キンデルダイク Delft ロッテルダム オランダ













キンデルダイク Delft ロッテルダム オランダ
昨日の夜はよく眠れなかった。
というのも、二匹の猫たちが私の周りを一晩中ウロウロしていたからだ。
彼らはお腹がすくとペロペロと人を舐めるクセがあるのだ。
たまらず毛布を被って防御したのだが、少し油断するとすぐに中に入り込んできて私の顔を舐める。
なんなんだ、お前らは。
最終的には諦めておとなしくなったが、それでも私の布団の上にどっかと陣取っている。
まあ、暖かかったから良しとするか。
この日の朝もマーティンが駅まで一緒に着いてきてくれた。
途中で朝食用のスナックを買う。
私が選んだのは、オランダのオリジナルのお菓子。
主にクリスマスに子供達が食べる物だそうだ。
クリスマスには少し早いがまあいいか。
ここはお礼に私が支払おうとしたのだが、マーティンがさっさと支払ってしまった。
私の分も。
彼曰く、サンタクロースからのプレゼントだそうだ。
マーティンは親切にも、駅前のインフォメーションセンターまで着いてきてくれた。
だが、ここが開くのは9:00から。
彼には仕事があるので、ここでお別れだ。
インフォメーションセンターでキンデルダイクへの行き方を尋ねる。
メトロとバスを乗り継がなければならないようだ。
大丈夫かな。
と思っていたら、いきなりつまづいた。
メトロの切符の買い方がわからない。
英語表記に自動券売機を変えてみたが、やはりわからない。
仕方なく、さきのインフォメーションセンターに戻って一日券を購入した。
7ユーロなり。
メトロの次はバスだ。
バス停らしきところで私の乗るバスを待つ。
が、なかなか来ない。
何か変だ。
そういえば、時刻表らしき物がどこにもない。
それに、降りる人ばかりで、乗る人は一人もいない。
バスからおりてきた人に聞くと、ここは下車専用で、乗車場所はまた別だという。
さらにバス乗り場の場所を聞いて、なんとかたどり着いた。
運転手にキンデルダイクに行きたい旨を告げて、切符を買う。
4ユーロなり。
どこで降りたらいいかはこの運転手が教えてくれるだろう。
これで一安心だ。
しかし、物事はそううまくは運ばない。
途中で運転手が交代してしまったのだ。
幸いなことに、このバスにはディスプレイが搭載されていて、次の停留所がわかるようになっている。
このディスプレイによると、次の次の停留所で降りればいいらしい。
その瞬間、新しい運転手が
「次の次だ」
と怒鳴った。
どうやら前の運転手から引き継いでいたらしい。
降りる準備をしていると、バスの運転手がまた怒鳴った。
「ベルを押せ」
私がここで降りることはわかっているくせに・・・
とうとうやって来た、キンデルダイクに。
私の頭の中では、オランダと言えば風車とチューリップなのだ。
実際には、チューリップはどこにもなかったけれど。
天気は快晴で、マーティンによると、この時期にここまで晴れて暖かくなるのはとても珍しいそうだ。
私はツいてる。
オフシーズンのため、観光客はほとんどいない。
マラソンや犬の散歩、釣りをしている地元の人の方が多いくらいだ。
そのためとても静かだ。
鳥のさえずりしか聞こえない。
今私はこの雄大な景色を独り占めしている。
なんてぜいたくなんだろう。
ただ、私の写真を撮ってくれる人を探すのに苦労したが。
ここキンデルダイクはけっこう広く、自転車をレンタルして回る人が大半だった。
だが、やはりここは自分の足でじっくりと回りたい。
ガイドブックや他の人の話だと、一時間もあれば十分とのことだったが、私は二時間くらい費やした。
さっさと素通りするのはあまりにももったいない。
例のごとく絵葉書を買って、バスを待つ間に書いた。
もちろんペギーにだ。
だって他に書く人がいないのだから仕方が無い。
自分に宛てて、日本に送るということも考えたが、どうもモチベーションが湧かない。
帰りのバスにユーレイルパスが使えるか試してみたがダメだった。
今夜はマーティンたちと夕食を一緒に食べる約束をしている。
が、まだかなり時間があったので、もう一箇所見物することにした。
Delftだ。
ここのことはマーティンが教えてくれた。
古い街並みが残っていて、アムステルダムのように運河もたくさん走っていて、なおかつアムステルダムのように観光客でごった返してはいないそうだ。
ロッテルダムからデルフトまでは電車ですぐだった。
地図を持っていなかったが、電車を降りるとすぐに教会の塔が見えたのでそちらの方向に歩いていったら着いた。
なんて適当なんだ。
確かにデルフトはきれいだった。
ゴミゴミしていないし、ときおりオルゴールの美しい音色が聞こえる。
結局街を一周してしまった。
それにしても今日はよく歩いた。
もう一箇所、ハーグに行く時間はあったが、欲張るのはやめよう。
おとなしくロッテルダムに引き返して来た。
お腹が減った。
マーティンたちはどんなレストランに連れていってくれるのだろう。
楽しみだ。
待ち合わせの場所でウロウロしていると、10代の女の子二人が近づいて来た。
何か話しかけて来たので、なんだろうと思っていると、カンフーパンダのモノマネをしているようだ。
どうやらからかわれているらしい。
やはり東洋人に対する差別というのは存在するのだろうか。
これまでそんなふうに感じたことはなかったのだが。
マーティンは精力的にロッテルダムの街を案内してくれた。
やはりオランダにはセンスのいい建物が多い。
なかでもキューブハウスというのは奇抜で楽しかった。
そのあとはエラと合流して夕食に。
なかなかおしゃれなレストランで、私一人なら決して来なかっただろう。
お腹が空いていたので調子に乗って頼んだら、予想外のボリュームの多さで、たくさん残してしまった。
翌朝の朝食に持って帰りたかったのだが、貧乏くさい行為はこのレストランにはふさわしくなさそうだったのでやめておいた。
その後もマーティンは私を夜のロッテルダムに連れ出してくれた。
今日はたくさん歩いたので、正直、疲れていたのだが、せっかくの好意を無にするわけにはいかない。
トラムに乗って、港まで大きな橋を見に行った。
そのあとはパブやレストランの集まる路地。
インドネシアやトルコなど、とても国際色豊かな看板が楽しかった。
家に帰ってからも、私のために電車の時間を調べてくれたりした。
今回もよいホストに恵まれた。
疲れている私を気遣ってか、今夜は猫たちの攻撃を受けなかった。
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