カウチサーフィン(CouchSurfing)と愉快な仲間たち

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目のやり場に困る (オデッサ、ウクライナ)

オデッサ(ウクライナ)でカウチサーフィン(CouchSurfing)


記念撮影と職務質問でかなり時間を食ってしまった。
列車はほぼ定刻に到着したから、オデッサの駅にはカウチサーフィンのホスト、サンベルが迎えに来てくれているはずだ。
彼を待たせてしまったか?

急いで駅舎に向かって歩いていると、

「マサト?」

と呼びかけられた。
どうやら彼がサンベルらしい。

カウチサーフィンのプロフィールで見るよりもなかなかの男前。

「いやあ、ごめん、ごめん。
 警察官に職務質問されちゃってさあ。
 ほら、これ見てよ。
 侍の刀に見えるだろ? 
 これのせいで警官に怪しまれたんだよ」

と弁解しても、

「それが彼らの仕事だからな。
 長旅で疲れただろ。
 荷物を持つよ」

とサンベル。
予想以上に親切な好青年だ。

彼とは日本を発つずいぶん前からFacebookで友達になっていたのだが、サンベルはあまりFacebookのヘビーユーザーではないらしい。
サンベルがカウチサーフィンを利用するのは今回が初めて。
CouchSurfingのプロフィール・ページもほとんど白紙で、顔が見えない。
彼について事前に得られる情報量が少なく、
「いったいどんな人なんだろう?」
と少し不安に思っていたのだが、取り越し苦労だったようだ。


「ここから君の家までは遠いのかい?」
「いや、車で来てるからすぐだ」

やったー。
重い荷物を持って歩かなくてすむ。

駅前に停めてあった彼の車を見て驚いた。





「BMWじゃないか!」
「中古の安物だけどね」

サンベルはそう謙遜するが、腐っても鯛だ。
ひょっとして俺はいいホストに拾われたのかもしれない。
今回の旅ではこれまでずっとホストに恵まれてきたのだが、正直言ってサンベルにはあまり期待していなかった。
だが、どうやらそれはうれしい誤算だったようだ。
そしてそのことはすぐに別の事実によって裏付けられた。

豪華な門をくぐり、広大な中庭に車を停めると、そこには風格を感じさせる建物がそびえていた。
共産主義時代、この土地を治める高級官僚用に建設されたものらしい。

天井がおそろしく高い。
必要以上に高い。
「電球を取り替える時はどうするんだろう?」
と余計な心配をしてしまうほどに高い。

「若造のくせにこんなに高そうな家で暮らしているのかよ」

内心、彼に嫉妬したのだが、家の中に入ってすぐにそれは憎悪に変わった。
サンベルの奥さんが私のために食事を用意して待っていてくれたのだが、これがまたとんでもない美人(しかも色っぽい)。
そして彼女の手料理も見るからにおいしそう。

BMWを乗りこなすイケメンで、
歴史のある豪邸に住み、
料理が上手でとびきり美人(しかも色っぽい)の奥さんを持つ男。

幸せいっぱい、ラブラブ・モードのこの二人の愛の住処に、俺はこれから3日間お世話になるのか。
ラッキー!と思う一方で、どこかいじけている自分がいた。



( サンベルの奥さん、リーザの作ってくれた手料理)




食事が終わると、さっそく彼らが外に連れ出してくれた。
彼らの家はなかなかいいロケーションにあるみたいで、どこへ行くにも歩いて行ける。

外へ出てすぐに、キエフともリヴィウとも異なる開放的な雰囲気に圧倒された。
戦争で古い建物はあらかた破壊されたはずだが、いたるところに特徴的な建築群を目にすることができる。



彼らの家はパッサーシュのすぐ近くにあった。
ここはガイドブックも「忘れずのぞいてみよう」と推奨する場所。
「彫刻で飾られたアール・ヌーヴォー建築」がここのウリなのだが、アーケードに入るとまずその天井の高さに圧倒された。
それよりもさらに私を驚かせたのは、道行く人々の美しさ。
それほど着飾っているわけではないのだが、みんなスラリと姿勢がよく、「サッサッサッ」と軽やかに歩く。
おしゃれな街に住んでいる人はやはりおしゃれなのだな。
侍の衣装を忍ばせたリュックからにょきにょきと刀を生やしている自分が、とてつもなく場違いな存在に思えた。


(パッサーシュ)



ここから歩いて海まで行くのだという。
私が水着を持っていないことを伝えると、「じゃあここで買っていこう」という話になった。

この瞬間、私のヌーディストビーチへ行くという夢は潰えた。
リーザも一緒に行くというのに、
「いや、俺はヌーディストビーチに行きたいんだっ! ぜひ連れていってくれ」
なんて言えるわけがない。

来年の夏は、ホストのことを良く調べてからカウチリクエストを送るようにしようと思う。


「ビーチまでは歩いてすぐだよ」
と彼らは言うが、土地勘のない私にはかなりの距離を歩いているように感じられる。
汗もかいてきた。

「早く冷たい水に飛び込みたいなあ」
と思い始めたころ、大きなマンションが見えた。
ウクライナのセレブ御用達の超高級リゾートマンションらしい。



「海の見えるマンション」
ということは、ビーチはすぐそこのはずだ。

目を凝らすと、たしかに海が見える。
ついに来たぞ。
あれが黒海か。




ついにやってきたぞ、黒海!
はやる気持ちを抑えて、侍の衣装に着替える。

黒海に特に思い入れがあるわけでもないのに、こんなにもワクワクするのはなぜだろう。
なぜかリーザもうれしそうに一緒に写真を撮る。
ヌーディストビーチには行けなかったけど、こんな美人が一緒なんだからまあいいか。

人妻だけど・・・




石段を下りて海に近づくにつれ、ますますビーチリゾートらしくなってきた。
むちむちの水着に見を包んだお姉さんや、ほとんど裸同然で走り回る子供たち。

噴水からは勢いよく水が吹き出し、平和で開放的な光景がひろがる。
腰に刀を差し、暑苦しい格好をしている自分が、どうしようもなく場違いな存在に思えてきた。




砂浜だけでなく、コンクリートで固められた港の周辺も、水着姿で日光浴をしている人々であふれかえっていた。
なんだか想像していた「オデッサのビーチ」と少し違う。




途中、何人かのウクライナ人青年たちとすれ違った。
彼らは私にむかって何か言っている。
サムライのコスチュームを着てヨーロッパを歩いているとよくあることだ。

と思っていたのだが、どうもいつもと様子が違う。
彼らが話しているのは英語ではないので、なんと言っているのかはわからないが、どう見ても友好的な表情には見えない。
むしろ怒りをあらわにしている。
彼らの髪型はみんなスキンヘッドか丸刈りで、胸板も厚く太い腕をしている。
そんな男たちが私のことを血走った目でにらみつけているではないか。
いったいなにが起こってるんだ?

サンベルたちが困った表情をして彼らをなだめている。
彼らの言葉が理解できない私は、無理やり微笑を浮かべて
「私はみなさんの敵ではないですよ」
的なオーラを必死でふりまいていた。
それ以外に何をしたらいいのかわからなかったからだ。

怒れる青年たちからなんとか逃げ出したものの、彼らはずっと私のことをにらんでいた。
サンベルが説明してくれたところによると、私の侍の衣装についている家紋が、ロシア海軍のシンボルと似ている、といちゃもんをつけれらたようだ。

いやいや。
俺がロシア海軍の軍人に見えるか?
お前ら日本のサムライを見たことないのか?


