







コペンハーゲン デンマーク
ついにエマとの別れの時が来た。
あまりにも居心地がいいのでもっと長居したいがそうもいかない。
エマは今日は休みを取ってくれたらしい。
そして駅までついて来てくれて、私をコペンハーゲン行きの電車に乗せてくれるという。
彼女には感謝してもしきれない。
今朝も彼女は栄養たっぷりの野菜と果物入りのシリアルを用意してくれた。
さらにバナナやケーキを昼食にと私に持たせてくれた。
どうしてそこまでしてくれるのだろう。
確かに私は京都で3日間彼女をホストした。
だが、けっして良いホストではなかった。
今となっては、なぜもっとエマに京都で親切にしておかなかったのだろうと後悔の念がつのるばかりだ。
コペンハーゲン行の電車は5分ほど遅れるらしい。
しかも今日は工事があるので、この電車はコペンハーゲンまでは行かず、途中でローカル線に乗り換えなければならないらしい。
やれやれ。
今日も気の抜けない一日になるのか。
まあいいか。
エマの家でたっぷり鋭気を養ったのだから。
電車がホームに入ってきた。
最後に抱きしめあった。
なんなんだろう、この暖かい気持ちは。
涙をこらえるのに苦労した。
電車が動き出してもエマは手を振ってくれている。
こちらも振り返す。
絶対にまたドイツに、リューベックに戻ってこよう。
いつになるかわからないけど。
一時間ほど列車に揺られていると、アナウンスが流れて来た。
どうやら列車から降りなければならないらしい。
エマから聞いていた通りだ。
列車ごとフェリーに乗ってデンマークへと渡るのだが、その間乗客はフェリーに移らなければならない。
バルト海クルーズだ。
船の上でエマからもらったランチを食べたいのだが、まだお腹は空いていない。
残念。
せっかく天気に恵まれ、波も穏やかなのに。
船に乗っていたのは一時間足らず。
デンマークでの計画を練っていたらあっという間に着いた。
バルト海の航海を楽しむ時間は無かった。
それから30分ほど電車に乗ったらまた乗り換え。(Nykobing F)
あわただしいがこれで最後だ。
あとはデンマークまで一直線。
列車は海の上を走っていた。
海上を鉄橋が通っているので、なんとも爽快な眺めだ。
そしてついにコペンハーゲンに到着する。
まだ13時前。
どうしようか迷ったが、足を伸ばしてクロンボー城まで行くことにした。
人魚の像などの市内観光は明日でもできる。
コペンハーゲンの駅の構内にセブンイレブンを発見した。
せっかくはるばるヨーロッパくんだりまで来たのだから、日本の事など忘れたいのだが、やはりなんだか懐かしい。
嬉しくなって何枚も写真を撮っていたら、周りの人に変な目で見られた。
そりゃそうだろう。
こんな何の変哲もない店を写真に撮るのは日本人くらいのものだ。
クロンボー城はすぐにわかった。
なにせ駅を出たら海の向こうにどっしりとそびえ立っているのだから。
ここはシェイクスピアのハムレットとゆかりがあるということなので、前から来てみたかった。
前と後ろに大きなリュックを背負って観光している姿がおかしいらしく、チラチラこちらを見る人もいる。
天気予報によると明日は雨だというので、今日中にコペンハーゲンも見てしまうことにした。
チボリ公園、クリスチャンボー城、ローゼンボー離宮、アメリエンボー宮殿を文字通り「駆け足で」通り抜ける。
そしてお待ちかね、人魚の像だ。
噂通り、人魚の周りには人だかりができていたのですぐにわかった。
そして噂通り、
「へえー、それで?」
と言いたくなるほど普通の人魚の像だ。
なぜこの像を見るために世界中から観光客が押し寄せるのか不思議だ。
典型的な観光地が大好きな私にとっては、この人魚の像は外せなかった。
我ながら馬鹿げているとは思うが。
カステレット要塞をグルっと回ってエストーの駅へと向かう。
要塞と言ってもそんなにものものしくはなかった。
コペンハーゲンでのホスト、フィンの家へは自力で行かなければならない。
少し不安だったがわりとあっさりとたどり着いた。
奥さんと娘さんはローマに旅行中。
もう一人の娘さんは中国に留学中。
そして、カウチサーフィンとは別に、中国からの留学生も受け入れているとか。
フィンのもてなしは至れり尽くせりだった。
私が何も言わないのに、
デンマークのビールが飲みたかろうと ご馳走してくれた。
とにかく親切。
カウチサーファーには親切な人が多いが、彼は飛び抜けている。
机付きの個室があてがわれ、WiFiも使える。
シャワーを浴びていたら、別のカウチサーファーがやって来た。
台湾からの2人組の女の子だ。
ノルウェーに留学中らしい。
彼女たちのイングリッシュネームはエマとレベッカ。
もちろん顔つきは典型的なアジア人。
何か違うなあ。
彼女たちはMBAを取得している。
英語もなかなかのレベルだ。
北海道に旅行したこともあるらしい。
やはりカウチサーファーはアクティブだな。
フィンは夕食を作ってくれた。
カボチャのスープにジャガイモ、ミートボール、人参とグリーンピース。
典型的なデンマーク料理だという。
さらに別のデンマークのビールもいただいた。
なんというもてなしぶり。
こちらにできることと言えば皿洗いくらい。
ありがたすぎて恐縮してしまう。
夕食の後は四人でおしゃべりをしたのだが、昼間の疲れと日本のビールのせいで、とにかく眠い。
まぶたが重い。
意識がもうろうとしてきた。
本当は次のホストを探さなければならないのだが、眠ってしまった。
しかも、目覚ましをかけていたにもかかわらず、翌朝起きることができなかった。
フィンに相談した。
午前中いっぱいこの家に滞在してもいいかを。
彼は快く承知してくれた。
仕事に行かなければならない彼は、家の鍵まで渡してくれた。
なんてことだ。
数時間かけて、今後の二週間分のカウチリクエストを書いた。
まだスウェーデンでのホストが見つかっていない。
あせる。
昼前に、誰もいないフィンの家を後にした。
昨日とは打って変わって、外は冷たい雨。
昨日のうちにコペンハーゲンを見ておいてほんとに良かった。
フィンには何かお返しがしたい。
日本に帰ったら、何か贈ろうと思う。
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