逃した魚は・・・

カウチサーフィン（スペイン、マリアン）



郵便受けにエアメールが入っていた。

イギリスからだ。


封を開けると、絵葉書が一枚入っていた。

マリアンからだった。


しかし、なぜ絵葉書をわざわざ封筒に入れて送ってきたんだろう。

料金が高くつくだろうに・・・




マリアンはスペイン育ちだが、

現在はイギリスのリードで暮らしている。



マリアンは、京都にいたときは出費を限界まで切り詰めていた。

たった５００円の市バス一日乗車券すら買わなかったのだ。

一日中京都中を歩きづめだった。

もちろん私もその巻き添えを食った。



そんな貧乏娘が、今は中国を旅行している。

どこからそんなお金を工面したんだか・・・



（右側がマリアン。FACEBOOKより。）


絵葉書のお礼を言おうと思い、

FACEBOOKのマリアンのページに飛んだ。



新しい写真が何枚か追加されている。


ん？

そのうちの一枚に目が止まった。



メガネを外したマリアンの写真だった。


マリアンって、こんなに美人だったんだ。



私の家にいたとき、

彼女はずっとメガネをかけていた。

長期間の旅行中だったので、髪型もイマイチ。


だから、彼女のことを美人だと思ったことはなかった。



彼女が日本に滞在していたちょうどその時、

福島で津波と原発の事故が起こった。


情報が錯綜し、混乱した状況の中、

マリアンはあわただしく帰国していった。


じっくりとさよならを言う機会がなかったのが心残りだった。


もし私がイギリスかスペインに行くチャンスがあれば

彼女ともう一度会ってみたいな。



そう考えて、封筒や絵葉書をもう一度見返す。

あれ？

何かが足りない。


彼女の住所がどこにも書いていないのだ。



これは　やんわりと拒絶されてるのかな？


実は私がストーカーだということを

どうやら彼女は気づいていたらしい。




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