現在、ウクライナとロシアは準戦争状態にある。
東部国境では激しい戦闘が続き、今も大勢の若者が命を落としている。
そんな状況下では血気盛んな青年たちが神経質になるのも無理はないのかもしれない。

道端や広場で目にする花束。
親ロ派との戦いで命を落とした若者たちの遺影。
我々日本人にとってウクライナ情勢とは、「遠い国の出来事」だが、彼らにとっては他人事ではない。
明日は我が身。
今そこにある危機。

深い青色をした大海原はどこまでも続き、きらきらと太陽の光を反射している。
どこからどう見ても平和そのものの風景だが、同じ黒海沿いのクリミア半島は現在、ロシアの制圧下にある。
戦争の影はここオデッサにも確実に忍び寄っていた。




砂浜にシートを広げ、腰を下ろす。
侍の衣装を脱ぎ、水着に着替える。
ここからはリゾート・モードだ。

だが、なんだか落ち着けない。
なんだろう、この違和感は?
日本のビーチとなにかが違う。

そうだ、まわりがみんな白人なのだ。
アジア人は私だけ。

たったそれだけの違いなのだが、その差はあまりにも大きい。
アジア人とヨーロッパ人。
服を脱いで水着になると、その差は絶望的なほどに一目瞭然だ。

男も女もみんな絵になるが、やはり若い女性に目が行ってしまう。
「目の保養」とはよく言ったもので、心地よい刺激に脳が痺れるような感覚をおぼえる。

一人や二人ではない。
すらりと手足の長いモデル体型の美女がそこらじゅうにうじゃうじゃいるのだ。
しかも色っぽい水着を着てビーチのあちこちに横たわっている。
あるいは金色の髪をなびかせながら砂浜を闊歩している。
豊満な肉体を揺らしながらビーチバレーをしている。

水着を着ていてもこうなのだ。
もしもヌーディストビーチなんかに行っていたら、きっと私はどうかなってしまっていたことだろう。


私の目の前には一人の若い女性が横たわっている。
ほんの数十センチほどの距離だ。
いや、数センチかもしれない。
だから普通に前を向いているだけで、いやでも彼女の姿態が目に飛び込んでくる。

アジア人とはまったく異なる極上のプロポーション。
彼女は日焼けしに来ているようで、全身くまなくこんがり焼くために、定期的に体の向きを変える。
まるで自慢の肉体を見せつけるかのように。
おかげで彼女の体をすみからすみまで観察することができた。

「このスケベ野郎」
との非難は甘んじて受けよう。

だが、私にどうしろというのだ?
手を伸ばせば触れる距離に極上の美女が横たわっているのだ。
どうしたって妖艶ボディが視界に飛び込んでくる。
ずっと目をつぶっていろとでも言うのか?
そんなことできるはずがない。



黒海の水は透明度が高いと聞いていたが、このビーチの水はそれほどでもなかった。
ビーチの砂の質も悪い。
大都市近郊の海水浴場なんてこんなものか。

だが黒海はでかい。
来年の夏はぜひとも隠れた穴場的ビーチを訪れてみたいものだ。
その頃にはウクライナ情勢も収束していることを望む。




歩いてサンベルたちの家に戻る。
影が長くなり、日没の時刻が近づいていることに気づかされる。





「TOKIO」という文字が見える。
ここでも日本料理は人気なようだ。




家に帰ると、リーザがホットサンドを作ってくれた。
ミッキーマウスの焼き色が入っている。




美人で料理上手な嫁さんと豪邸に住むサンベル。
気が向いたときにいつでも黒海に泳ぎに行ける。
なんともうらやましい生活だ。




少し休憩した後、サンベルたちは再び私を外へ連れ出してくれた。




この店は「KOBE」と書いてある。








通りは人であふれかえっている。
昼間よりも混雑しているくらいだ。

日中は暑いから、みんな日が暮れてから活動しはじめるのだとか。




有名な「ポチョムキンの階段」
明日はここをじっくりと歩く。
今夜はその下見だ。




階段を上るにつれて人混みが激しくなってきた。




ポチョムキンの階段からオデッサ港をのぞむ。
ここを紹介する写真はたいてい昼間に撮られたものだから、夜のオデッサ港は新鮮だった。
明日はここもじっくりと見物する。
オデッサのハイライトだ。




広場ではコンサートが催されていた。
ステージの上には、青と黄色のウクライナ国旗がひるがえっている。
明日はウクライナの独立記念日らしい。
今夜はその前夜祭ということか。




オデッサの姉妹都市の名前がずらりと並んでいる。
やはり港湾都市が多い。
左上の方に「横浜」の名が見える。




薄い壁のように見えるが、それは目の錯覚。
実は巨大な建築物なのだ。




サンベルとリーザは精力的に夜のオデッサを案内してくれた。
オデッサなんてポチョムキンの階段ぐらいしか見るべきものはないだろうと思っていたのだが、なかなかどうして。
とても魅力的な街だ。
やはり地元の人に案内してもらえるのはうれしい。






エカテリーナ2世像。



オデッサでカウチサーフィンのホストを探していた時、まっさきに私に声をかけてくれたのがサンベルだった。
早く宿泊先を確定させたかった私は、すぐに彼の申し出を受け入れた。

ところが、このオデッサという街はかなり開放的な土地柄らしく、その後たくさんのホストからオファーを受け取った。
なかには「日本人大好きっ! ぜひ私の家に泊まりに来て!」と言ってくれる女の子もいた。
彼女はかなりの美人だったので、早々にサンベルをホストに選んでしまった自分を恨んだりしたものだ。

だが、サンベルとリーザの家に泊まることにして正解だった。

彼らがカウチサーフィンに登録してからもう何年も経っている。
これまで彼らはホストした経験はない。
サーフしたこともない。
それなのに彼らの方から積極的なアプローチがあった。
私がカウチリクエストを送ったわけではない。

今までずっと幽霊部員状態だった彼らが、なぜ私を招いてくれたのかはわからない。
特に親日家というわけでもなさそうだ。

それなのにサンベルもリーザもこれ以上ないくらいに親切にしてくれる。
今回の旅行はほんとにホストに恵まれている。
あまりにもみんな私に親切にしてくれるものだから、なんだか逆にプレッシャーを感じてしまう。
私に親切にしたところで、彼らにはなんの得にもならない。
それなのに、どうしてここまでしてくれるんだ?
俺に彼らの好意を受け取る資格なんてあるのか?

私は今まで京都でたくさんのカウチサーファーをホストしてきた。
そうしておいて正解だったと思う。

でなければ、素晴らしいホスト達の善意に押しつぶされてしまっていたことだろう。

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リヴィウ~オデッサ(ウクライナ)



リヴィウの駅で、オデッサ行きの夜行列車を待つ。
深夜0:30の出発だから時間はたっぷりあるのだが、残念ながらWiFiは使えないようだ。

どうやって時間をつぶそうかと考えたあげく、ここのところ忙しくてつけることのできなかった日記をまとめて書くことにする。
ブログの更新はできなくとも、その日起こった出来事を記録するだけならばネット環境がなくてもできる。

「こんなおもしろいこと、記録なんかつけなくても忘れるはずがない」
と高をくくっていて痛い目に遭ったこともある。
毎日毎日が刺激的な出来事の連続だから、どこか外部に記録しておかないと脳と精神がパンクしてしまう。

私の旅は基本的にホテルを使わないスタイルだし、東欧のネットインフラは貧弱。
なかなかブログの更新ができず、たまりにたまっている。

でも、それはいいことだと思う。
毎日きっちりブログの更新ができるゆとりのある旅行なんてつまらない。


今夜の0:30から明日の午後12:30まで、まるまる12時間を夜行列車の中で過ごすことになる。
体力の温存を気にする必要はない。
時間に余裕があるこの機会に、ゆっくりと日記をつけることとしよう。




ひととおり日記を書き終えて、ふと顔をあげると待合室はほぼ埋まっていた。
もうすぐ深夜になろうかというのに、なんなんだこのにぎわいは。
リヴィウの駅は昼間よりも深夜の方が混雑している。

国土が広く、列車のスピードも遅いウクライナでは、長距離を移動するにはもっぱら夜行列車を使うのかもしれない。
東欧の他の国では電車よりもバスの方が便利なことが多いのだが、ウクライナに関しては夜行列車の方が断然使い勝手がよかった。


ふと、自分が空腹であることに気付く。
そういえばまだ夕食を食べてなかったっけ。

駅の構内には食事をする場所が何軒かあったのだが、さすがに夜中の11時30分を過ぎているので閉まっている。
売店でスナック菓子を売っているが、こんなのが晩飯だなんてあまりにも自分がかわいそすぎる。

待合室はほぼ満席だから、今ここで席を離れると座れなくなる恐れがある。
だが、私は食料をまったく持ち合わせていない。

旅人にやさしくないウクライナのことだ。
夜行列車の中で食事にありつける保証もなさそうだ。
あったとしても割増料金を取られるだろう。

駅の外に食料を調達しに出かけることにした。
用心のためにすべての荷物を持って行く。
後ろから前から、重たいリュックが肩に食い込む。
たかがパンを買うためだけなのにこの重労働。
一人旅は気楽でいいのだが、こういう場合に不便だ。


駅の外には店がいくつかあったはずなのに、みんな閉まっている。
「日本なら少し歩けば24時間営業のコンビニがいくらでも見つかるのに」
と思わず弱音をはきそうになる。

これまで当然だと思っていたことが、実は特別なことだったのだと思い知らされる。
東欧ではパンひとつ、シャーペン1本買うのさえ苦労することだってあるのだ。


幸いなことに、パン屋が一軒まだ開いていた。
列車の中では寝ることと食うことしか楽しみがないだろう。
少し多めにパンを買っておくことにしよう。
もしも余ったら、明日、黒海を眺めながら食べればいいさ。

黒海!

