム行きの電車に乗る前にまずはバスに乗らなければならない。
バス停にはすでに多くの人が集まっていた。
全員乗れるのだろうか。
ふと不安に思ったが、バスは何台も来たので問題は無かった。
バタバタしていたので、ペギーに絵葉書を出しそびれた。
せっかく「ムンクの叫び」の絵葉書を買ったのに。
バスから列車に乗り換える。
霜が降りているせいで、あたりは真っ白だ。
水たまりが凍っているのに気づかず、またもや転びそうになった。
フィンランド行きの列車から見える景色は最高だ。
さすがは森と湖の国。
湖面から立ち昇る湯気が朝日に照らされて、とても美しい。
一等車はガラガラで、とても静か。
ゆったりとした朝を過ごすことが出来た。
車掌がやってきて、コーヒーの準備が出来たという。
このサービスは料金に含まれているとか。
いいね!
あとこれでインターネットが使えれば文句はないのだが。
せっかくだから、食堂車でフリーのコーヒーをいただくことにした。
お腹も空いてきたことだし、ここでノルウェーのコインも使い切ってしまおう。
食堂車のお姉さんはとても美人だった。
が、ノルウェーのコインはきっぱりと断られた。
スウェーデンのお金しか使えないという。
私からすれば、ノルウェーもスウェーデンも同じような国なのに、なんか不便だな。
ストックホルムの駅は恐ろしく混雑していた。
道ゆく人は皆速足で、とても道を聞ける雰囲気ではない。
バーガーキングを見つけたのでiPadを開く。
が、インターネットのサービスは内容だ。
代わりにストックホルム駅のWiFiサービスを見つけた。
どうやら無料のようだ。
とにかくホストのジアドと連絡をとらねば。
彼からメッセージが届いていた。
待ち合わせの段取りが書いてある。
これで今夜は野宿せずにすみそうだ。
突然回線が途切れた。
フリーのWiFiは15分間だけのようだ。
後は金を払えということらしい。
次はお金だ。
ここではディナーやフェリーの予約などで結構出費がかさみそうなので多めに用意しておきたい。
まずはノルウェーのお金を交換した後、ATMを探す。
やっと見つけたATMは私が使ったとたんに故障した。
さっきまで正常に動いていたのに・・・
使い方が間違っているのかと思い、他の人に変わってもらったがダメだった。
後ろに並んでいる人たちが恨めしそうに私を見る。
私が悪いのか?
逃げるようにその場を去った。
次はフェリー会社の事務所を探す。
だが、その場所にはメガネ屋さんがあった。
どうやら別の場所に移動したらしい。
時間を無駄にしてしまった。
急いでガムラスタンに向かう。
話に聞いていた以上に美しい街だ。
天気もよく気持ちいい日だが、その分観光客も多い。
朝早くに来るべき場所だな、ここは。
一通りガムラスタンを堪能した後、ジアドとの待ち合わせの場所に向う。
彼は車で迎えに来てくれた。
とても親切そうな人だ。
ジアドはパレスチナ出身で、二人の娘さんがいる。
家のあちこちに彼女たちの写真が飾ってある。
二人ともとても美人だ。
紹介してくれ、と頼んだら即座に却下された。
お前とはあまりにも歳が離れすぎているじゃないか、と苦笑していた。
そりゃそうだ。ジアドと私とは同年代。
彼の娘さんたちは18歳と22歳なのだから。
スウェーデン料理を食べたかったので、レストランに行こうとジアドを誘ったのだが、彼が料理を作ってくれるという。
パレスチナ料理だ。
しかもうれしいことに、ご飯も炊いてくれるらしい。
毎日パンばかりで、そろそろ日本食が恋しくなってきていたので、これはなんともありがたい申し出だ。
もっとも、日本のご飯とはかなり異なる代物だったが。
ジアドは大量の肉を焼いてくれたのだが、味付けはかなりいい加減。
パレスチナの調味料を適当にフライパンに放り込む。
彼は健康にはかなり気を使っているようで、野菜も豊富にストックしてある。
スウェーデンのビールも振舞ってくれた。
なんとも豪華な食事だ。
一本のビールでフラフラになり、ムチャクチャ眠たくなってきた。
だが、私にはまだやることがある。
明日はなんとしてもヴィスビィに行きたい。
何かいい案はないかとジアドに聞いてみたが、どうもなさそうだ。
ジアドはもう一泊余分に泊まっていけばいい、と言ってくれるが、
フィンランドでのホストはもうすでに決まっている。
ここがカウチサーフィンの悲しいところだ。
ヴィスビィは断念するしかなさそうだ。
また宿題が増えてしまった。
ジアドの娘さんのベッドで寝させてもらう。
フカフカしてとても気持ちいい。
今夜もぐっすり眠れそうだ。
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