ソグネフィヨルド ベルゲン ブリュッゲン












ソグネフィヨルド ノルウェー
夜行列車には薄い毛布と枕とアイマスクが用意されていた。
だが、そう簡単に眠れるわけではない。
車内の電灯はつきっぱなし。
それでも無理して眠る努力はした。
外は暗くてよく見えないが、時折白いものが積もっているのが見える。
まさか雪だろうか。
5:00過ぎに車掌が起こしにきてくれた。
次の駅がボスだという。
けっこう親切なんだな。
列車を降り、駅の待合室に入る。
幸いなことに、暖房が効いていて暖かい。
さらに驚いたことに、WiFiが使える。
これはいい。
グドヴァンゲン行のバスは10:00にならないと来ないので、ここで情報の整理ができる。
夜が明けてきたので外を見ると、山の上は真っ白だった。
まだ10月だというのにもう雪が積もっている。
さすがノルウェー。
10:00になると、バスの乗客がどこからともなく大量に現れた。
オフシーズンだというのに、あっという間にバスは満員になってしまった。
そして、その半数以上が中国人とおぼしき団体だ。
このヨーロッパ旅行では、どこに行っても中国人に出くわす。
チャイナパワーをまざまざと見せつけられた。
彼らはとにかく騒々しい。
少数派のヨーロッパ人観光客は肩身が狭そうだ。
バスは川沿いを進んで行く。
道の両脇には断崖が迫る。
まさに絶景だ。
フェリー乗り場のあるグドヴァンゲンも素晴らしい景色だ。
思わず絵葉書を買ってしまった。
フェリーはとても混雑していた。
これがもし夏だったら、いったいどれほど混むのだろう。
あいにくと小雨がパラつき、時折靄がかかる。
それでも乗客は皆甲板に出ている。
この景色を見逃したくはないのだろう。
ここで日本人観光客の団体が加わってきた。
だがその数は中国人の団体に劣っている。
船が見所を通過するたびに解説のアナウンスが流れる。
日本語も中国語もある。
スカンジナビア半島のフィヨルド上を多数のアジア人が闊歩している。
そんな時代なんだな。
船の上で日本人カップルに写真を撮ってもらった。
しばらくしてから、今度は日本人の年配の夫婦に写真を撮ってもらった。
フィヨルド観光の船の上は中国人と日本人だらけだ。
風と雨がますます強くなってきたので、ひとまず船内に退避した。
体を温めるためにココアを頼んだら、えらく高かった。
ノルウェーの物価の高さは噂に聞いていたが、まさかここまでとは・・・
フロムについた時には晴れ間が出てきた。
ここもえらく美しい。
日本人の団体はここにホテルを取ってあるらしく、ゾロゾロと歩いて行った。
せっかくここまで来たのだから、ウルネスのスターヴ教会を見てみたい。
インフォメーションセンターは閉まっていたので郵便局で行き方を尋ねた。
どうやら5:00までに戻ってくることは難しそうだ。
シーズンオフの今は直通バスはなく、接続も悪いらしい。
レンタサイクルも考えたが直線距離で20キロ以上ある。
そうだ、ヒッチハイクという手がある。
だが、一向に車は通らない。
どうやらここは、観光客しか来ない僻地らしい。
仕方が無い。
また今度来よう。
フロムからミュルダールまでのフロム鉄道では、またしても中国人観光客の団体と一緒になった。
彼らのガイドはなかなか優秀で、車内のアナウンスが流れる前に乗客に撮影ポイントを教えている。
その度に皆が一斉に立ち上がり、カメラのシャッターをきる。
右側の景色の次は左。
車両内を縦横無尽に動き回る。
中国人の団体の貸切状態の車両だからできることだ。
もちろん私も彼らに倣って写真を撮った。
終点のミュルダール駅は雪景色だった。
横殴りの吹雪が荒れ狂っている。
積雪は10~20センチくらいだろうか。
ウソだろ。
まだ10月だぞ。
日本を出る時は半袖のシャツを着ていたような気がする。
雪を踏みしめてプラットフォームを歩く。
ここからベルゲン行きの列車に乗り換えるのだ。
ベルゲン行きの電車の中ではインターネットが使えた。
だが、トンネルや山を通過する度に接続が途切れる。
それに恐ろしく遅い。
全く使い物にならない。
所詮は無料のWiFi。
そんなものか。
ベルゲンに到着したら一目散にブリュッゲンに向かった。
雨が降っていたが、港町は美しかった。
潮の香りに混じって、時折魚の美味しそうな匂いが漂ってくる。
向こうから歩いて来た人にカメラのシャッターを押してもらったら怪訝な顔をされた。
地元の人からすれば、どうしてこんな所で記念撮影するのか理解できないのだろう。
再びベルゲンの駅に戻り夜行列車の手配をする。
出発まで4時間以上もある。
この駅には時間を潰せそうな施設はない。
おまけに待合室は寒い。
さらにトイレは例のごとく有料。
さて、どうするかな。
ベルゲンの駅の中にはロクな施設がないので、外に出てみると、ショッピングモールらしきものがある。
そういえばお腹が減って来た。
最近やたらと日本食が恋しくなってきた。
米の飯が食いたい。
温かいそばをズルズルとすすりたい。
ヨーロッパにある日本食レストランは期待できそうにないので、スーパーに入った。
もしかしたら何かいい食材が見つかるかもしれない。
が、無かった。
パンばっかり。
もううんざりだ。
結局その日の夕食はサブウェイ。
せっかくノルウェーにいるのだからサーモンを選んだ。
ショッピングモールも閉まりそうだったので、冷たい雨の中 駅へと戻る。
寒い。
なんとか眠ろうとしたが、体が震えて無理だ。
眠いのに寝れない。
そんな状態が、電車がやってくるまで続いた。
電車の中は暖かかった。
これでゆっくり眠れる。
が、この電車もインターネットが使えたのでしばらくはiPadと格闘する。
インターネットが使える時に出来るだけのことはしておきたい。
この列車のインターネットも遅く、あまりはかどらなかったが。
夜中に目が覚めた。
近くの席の男性が電話で話している。
夜中の2時を回っている。
夜行列車で電話なんて非常識だな。
周りの人はみんな眠っているというのに。
結局その男性は一時間以上もしゃべり続けていた。
ニ晩続けての夜行列車。
シャワー浴びたいな。
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