そうだ。
明日の午後には俺はオデッサにいるのか。
東欧屈指の保養地オデッサ!
意味もなく血がざわざわし始める。
なぜかって?

オデッサ近郊には有名なヌーディストビーチがある、らしい。
男に生まれたからには、一度くらい体験しておきたい。

それにここはウクライナ。
世界一の美女大国なのだ。

明日に備えて体力をつけとかないと。
パンをもう一つ追加注文した。

ニヤニヤしながらお金を払う俺のことを、店員は気味悪そうに見ていた。




食料を買い込んで戻ってくると、待合室の前に人だかりができていた。
それも尋常でない人数だ。
いったいなにが起こってるんだ?

こわごわ待合室の中をのぞいてみると、中にはほとんど人がいない。
どうやら深夜0時を過ぎると、全員追い出されるみたいだ。
きっと掃除でもするのだろう。

再び入室可能になるのをみんながかたずを飲んで待っている。
合図と同時に壮絶な椅子取り合戦が始まるに違いない。

夜中にそんな競争に巻き込まれるなんてごめんだ。
バックパックをイス代わりにすればどこにだって座れる。
どこか適当な場所を探していたら、別の待合室があった。
こちらはまだ空席が残っている。

それもそのはずで、こっちの待合室は有料。
インターネットも使えるらしい。
試しにWiFiの電波が拾えないか探してみたが、きっちりパスワードがかかっていた。
けち。

どうしてもインターネットが必要なわけではないし、あきらめて通路に腰をおろしてパンをかじる。
トイレももちろん有料。
列車の中ではただで使えるのだから、がまんすることにしよう。
ヨーロッパ旅行は膀胱に悪いのだな。

待合室の方が急に騒々しくなった。
どうやらイスの争奪戦が始まったようだ。
年寄りも子供も関係ない。
みんな必死の形相で場所を取りに殺到する。

なんでそこまで真剣にする必要があるんだ?
みんなこの駅で夜を明かすつもりなのだろうか。

私の乗る夜行列車はそろそろ到着するころだ。
リュックのひもを肩に食い込ませ、ホームへと向かう。




「一番安い席をくれ」
と注文すると、たいてい上段のベッドが割り当てられる。
下段の方が広くて、人気があるらしい。

でも私は上段のベッドの方が好きだ。
高い所への上り下りは苦にならないし、せまくても平気だ。
むしろこっちの方が落ち着く。
もしかしたら前世は猫だったのかもしれない。





夜行列車というのはほんとに人気があるようだ。
途中何回か列車は停まったのだが、そのたびに誰かが降りていくし、入れ替わりに誰かが入ってくる。
深夜の2時とか3時に乗り降りがあるものだから、そのたびに眠りが中断される。


私は基本的に列車やバスの予約をしない。
いつも当日にチケットを買ってきたし、それで売り切れだったことはなかった。

だが、それはたまたま運が良かっただけなのかもしれない。
この列車を見ている限り、車内は常に満席。
ということはチケットを買えずに乗れなかった人もかなりいるに違いない。




朝になり、そこかしこでいい匂いがたちこめ始める。
朝ごはんを食べているのだろう。
私も! と思うのだが、私のスペースは寝台の上段。
体を起こすだけのスペースはない。
しかたなくベッドを降りる。

コンパートメントは4人掛けで、私以外の3人は親子連れだった。
私一人が部外者なので、なんだか居心地が悪い。
座席の隅の方にちょこんと腰かけてパンをほおばる。
テーブルは親子連れが占領しているので、飲み物の置き場に困った。
列車はかなり揺れるので、こぼれないように気をつかう。





西ヨーロッパでは鉄道の時間はあてにならなかった。
1時間や2時間の遅れはざらだ。

だが、ウクライナでは列車の時刻はかなり正確。
もし予定通りに到着するとすれば、そろそろオデッサのはずだ。
トイレをすませ、荷物をまとめる。



そしてついにオデッサに到着!
空には雲一つなく、真っ青に晴れ渡っている。
この街が俺を歓迎してくれているように感じた。

それにしてもなんなんだ、この空気は?
同じウクライナなのに、ここはキエフともリヴィウともまったく異なる。
ただ快晴だからというだけではない。
体中がウキウキしてくる。

間違いなくオデッサには人を熱狂させるなにかがある。
だから毎年夏になると大勢の人がやってくるのだろう。


混雑する他の乗客の迷惑も考えず、調子に乗って記念撮影などしてしまった。
だめだ。
なんだか俺、舞い上がってる。

ラリッっているようにでも見えたのかもしれない。
ホームで警察官の職務質問を受けた。

「パスポートを見せろ。
 それはなんだ? お前は武器を持ち歩いているのか?」

武装した警官を前にしても臆することなく、私は嬉々として質問に答えていた。
オデッサでは警察官までもが俺を出迎えてくれている。
勝手にそんな勘違いまでしていた。




職務質問を終え、パスポートをしまう頃には他の乗客の姿はなくなっていた。
見上げると、そこには雄大なオデッサの駅舎がそびえている。

荷物を点検していて、キエフで泳いだ時に水着を忘れてきてしまったことに気付いた。
「新しい水着を買わなきゃだめだな。
 でもまあここはビーチリゾートだから、水着なんてどこにでも売ってるだろ」

などと考えている自分に気づいて、思わず苦笑してしまう。

水着なんていらないじゃないか。
だって、だって、ただのビーチじゃないのだから。


ついに来たぞオデッサ。

黒海だ!
ビーチだ!
ウクライナ美女だ!

テーマ : ヨーロッパ旅行記
ジャンル : 旅行

君の名は・・・(リヴィウ、ウクライナ)

サムライバックパッカー@リヴィウ(ウクライナ)


ヨーロッパを旅するようになってもうずいぶんと経つが、いまだにバスは苦手だ。
どこで降りればいいのかタイミングがつかめない。

だから目的地を運転手に連呼して、そこで降ろしてもらえるようにアピールする。
でもたいていの運転手は英語ができないので、返事がかえってこない。
私の言ったことを相手が理解したのかどうかわからず、不安なままバスに乗り続けることになる。

それでもリヴィウはまだましだ。
人々が親切で、助けてくれる。
英語なんてまったく話さないおじいさんですら手を差し伸べてくれる。
「ここで降りろ。わしの後をついてこい。駅まで案内してやる」
身振り手振りでそう言ってくれるのである。

私はこれまでたくさんの街を歩いてきた。
「土地柄」というのは確実に存在する。
リヴィウの人は間違いなくとても優しい。




文字は読めなくとも、なんとなく「リヴィウ」と書いてあるんだろうな、と推測できる。




チケット売り場がたくさん並んでいる。
これは電車の切符を買うのも簡単そうだ。
ガイドブックを見せながら、
「オデッサ、トゥナイト! オデッサ、トゥナイト!」
と連呼する。

だが、受付の女の人の反応はにぶい。
手をひらひらと振って、「あっちへ行け」というジェスチャーをする。

どうしてだ?
なんで切符を売ってくれないんだよ!

