嵐の中を

(建仁寺)
台風が直撃することはわかっていました。
雨の中を観光するなんて、ばかげていると思いました。
しかしヴァネッサはそんなことにはおかまいなしです。
さっさと準備を済ませて、私を待っています。
確かに、京都を案内する、とは約束したものの、
毎日のつもりじゃありませんでした。
しかも、台風直撃の日に・・・
幸いなことに、雨は小康状態。
このすきに一つでも多くの観光地を回ってしまおう。
白川、巽橋、祇園、と回って、建仁寺へ。
台風の影響で人影もまばらで、なかなかしっとりとした風情があります。

(円山公園)
歩き疲れたので円山公園で少し休憩。
二人でおやつを食べていると、アヒルが寄ってきました。

ここの鳥たちは観光客慣れしているらしく、
まったく人間をおそれません。
というより、かなり図々しかったです。


(円山公園の池)
なんとか天気も持ちこたえそうだったので、
知恩院へと向かいました。
ちょうどお坊さんたちが読経をされていたので、
畳の上で休憩(昼寝?)をすることに。

(知恩院)
エネルギーを回復した我々は、再び知恩院を散策し始めました。
渡り廊下ではヴァネッサがビデオを録画しています。
何をしているのかと尋ねると、
廊下のきしむ音を録音しているそうです。
昨日、二条城を訪れた時、
鴬張りの廊下の事を彼女に説明したのですが、
あいにくとここは撮影禁止です。
そこで、この知恩院で録音をしているのだとか。
でも、これは鴬張りじゃないような・・・。
確かに似た音はしますが。

(三十三間堂)
知恩院の後は哲学の道、銀閣寺へと行く予定だったのですが、
あいにくと雨が本降りになってきました。
ヴァネッサが叫びます。
「プランB!!!!!」
オーストラリアの女性は、いちいちリアクションが大きいです。
人間の考えることはみな同じようで、
台風を避けるために大勢の人が三十三間堂に押し寄せてきました。
こんなに混雑しているのを見るのは初めてです。
雨の降る土曜日に三十三間堂や錦市場に行くのはやめましょう。

三十三間堂の説明パネルの中に、
宮本武蔵の逸話があります。
このサムライはとても有名な人物で、
彼は、ここ、三十三間堂で決闘したんだ、
と私が説明すると、ヴァネッサがニヤリと笑います。
彼女は、なにやら良くない事を思いついたようです。

ヴァネッサは、傘を刀に見立てて私に斬りかかってきました。
台風のせいで思う存分観光ができないからストレスが溜まっていたのでしょう。
もしも日本人が同じことをしたら、
ただの「痛い人」ですが、
欧米人がこんなアホなことをしても、まあ大目に見てもらえるでしょう。
私は純日本人ですが。

戦いがすんで、勝ち誇るヴァネッサ。
彼女はとても美人なのですが、とりすましたところが無く、
とても好感が持てます。

せっかく三十三間堂に来たんだから、
せめて一枚くらいはまともな写真を撮ろうとしたのですが
風が邪魔をします。
それにしても、こんな風の強い日にスカートをはいてくるなんて
いったいどういうつもりなんでしょうか。
強風が吹くたびにワクワク、いやヒヤヒヤします。

(スーパー銭湯にて)
いよいよ風雨が激しくなってきたので
スーパー銭湯で時間をつぶすことに決定。
ヴァネッサは韓国で1年暮らしていたので、
お風呂は初めてではありません。
それでもそれなりに日本の風呂を満喫したようです。
約束の2時間を過ぎても
なかなか彼女は出てきませんでした。

女性のカウチサーファーと温泉に行っても、
一緒に入れるわけではないので、
あまり意味はありません。
それでも、台風の中を歩き回った我々には休息が必要でした。
それに、風呂から出てきたヴァネッサは髪型もメイクもばっちり決めて、
美しさが倍増しています。
家に帰るのはまだ早いので、
先斗町や木屋町を散策することにしました。
暴風雨はさらに激しさを増していましたが、
お風呂でリフレッシュした我々の敵ではありません。

先斗町はとても狭いので、
必然的に二人の距離は近くなります。
しかも、あまりの強風のため、
ヴァネッサは傘を使うことができません。
昨日に引き続き、今日も相合傘。
風呂上がりの彼女のまわりには、石鹸のいい香りが立ち込めています。
頭がクラクラしてきました。
ほどよく歩き疲れたところで夕食にします。
ヴァネッサが日本の居酒屋を希望したので
「和民」に決定。
なんだか定番のデートコースになってしまいました。
しかし、彼女にはアメリカ人の彼氏が・・・
まあいいか。
そのことは考えないようにしよう。
ここで飲んだ梅酒が気にいったらしく、
ヴァネッサは帰り道にコンビニでさらに梅酒を購入していました。
私の分も。
明日は日曜日で、しかも大雨。
外出はあきらめて、
思いっ切り朝寝坊しようということになりました。
梅酒をチビチビ飲みながら、
トランプをして夜更かし。
京都観光ばかりではなく、
たまにはこういうカウチサーフィンもいいものですね。
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