「凶」とチークキス

「ツナが好きだ!」
という彼らの要望にこたえて、
今日の晩御飯はまぐろ丼。
私はそれに加えて納豆も食べるのだが、
ポールとマリーは、
「糸を引いている食べ物はちょっと・・・」
と言って食べようとしない。
さすがの陽気なスパニッシュも、
納豆には勝てないらしい。
私は生卵をまぐろ丼に入れて食べる。
好奇心旺盛なポールは真似をして食べようとしたが、
直前になって止めた。
「やっぱり俺は、まぐろ本来の素材を味わって食べたい」
というのが表向きの理由だ。
彼らは昨日、清水寺でおみくじをひいたらしい。
うれしそうにその時の写真を見せてくれた。
ところが、そのおみくじは、「凶」。
私の表情が曇ったのを、
彼らは見逃さなかった。
「なんて書いてあるの?
正直に教えて、マサト。」
うそをつくのが苦手な私は正直に全文を翻訳しました。
・もしも病気にかかったら、
十中六七は死に至る。
「オオゥゥー!」
うめき声をあげる二人。
・今、旅をするのは危険。
避けるべし。
「今すぐスペインに帰れっ、てこと?」
・現在の状況は何をやっても物事はうまく運ばない。
心を素直にし、祈れ!
「神って、どの神?
キリスト教?神道?仏教?」
彼らはかなり信心深いようで、
ずーっとこのおみくじのことを気にしていました。
夕食後、彼らの国の事を聞いていたのですが、
スペインの経済状態はかなり悪いようです。
ポールもマリーも大卒です。
それなのに、給料はスズメの涙。
二人ともせっせと働かなくては、とても暮らしていけないとか。
その割には、1カ月間も日本を旅行しているわけですけど・・・・。
彼らは少しでも収入を増やすために、
インターネットでクッキーを売っています。
彼らの手作りのクッキーです。
FACEBOOKの彼らのページを教えてもらいました。
ポールはしきりと「いいね!」ボタンを押せ押せと言ってきます。
彼らのショップの評判を、少しでも上げたいようです。
みなさんも、もしよかったら、彼らのクッキー・ショップの「いいね!」ボタンを押してあげてください。
そしてついに、彼らとの別れの時がやってきました。
バス停で一緒に京都駅行きのバスを待ちます。
彼らはホントに陽気で、
そのくせ、妙に律儀な所もある二人です。
もっと一緒にいたかった。
最後に、マリーがチークキスをしてくれます。
これが彼らの習慣なんだ、
とわかってはいても、
やはり照れくさいですね。
バス停には他の人もいるわけですし。
「マサトもチュッ、チュッと音をたててキスをして!」
と言われたのですが、
そんなこととてもできません。
ポールとマリーはお土産もくれました。
絵ハガキと扇子です。

この扇子は、ポールの勤めている鉄道会社のものなんだそうです。

そしてこの絵葉書。
いかにもスペインちっくでいいです。
いつかきっとマドリードを訪れて、
彼らに会おう。
その時には、うまくチークキスができるようになってる(かな?)
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