もしかして行き先ごとに窓口が異なるのだろうか?
どこにもそんなことは書いてないようだが、もしかしたらどこかに書いてあるのかもしれない。
たとえ書いてあったとしても、私はこの国の文字が読めない。

別の窓口に行ってオデッサ行きの切符を買おうとしたのだが、ここでも同じ反応をされた。
だが、さっきの女性よりはジェスチャーが複雑になっている。
どうやら「あっちへ行け」と追い払っているのではなく、こことは別のチケット売り場があるようだ。
あたりを見渡してみるも、それらしきものはない。

それでも女性の指し示した方向に歩いてみるしか他に選択肢はなさそうだ。
重いリュックを背負っているから、あまり無駄に歩きたくはない。
リヴィウ観光に費やせるのは今日一日だけだから、時間だって限られている。
さっさと夜行列車の切符を買って、リヴィウ市街に向かいたい。

しばらく探し回ったのだが、やはりそれらしき場所はない。
再びチケット売り場に戻り、今度は別の窓口に行って「オデッサ!」と叫んだ。

すると窓口の女性は紙に地図を書いてくれた。
それによるとチケット売り場はここからかなり離れたところにあるようだ。
なんで駅のそばに切符売り場がないんだよ。
理解に苦しむ。




メモに書かれたとおりに歩いていくと、遠くに大きな建物が見えた。
まさかとは思うが、あれがリヴィウ駅なのか?

知らなかった。
リヴィウ駅が二つあるなんて。
近距離用と長距離用だろうか。
ガイドブックにはそんなことは書いていない。
私の持っている地球の歩き方は2010年度版。
情報が古いのだろうか。




リヴィウ駅の切符売り場はかなり混雑していた。
窓口がいくつかあるが、どこでもオデッサ行きのチケットは買えるのだろうか?
外国人旅行者っぽい大きなトランクを抱えた人が多そうな列に並んだ。
きっとこの人たちもオデッサに行くのだろうから。




私は基本的に、市内観光には乗り物を使わず、自分の足で歩くというスタンスなのだが、
ここリヴィウでは素直にトラムに乗ることにした。

夜行列車のチケットを買うのにかなり時間がかかってしまったし、
トラムの値段はおどろくほど安かったからだ。
日本円にして20円ほど。
ほとんどタダみたいなものだ。




トラムはリヴィウの中心地、リノック広場に到着した。
いよいよ観光のはじまりだ。




まずは市庁舎の塔に登ってみることにした。




ここはかなりの人気スポットのようで、塔の上は大勢の観光客で混雑していた。




ここからの眺めはそれほどきれいではなかったが、街の位置関係は確認することができた。
予想通り、かなり小さな街だ。
これなら一日あればじゅうぶん見てまわれる。
夜行列車が出発するまで、のんびりと過ごすことにしよう。




ガイドブックを見る限り、この街にそれほど魅力的なスポットはない。
古都の面影を残す、街全体の雰囲気をゆったりと味わうことにしよう。

まずは薬局博物館。
博物館といっても、今も営業中の薬局でもある。




中に入るとけっこうたくさんの人がいて、半分くらいは観光客だが、あとの半分は薬を買いに来た地元の人。
カメラ片手にはしゃいでいる人もいれば、げんなりとした表情で体の不調を訴える人もいる。
古き良き時代の面影を残す、観光都市リヴィウらしい光景だ。




「リヴィウ最古の薬局」というだけあって、店の内部はアンティークな雰囲気があふれている。
棚にはたくさんの瓶が並べられていて、どれも作られてからかなりの時間が経過してそうだ。

でも、店の客が買っていくのはつい最近発売されたばかりのように見える新しい薬ばかり。
現実に体の調子が悪い人はやはり昔の薬よりも、現代科学を駆使した最新の薬の方がいいのだろう。

幸い私は健康だ。
薬なんて必要ない。

でも、せっかくここへ来たのだから、ここの名物を買っていきたい。





それがこれ。
この薬局ができた1735年からここで売られてきた歴史あるお薬。
万病に効く「鉄ワイン」だそうだ。

私の旅はまだまだ続く。
荷物を増やしたくないから、おみやげは買わない主義なのだが、おもわず買ってしまった。

万が一病気になった時のためのお守り代わりになるかもしれない。
それに、安い!
100円もしないのだ。




バックパッカーらしき女の子に、この鉄ワインと一緒に写真を撮るのを手伝ってもらった。
彼女はこの鉄ワインのことを知らなかったようで、

「ところで、あなたが手に持っているのはなに?」
「鉄ワインだよ。この薬局ができた時から存在する薬で、どんな病気でもこれを飲めば治るらしいぜ」
「へえー、おもしろいわね」

彼女は私の持っている瓶を興味深そうに眺めていたが、結局買わなかった。
他の観光客も、地元の人たちも、誰も買わなかった。

薬局の主人も、私がこの鉄ワインを買うと、怪訝な顔をしていた。
実はあまり人気がないのかもしれない。




アルメニア教会






オペラ・バレエ劇場。








大聖堂。
電線がびっしり。

観光都市を標榜するつもりなら、もう少しなんとかした方がいいんじゃない?




街全体としてのリヴィウはとても魅力的なのに、一つ一つの建物はいまいちインパクトがありません。
「見よっ! これがリヴィウだっ!」
と呼べる目玉がないのです。

まあそれがこの街のいいところなのかもしれませんが。




聖アンドレイ教会。




ドミニカ聖堂。




ドミニカ聖堂の内部。
別に教会の中に興味があったわけではありません。
トイレがどこかにないかと期待して入ったのですが、見当たりませんでした。




めぼしい場所はひととおり見てまわったぞ。
さて、これからどうしようか。




私は今回の旅では、訪れた都市のランドマークと一緒に侍の衣装を着て写真を撮ることにしています。
ところが、ここリヴィウにはランドマークと呼べるものがない。
じゃあいったいどこで写真を撮ろう?

そうだ、あの娘と一緒に写真を撮ろう。
今朝この街に到着したときに見かけたあの娘。
あの時は声をかける勇気がなくて、もたもたしているうちに彼女は行ってしまったけれど、今は違う。
サムライの衣装を着た俺にできないことなどない。
今なら堂々と彼女に声をかけることができる。

「ナターシャ、待っててくれ。 必ず君を探し出してみせる」

彼女の名前なんて知りません。
なんとなく「ナターシャ」っぽいな、と思っただけです。
具体的な名前があった方が感情移入しやすいので、私は勝手にあの娘のことをナターシャと呼ぶことにしました。

病んでる?




侍のコスチュームを着てすこし歩くと、すぐに声をかけられました。
彼らは陽気なのですが、あまり英語が得意ではなさそうです。
微妙に会話がちぐはぐしてます。

「あんたたちはこの街に住んでるのかい?」
「俺たちはウクライナ人だ!」

「青いドレスを着た、髪の長い女の子を見かけなかったかい?」
「OK, I understand 」


彼らとの会話からは、まったく得るものはなかったのですが、なぜか妙に楽しい。
なんだかこの街全体が私に笑いかけているような気がします。
「ようサムライ、よく来たな!」

その街との相性というものは確かに存在します。
リヴィウとは相性がよさそうな気がする。

「ナターシャはまだこの街のどこかにいる」
根拠はありませんが、確かにそんな気がします。




ナターシャを探し求めて歩いていると、今度は大きなカメラを持った男性に呼び止められました。
彼はこのリヴィウに住んでいるのですが、カメラが趣味で、いつも被写体を探してこの街をウロウロしているそうです。

「君は実にいい被写体だ。ぜひ写真を撮らせてくれ」

そんなふうに言われたら、やはり悪い気はしません。
彼に要求されるまま、いろんなポーズをとらされましたよ。

「いいよー、いいよー。
じゃあ今度はちょっと体をひねってみようかあ。
いいよー。
もう少し上を向いて。
いいよー。最高だよう」


知らなかった。
モデルになるというのがこんなに快感だとは。
なんだかくせになりそう。




私のカメラでも何枚か撮ってもらったのですが、なんかいまいち。
セミプロを自任する彼ですが、私が撮ってもらいたい写真とはかなりズレがあります。
感性というのは人それぞれ異なるから、それはしかたのないことなのかもしれません。




しかも自称「カメラマン」のこの彼、なかなか注文がうるさいのです。

「今度は走りくるトラムをバックに撮りたいから、トラムが近づいてくるのにあわせて歩いてえ。
あっ、トラムが来た! 急いで! 早くはやくうぅ」

人使いの荒い男だな。







自称カメラマンの君と別れて一人で歩いていると、遠くの方に見覚えのあるシルエットが見えます。
もしかしてナターシャか?




残念、ナターシャではありませんでした。
でもせっかくなので、一緒に写真を撮ってもらえるようにお願いしてみます。

日本にいる時は女の子に声なんて絶対にかけられない私ですが、外国を旅行中なら不思議とできてしまいます。
しかも侍の衣装を着ているときの私は怖いものなし。




この女の子、シャイなのかあまり話しません。
同じウクライナでも、リヴィウとキエフとでは人々の雰囲気がかなり違います。

「君と同じようなドレスを着ている子を探してるんだけど、どこにいるか知ってる?
青いドレスで髪の長い子」
「・・・」

彼女は答えてはくれませんでした。
ただにっこりほほえんで、首をちょこんとかしげるばかり。

英語は苦手なのかな。





もう少しこの女の子と話していたかったのですが、なかなかそうはいきません。
私のまわりが急ににぎやかになったと思ったら、ガキどもに取り囲まれてしまいました。
ギャーギャーわめいてうるさいったらありゃしない。
そのうちの何人かは私の刀を引っ張って奪おうとします。

元気のいいのは当然で、彼らはサッカーチームのメンバーだったのです。
引率のコーチが申し訳なさそうに言います。

「すまないが、この子達と一緒に写真を撮ってもらえないだろうか」

彼らはリヴィウではなく、スロバキアとの国境に近い、カルパチア山脈にある村からやってきたそうです。
日本の子供たちと同じように、ウクライナの歴史を学ぶために修学旅行のようなものがこの国にもあるみたいですね。

それにしてもうるさい子供たちだった。
付き添いの先生もたいへんだな。




おっと、今度はものすごい美人に話しかけられちゃいましたよ!
侍の衣装はご利益があるなー。
この恰好をしてなかったら、絶対にこんな美人と知り合うチャンスなんてなかっただろうな。

それにしてもウクライナの女性というのはほんとに美しい。
彼氏持ちだけど、そんなの気にならないくらいにきれいだ。
ウクライナ人にしては小柄で華奢な体つきの彼女。
思わず抱きしめてしまいたくなります。
隣に彼氏がいるから無理だけど。




彼女たちと話をしていると、わらわらと人が集まってきました。
ウクライナ人というのは、なかなか好奇心旺盛な民族らしい。




この彼、日本のことがむちゃくちゃ好きみたいです。
ずっと日本についてしゃべり続けていました。
私はウクライナやリヴィウのことなんてほとんど知らないのに・・・
なんだか申し訳なくなってきます。




この二人、まったく英語が話せないのに、なぜか私たちとずっと一緒にいました。




ウクライナの人って顔立ちが整っているし、スタイルもいいから、
どんなラフなかっこうをしていても絵になるんですよね。
うらやましい。




一番左の(一番私の好みの)女性が、
「なにか日本語を教えてよ」
と言ってきたので、
「日本が好きです!」
というフレーズを教えました。

私が無理やり言わせたんじゃないですよ。
彼らがビデオに撮れ撮れとうるさかったのです。

ほんとに陽気な人たちでした。
おかげでますますウクライナのことが好きになっちゃったじゃないかよ。




若者の一団が立ち去ると、今度は入れ替わりに小さな子供を連れたお父さんがやってきました。

「ほら、ジャパニーズ・サムライだぞ。 一緒に写真を撮ってもらえ」

お父さんはそう言って、男の子を私の隣に立たせようとするのですが、どう見ても子供はいやがっています。
今にも泣きだしそう。

「ほら、下を向いてないでカメラを見て」

お父さんはそう言うのですが、男の子は下を向いたきり顔を上げません。
なんだか俺が悪者みたいじゃないかよ。


なんとか写真を撮り終えた後も、父親は私から離れようとしません。
なんやかやとしゃべり続けています。

お父さん、子供は早く帰りたがってるよ。


彼は私の侍姿を見て、かなり興奮している様子。

「侍をじかに見るのは初めてだ。
 まさかリヴィウでサムライに会えるとは思ってもみなかった」

ごめんねー、俺は偽物なんだけどねー。

「リヴィウにはいつ来たんだ?
 なんなら俺がこの街を案内するよ」

彼はそう言ってくれるのですが、子供は・・・
それに市内の主な見どころはすべて見ちゃったしなあ。

「城跡にはもう登ったのか? 景色がよくて、リヴィウの街を見渡せるんだ。
 森の中の博物館には行ったか? まだ?
 じゃあ俺が連れていってやるよ。ここからそんなに遠くないから」

父親がそう言ってるそばから、子供がぐずりながら手を引っ張っています。
きっと
「お父さーん、早くおうちに帰ろうよー」
と言っているのでしょう。

彼はとてもいい奴みたいだけど、嫌がる子供と一緒にいても楽しめそうにありません。
それに私にはナターシャを探すという使命がまだ残っているのです。





ナターシャはどこだ?
リヴィウは小さな街だし、あんなに目立つ格好をしている女の子を見つけられないはずがないんだけどな。

太陽の力がだんだんと弱くなり、日暮れが近いことを知らせています。
だんだんとあせる私。
なんだかさっきから同じ道ばかり歩いている気がする。





「コンニチハ」
今度は日本語で話しかけられました。
またもや美男美女のカップル。
ウクライナという国はいったいどうなってるんだ?

ところでなぜこの男性は日本語を話しているんだろう。
そんなに日本はリヴィウで人気があるのだろうか。

彼はただ単に日本文化が好きというだけではありませんでした。
なんと合気道2段の腕前だそうです。
リヴィウにも合気道の道場があるのだとか。
袴を着ている私を見て、

「リヴィウには演武会で来たの?」
と聞いてきます。
完全に私のことを合気道の達人だと誤解している様子。

やばい。
冷や汗がでてきた。

今までの経験上、こういう場合、

「ぜひお手合わせをお願いします。」
とか

「うちの道場に来て、稽古をつけてくだされ」

という流れになることが予想されます。

しかし私には合気道の経験はまったくありません。
空手ならちいとばかし自信があるんだけどね。

なんとか話題を合気道からそらし、お茶を濁してその場を退散しました。

袴を履いてヨーロッパを歩くと、合気道がいかにポピュラーなのかを思い知らされます。
侍の衣装を着るからには、剣術や合気道も身につけておかないとだめだな。
日本に帰ったら道場に通うことにしよう。




市庁舎の前で休憩していると、今度はふたりの男の子に捕まってしまいました。
どうやら双子のようです。

彼らは私の刀に興味があるらしく、
「それをよこせ」
というジェスチャーをしています。

彼らに刀を渡すと、母親が目をむいて驚いていました。
「大丈夫ですよ。 偽物ですから危なくないです」

双子の顔つきを見てもわかるとおり、この子たちのお母さんもとてもきれいな人でした。
ウクライナでは美人でない人を探す方が難しいのかもしれません。






暗くなる前に電車の駅に着いておきたかったので、そろそろタイムリミットです。
「ああ、最後にあの娘をもう一度見たかったなあ」

あきらめてトラムに乗ろうとした時、遠くの方で見覚えのあるシルエットが揺れているのを視界の隅がとらえました。
青いドレスをたなびかせ、ふわふわと歩いていきます。

やっと見つけた。間違いない、ナターシャだ。
今度こそ逃がさないぞ。




これほど目立つ女の子を探し出すのに、どうしてこんなに時間がかかったのだろう。

彼女こそ、私が思い描いていた「ウクライナ人の女の子」のイメージそのものです。
この写真ではわかりにくいですが、八重歯と呼ぶにはあまりにも大きすぎる歯が唇から飛び出しています。
もしかしてルーマニア人の血も引いてるのかな?

「写真を撮ってもいい?」
と聞くと、にっこりとほほ笑んでうなずいてくれました。





残念ながら彼女はほとんど英語が話せないようです。
せっかく会えたのだから、もっとお話ししたかったのですが、なかなか難しそう。
名前を聞いたのですが、私の言っていることが理解できないみたいでした。

でもまあいいや。
彼女はナターシャだ。



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現地の人の生活を体験できる! それがカウチサーフィンだっ!(リヴィウ、ウクライナ)

リヴィウ(ウクライナ)でカウチサーフィン(CouchSurfing)


バスの窓からはなにも見えない。
リヴィウの街からはかなり離れているらしく、店はなく、あたりは真っ暗だ。

普通、ホテルは大通りに面した街の中心部にある。
だが私はリヴィウでカウチサーフィンを利用する。
ホストが常に町の中心部に住んでいるとは限らない。
リヴィウの街中に住んでいてくれたらこちらとしても観光に便利で助かるのだが、
ホストはこちらの都合で家を選んでくれたりはしない。

オーリャが目的地で私を降ろしてくれるようにバスの運転手に頼んでくれているはずだが、それでも不安になる。
すでにリヴィウの中心部からはかなり離れているし、こんな辺鄙なところにはホテルもありそうにない。
こんな町はずれでホストに会えなかったらいやだなあ。
雨もぱらついてるし。

バスの運転手に「降りろ」と言われて降りてみたものの、ほんとにここであってるのか不安でしかたがない。
コンビニはもちろん、ホテルやレストランもない。
なにもない村だ。

カウチサーフィンをやっていなかったら絶対にこんな場所に足を踏み入れたりなんかしない。
「もしかして俺は、この村にやってきた最初の日本人なんじゃないだろうか」
ふとそんな考えが頭をよぎる。

どう考えても日本人がここに来る理由がない。
大学も会社もない。
観光地からも遠く離れている。

そんなことを考えていると、男が近づいてきた。
ここでのホスト、イウリに違いない。




彼の家はバス停から歩いて10分ほどのところにあった。
家はたくさん建っているが、物音一つしない。
とても静かな村だ。


「腹はへってるか?」
と聞かれたので、「少し」と答えたら、
「これを食えばいい。ウクライナの食いもんだ」
と言われた。

どれどれ。
さっそく一つつまんでみる。


マズいっ!

餃子のようなその食べ物はパサパサと乾燥していて、ところどころ硬くなっている。
もともとは柔らかかったのだろうが、長時間外へ放置していたにちがいない。
味付けもほとんどなく、なんだか砂をかんでいるようだ。

私はグルメではなく、味にはこだわらない方だ。
実はおなかもすいていて、どんな食べ物でもおいしく感じる自信があった。

だが、不味い。
こんなにマズい食べ物を食べるのは久しぶりだ。

ごちそうしてもらっておいてこんなことを言うのもなんだが、ほんとに不味い。





今夜のカウチ。

リヴィウでホストを探していた時、
「うちに泊まりに来いよ。大歓迎だぜ」
と、イウリの方から招待してくれた。

彼のカウチサーフィンのプロフィールを見ていると、どうやら屋根裏を改造して住んでいるらしい。
なんだかおもしろそうだ、と思い、お世話になることにした。

ところが、そのイウリは今、ポーランドを旅行中だという。
え? じゃあ君はいったい誰なんだ?

彼の名はオスタップ。
イウリの兄弟だ。
顔がよく似ているから、てっきりイウリかと思った。
もしかしたら双子なのかもしれない。


「シャワーでも浴びて来いよ。その間に夕食を用意しておくからさ」

よかった。
どうやらちゃんとした食事にありつけるようだ。




シャワーを使う前にオスタップから講習を受ける。

「うちはちょっと変則的なんだ」


ここはもともと屋根裏部屋だったので、配管はオスタップが自分でやった。
シャワーには水が通っているものの、トイレに水は流れない。
ではどうするのか?

湯船の中に置いてあるバケツに水をため、それをトイレの便器に流すのだ。

「なんじゃそりゃー!」

疲れてるのにそんな面倒なことさせるなよ。
思わずベトナムでの体験を思い出した。
花モン族の家に泊まった時のトイレもひどかった。

http://couchsurfingkyoto.blog.fc2.com/blog-entry-660.html

だが、あれは東南アジアの山奥にある少数民族の村だ。
たしか俺は今ヨーロッパにいるんだよな?
まさかウクライナでこんなサバイバル生活を強いられるとは思いもしなかった。
カウチサーフィンって楽しいなー。

便器は壁と浴槽の間にはさまれていて、幅がとてもせまい。
普通に座って用をたすことができない。
なんでこんな設計にしたんだよ。


そしてシャワー。

汚い。
見るからに湯船が汚れている。
いたるところに水垢がこびりついている。

服を脱いで中に入ってみると、足の裏がザラザラする。
どうやったらこんなに砂がたまるんだよ。
オスタップ、君はここを毎日使ってるんだろ?

どうやら彼はとても器用にシャワーを浴びるようで、浴槽の真ん中だけはホコリがたまっていない。
だが、そのせまい範囲からほんの少しでも足をはみ出せば、とたんにザラザラとした感触が足の裏を襲う。

シャワーを浴びているはずなのに、どんどんと自分の体が汚れていく気がした。
ぜったいに湯船に腰を下ろしたくなんてない。


そしてここは屋根裏部屋。
湯船の上には斜めになった屋根が張り出している。
だからまっすぐに立ってシャワーを浴びることができない。
体をどちらか片方に捻じ曲げなければならないのだ。

ややこしい。
どうしてこんなところに湯船を置くんだよ。
シャワーはリラックスするためのもんだろ。
こんなんじゃちっとも落ち着けないよ。


体を斜めにしてシャワーを浴びていたら、なんだか足元がグラグラしてきた。
なんだ?
気のせいかな? なんだか湯船が揺れてるような気がする。

と思っていたら、

ガシャーンッ!

と音を立てて湯船が崩れ落ちた。


な、なっ!
いったい何がどうなってるんだ?

もちろんこのシャワールームもオスタップの手作り。
レンガを数個床に置いて、その上にバスタブを置いているのだが、固定はしていない。
ほんとにレンガの上に浴槽を乗せているだけなのだ。

そんなことは知らなかった私は、目の前に迫ってくる屋根を避けるために体を斜めにしてシャワーを浴びていた。
だからバランスが崩れて湯船がレンガから落っこちてしまったのだ。

勘弁してくれよ・・・

屋根は斜め。
バスタブも斜め。
片方だけレンガの上に乗った不安定この上ない浴槽の中でシャワーを浴びる私。

どんなに安いゲストハウスでもこんな経験はできないだろう。
やはりカウチサーフィンはおもしろい。




ほうほうの体でシャワー室を脱出してきたら、オスタップが夕食の準備をしてくれていた。
彼のお母さんも加わり、夕食を食べながら3人で話をした。

お母さんは英語を話さないが、とても好奇心旺盛な人のようで、私の話を熱心に聞いている。
こういう親でもない限り、子供がカウチサーフィンのホストをすることを許可したりはしないだろう。
親と同居しているホストはまれな存在だ。
こういうファミリーにはぜひともカウチサーフィンを続けてほしい。

トイレとシャワーはもう少しなんとかしてもらいたいものだが。





どうやらこの食事はオスタップが作ったもののようだ。
お世話になっておきながらこんなことを書くのは心苦しいのだが、この食べ物、
はっきり言って不味い。
いや、これを食べ物と呼んでもいいものかと思ってしまう。
いったいどうやったらこんなに味気ないものを作り出すことができるのだろう。
ここまできたら一種の才能としかいいようがない。




彼らの庭では果物や野菜を栽培している。
これらもけっしておいしくはなかったが、オスタップの手が加えられていない分だけまだましだと言える。




「お茶のおかわりが欲しかったら、このポットのお湯を使ってくれよ」

オスタップはそう言ってくれた。

ありがとう、

と言いかけて、自分の目を疑った。
ポットの周りには白い汚れがこびりついているように見える。
いや、汚れているのはポットの外側だけではなさそうだ。

気になって仕方がなかったので、オスタップが席を外したすきにポットを確認してみた。
信じられない話だが、中には白いものがびっしりとこびりついている。
それらがお湯に溶けだして、水は白く濁っている。

ま、まさか、今俺が飲んでいるこのお茶は、このポットのお湯を注いだのか?


よく見ると、食器には前回に食べたもののカスがこびりついている。
フォークのすきまにも得体の知れないものがはさまっている。
きっとよく洗っていないのだろう。


この屋根裏部屋には靴をはいたまま入る。
だから床が土まみれなのは仕方ないことなのかもしれない。

だが、砂をかぶっているのは床だけではない。
椅子やテーブルの上も、砂でザラザラしている。
そのテーブルの上で我々は今、食事をしているのだ。


なんなんだ、ここは。
私とオスタップとでは衛生概念がまったく異なるらしい。

ここはアフリカでもインドでもない。
ヨーロッパだ。

だが気をつけろよ俺の胃袋。
今までお前が口にしてきた食べ物はすべて、このオスタップが作っているということを忘れるな。
水だって汚染されている。
いつもの10倍の注意をはらって消化してくれ。
でないと明日の朝、あのわけのわからないトイレに直行するはめになるんだぞ。
そんなのはいやだろ?




右がリヴィウでのホスト、オスタップ。




屋根裏部屋へと通じる入り口。
もちろんこれもオスタップの手作り!








彼の家の庭は広く、いろんな種類の果物や野菜が植わっています。
はたして、あまりにもオーガニックすぎる彼の家の生活はヘルシーなのか、それとも体に悪いのか・・・




庭にはぶどう畑だってあるんです。




「バスの中でこれを食べたらいいよ」

もぎたてのぶどうをくれるオスタップ。

けっこうカウチサーフィン歴が長い私ですが、今回の体験はとても特別なものとなりました。
いろんな意味で。


___________________________________


いろいろと書いてきましたが、オスタップはとてもいい奴でしたよ。
彼の家族もとてもフレンドリー。
非の打ちどころなんてありません。

ただ、ほんの少し衛生環境に無頓着なだけ。
きっとウクライナ人の体は頑丈にできていて、少しくらいのことなんて気にもならないのでしょう。

彼らのおかげで、普通の観光客なら絶対にできないような体験をさせてもらうことができました。
お腹に自信のある人は、ぜひ彼の家を訪れてみてください。
きっと暖かく迎えてくれることでしょう。

ちなみに彼は観光ガイドのライセンスも持っているそうです。
日程があえば、リヴィウの街をガイドしてくれるかもしれませんよ。


「その土地に暮らす人々の生活を垣間見ることができる」

これがカウチサーフィンのいいところ。


でも、リヴィウの人ってみんなこんな暮らしをしてるのかなあ。

そんなわけねーし。

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あなた震えてるじゃない(リヴィウ、ウクライナ)





「親切な美女などいない」

これが私の持論だ。

心の優しい美少女ならいるかもしれないが、
本物の美女にはかなわない。

そして生まれついての美女などいない。
なぜなら美女とは作られるものだから。

男をたぶらかし、手玉に取り、もてあそぶ。
男にだまされ、裏切られ、捨てられる。

そうやって美女というのは作られるものだと思っている。
醜い感情の渦にもまれて磨かれなければ美しくなんてなれるはずがない。
だから、汚れのない美女などいない。

思いっきり私の好みが反映されているが、それほど的を外してはいないと思う。

美女は計算高く打算的で、無償の愛など持ち合わせてはいない。
そんな美女が人に親切にするときは、なんらかの意図があるはずだ。


異国の地で雨に打たれ震えているみすぼらしい男を、なんの見返りも求めずに助ける美女なんていない。
もしいたとしたら、気をつけなければならない。
相手が美しければ美しいほど、警戒レベルを引き上げなければならない。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「お前はどこに行きたいんだ?」
バスの車掌が私にそうたずねる。

リヴィウだ、きまってるじゃないか。そういう約束だっただろう?

「それはわかっている。俺が聞きたいのはリヴィウのどこか?ということだ」


私の乗ったバスはイタリア行きだったのだが、頼み込んでなんとか乗せてもらった。
だから私の立場は弱い。
文句など言える立場ではない。

リヴィウで降りる客は私だけだし、乗ってくる人間もいないみたいだ。
彼らにとって私は完全な「お荷物」。
はやく降ろしたがっている雰囲気がひしひしと伝わってくる。

外は雨が降っている。
もうすぐ日も暮れる。
そんな中、重いリュックを背負って見知らぬ街をウロウロしたくはない。
地図を指し示しながら、
「市庁舎、郵便局、大聖堂。どこだっていい。俺を町の中心部で降ろしてくれ」
と彼らに頼んだ。

バスの運転手と車掌が困っている様子が手に取るようにわかる。
リヴィウ中心地を通るのは、彼らにとって明らかに遠回りになるのだろう。

それでも私は信じていた。
彼らは心優しき男たちだ。
なんだかんだ言いながらも、結局は私をリノック広場まで連れていってくれるに違いない。


おもむろにバスは停まり、車体側面の扉を開けて私の荷物を降ろした。
「トラムに乗れば町の中心部まで行ける」
そう言い残してバスは去っていった。

雨はけっこう激しく降っていたので、荷物にカバーをかけ、傘を準備するまでに
私も荷物もかなり濡れてしまった。

寒い。
ほんとに今は8月なのだろうか。
寒くて震えが止まらない。

これ以上雨に濡れるのはいやだったから、何も考えず最初にやってきたトラムに飛び乗る。
現在地がどこかわからないし、このトラムがどこに向かうのかもわからない。
とにかく屋根のある場所に逃げ込みたかった。

運のいいことに、私の乗ったトラムは市の中心部に向かうらしい。
車掌は親切に、「ここが中心部だ」と言って私を降ろしてくれた。

ようやくリヴィウ市内に到着したが、まだスタート・ラインに立ったにすぎない。
リヴィウでのカウチサーフィンのホストはここから1時間ほど離れた所に住んでいるらしい。
彼の家への行き方はメールで教えてもらっていたが、私はこの街に到着したばかり。
まだ土地勘はない。
あいかわらず雨は降っているし、日が沈んで暗くなってきた。
これからあと1時間もかけてホストの家を探さなければならないのか。

なんだか疲れてしまった。
もういいや。
リヴィウ市内なら宿の1軒くらい探せばあるだろう。
今夜はホテルに泊まろう。
今すぐ暖かい布団で眠りたいんだ俺は。


「なにか力になれることはありますか?」

天使の声が聞こえた。
振り返ると、そこにはえらい美人がいた。

普段の私なら女性の顔をまともに見ることなんてできないのだが、
おもわず彼女の顔をまじまじと見つめてしまった。

美しい。

ウクライナではそれこそ数えきれないほどの美女を見てきたが、彼女はまた別格だ。


「親切な美女などいない」

頭の中で警報がガンガン鳴り響く。
「これは罠だ。 こんな美人が俺なんかに親切にしてくれるはずがない。
きっと後でなにか要求されるぞ。気をつけろっ!」

「あなた震えてるじゃない。なにか温かい飲み物でも飲んで体を温めないとだめよ。
近くにいいお店を知っているの。一緒に行きましょ」


絶世の美女がこの俺を食事に誘っている。
そんなうまい話があるわけない。
きっと後から怖いお兄さんが高額な請求書を持って店の裏から出てくるんだろうな。


彼女の名前はオーリャ。
とてもきれいな英語を操り、頭もよさそうだ。
すでに彼女の虜となった私に逃れる術はない。
オーリャのなすがままに、彼女の後についていくしかなかった。

店に行く途中、オーリャの友人と合流。
彼女の友達もまたかなりの美形。
「ああ、きっと俺は二人の女からたかられるんだろうなあ」




左がオーリャ。
彼女たちはカウチサーフィンのことを知っていた。
リヴィウに来た日本人と会ったことも何度かあるらしい。

それはつまり、日本人の男どもをカモにしてきたということなのだろうか。




オーリャはまずワインを注文した。
なんか高そうだなー。
俺、ちゃんと支払えるかな。




彼女は私のために暖かいスープも注文してくれた。
これでやっと生き返ったような気がする。




このお店の名物は魚料理だという。
入り口を入ってすぐの所にショーケースがあって、そこに食材の魚が飾られている。

オーリャに出会わなければ、俺はこの魚のように氷の上で冷たくなっていたかもしれない。
そんなのはごめんだ。

俺は決めた。
この先どんな結果になろうとも、もうかまわない。
今この瞬間を楽しもう。
毒を食らわば皿までだ。
どうせ後で高い金をとられるのだから、いっそのこと彼女たちの太ももでもさすってやろうか。




スープに続いて料理が運ばれてきた。
「これ、なんていうの?」
料理の名前を確認するふりをして、メニューを確かめた。
けっこうな値段がしますよ!

まあでも、美女ふたりと一緒に食べることを考えれば安いものか。
もっとボッタクリ料金を心配していたので、なんだかホッとしました。




まるで、こちらが安心しきった頃合いを見計らったかのように、やってきましたよ、怖いお兄さんが!
はいはい。
そんなことだろうと思ってましたよ。

彼はドイツ人だそうです。
オーリャの友達の体をベタベタと触っています。
どうやら二人はできているらしい。
ヤクザとその情婦というところか。




お店の人が長いパイプを使って音楽を演奏しはじめました。
なんだかいい雰囲気。
料理もおいしいし、けっこういいお店なんだよなあ、ここ。

欲をいうならば、もう少し部屋の温度を高くしてほしい。
そしてできることならば、料金は安くしてほしい。




料理を食べ終わり、いよいよ支払いタイム。
クレジットカードを取り出して支払おうとしたら、彼女たちに制されました。
え? どういうこと?

「雨に打たれて震えている外国人に払わせるなんてことできるわけないじゃない。」

まるで当然のように彼女たちが支払ってくれました。
けっこうな料金ですよ。

ドイツ人男性とその彼女は帰っていきましたが、オーリャは雨の降りしきる中、バス停まで一緒についてきてくれました。
私のカウチサーフィンのホストに電話で連絡してくれ、何時くらいにバスが彼の村に到着するかも伝えてくれました。
バスを降りた後、私が寒い中を長時間待たなくてすむように考えてくれたのです。

私の乗るバスはなかなか来なかったので、かなり長い間待たなければなりません。
吐く息が白くなるくらいに寒い中、オーリャはずっと私と一緒にいてくれました。

バスの運転手は英語ができないため、私の目的地を彼に伝え、そこで私を降ろしてくれるように頼んでくれました。
自分の財布からお金をだして、私のためにバスの切符も買ってくれました。

え? なんで? どうして君がそんなことまでしなきゃならないんだ?

バスの扉は慌ただしく閉まり、オーリャにお礼を言うこともできないうちに走り出してしまいました。
あんなに親切にしてもらったのに、「ありがとう」のひとことも言えなかった。


バスの中で重い荷物を抱えて立っていると、若い男性が席を譲ってくれました。
ウクライナ人は親切だ。特にリヴィウには優しい人が多い。
そんなふうに感じました。


「親切な美女などいない」
今でもこの持論を撤回するつもりはありません。

でも、ウクライナは例外です。

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恋人たちの愛のトンネル(リヴネ、ウクライナ)

愛のトンネル、恋のトンネル、緑のトンネル(リヴネ、ウクライナ)


愛し合う恋人たちが手をつないで歩くと願いが叶う、と言われている恋人たちの「愛のトンネル」。
その伝説の真偽はいかに?




列車はほぼ定刻通り、夜中の2時にリヴネに到着。
深夜にもかかわらず、けっこうたくさんの人が降ります。




切符売り場と待合室




深夜だというのに、駐車場には車がけっこう停まっています。
迎えに来た人や、タクシーなどです。




もう一つの待合室。
ここにはわずか5時間ほどしか滞在しませんでしたが、生涯忘れることのできない場所となりました。




ウクライナの警官はとても親切。
バス乗り場まで二人がかりで案内してくれました。

それとも、ただ単にヒマなのか。




リヴネの駅。


もともとここリヴネになんて立ち寄るつもりはなかった。
だが、ネットでウクライナのことを調べているうちに、「恋のトンネル」なるものを見つけてしまったのだ。

youtube で「世界ふしぎ発見」のビデオを見て、そのあまりの美しさに感激してしまった。
「これはぜひとも行かなくてはならない」

そこで急きょ予定を変更して、リヴネにも寄ることにしたのだ。
なので日程はかなりタイトなものとなってしまった。

ここでの目的は「恋のトンネル」だけなので、リヴネには泊まらない。
緑のトンネルだけ見たら、あとはさっさとリヴィウへと向かう。




「恋のトンネル」はリヴネの駅からさらにバスでクレヴァン村へと行かなければならない。
ここがそのクレヴァン村。

なにもないところだ。
まさに「村」と呼ぶにふさわしい。
こんな辺鄙な場所にほんとに世界中を虜にしたあの「恋のトンネル」が存在するのだろうか。

実はこの「愛のトンネル」、数年前まではほとんど誰も知らなかった場所なんだそうだ。
それが一気にブレイク。
日本のテレビ番組でも何度か取り上げられたし、テレビのCMの撮影にも使われたとか。




それにしてものどかな場所だ。








なんだ、この恥ずかしいオブジェは?
おそらくここで恋人たちが一緒に記念撮影でもするのだろう。




コウノトリの愛の巣!!!




どうやらほんとに恋人たちに人気のあるスポットらしい。






あいにくこの日は雨。
この「恋のトンネル」はいつ来ても美しいらしいが、やはり晴れた日の方がいいに決まってる。

もっときれいな写真がネットにゴロゴロ転がっているので、そちらの方をご覧ください。
見たらきっと行きたくなりますよ。




大きな音をたてて、列車がやってきました。




トンネル内から列車が姿を現す様子はまさに幻想的。
まるで映画のワンシーンを見ているようです。

しかし、感激している場合ではありません。
トンネル内にはどこにも逃げ場はないのです。
さて、どうしよう。

そうこうしているうちにも、列車はどんどん近づいてきます。
けっこう迫力ありますよ。




この列車、一日に1本とか3本しか通らないという貴重なシロモノ。
せっかく運よく出会えたのですから、乗せてもらいました。

テレビの撮影じゃあるまいし、普通、一般人は列車の運転席に乗せてもらうことなんてできません。
では、なぜ私たちは乗ることができたのか?

1. 侍の衣装を着て、刀を振り回し、「止まれー!」と叫ぶ
2. かわいい女の子と一緒に行き、ミニスカートをひらひらさせながら運転士にウインクしてもらう

どちらか一方だけでも効果はあると思いますが、
私たちは両方やりました。


まさか試してみようなんて思う人はいないと思いますが、
実行する場合は自己責任でお願いします。






せっかく列車に乗せてもらえても、外は雨。
なんだか気分はブルーです。








どうせ行くのなら、絶対に晴れた日の方がいいです。
私たちが行った日はかなり激しく雨が降っていたのですが、
時折雨足が弱まって、日が差す瞬間がありました。
ほんの一瞬ですが、あまりの美しさに思わず息を飲んでしまいました。

リヴネやクレヴァン村にはこの「愛のトンネル」以外に見るべきものはありません。
それでも、晴れた日に訪れるために宿泊するだけの価値はあると思います。

もう少し粘れば雨も止みそうだったのですが、私は「諸事情」により引き上げざるを得ませんでした。








この「恋のトンネル」、湿地帯の中にあります。
なんの用事もない人は絶対に訪れない場所なのです。

なので今までずっと誰にも知られずにいたのですね。






あいにくの雨でしたが、いい点もあります。
他に誰もいなかったので、この「恋のトンネル」を独占することができたのです。
貸し切りですよ!


_________________________________________





車掌の女性は一応起こしに来てくれたが、あいかわらず英語はまったく通じない。
深夜の2時、列車は静かに停車する。
駅名の表示は見あたらない。
どこまでも旅行者に不便にできている。

けっこうたくさんの人がリヴネで降りた。
こんな深夜に到着して、いったいどうするつもりだろう。
みんな地元の人か。
「タクシー?」
何人かが声をかけてくる。

荷物を預ける場所を探しているのだが、英語がまったく通じない。

年配の人はだめだ。
やはり若い人を探さないと。
どうせならきれいな女の人がいい。

ちょうどそこへウクライナ美女が通りかかった。
彼女に聞いてみよう。

残念ながら、彼女は英語がほとんどできないようだ。

「ちょっと待って」
彼女がどこかに電話する。
きっと英語のわかる友人に連絡をとってくれているのだろう。

と思っていたら、警官が二人やってきた。
えっ!
この女の人、警察に通報したのか?
俺は不審者かよ。

「パスポートを見せろ」

俺はただ荷物を預けたいだけなのに、なんだか話がややこしくなってきたぞ。
もちろん警官たちも英語は話せない。
この国の教育はいったいどうなってるんだ?
よく「日本人の英語は下手だ」と言われるが、下には下がいる。

若い方の警官と、携帯電話の翻訳機能越しにコミュニケーションを試みる。
といっても、所詮はグーグル翻訳だからなかなか意思疎通をはかることができない。
ちょっとずつ表現を変え、翻訳の精度を高めていく。
だんだん私の言いたいことがわかってきたようだ。

「ああー、荷物を預けたいんだな。だったらそう言えばいいのに。よし、案内してやる。ついてこい」

だからさっきから何度もリュックを指差してるじゃないかよ。
ほんとに勘のにぶい奴らだ。

荷物預かり所はホームの端っこの、とてもわかりにくい所にあった。
なんで駅構内に置かないんだ?

警官たちは荷物預け所の係員をたたき起こし、ようやく私は荷物を預けることができた。
時刻は3:30。
ここまでくるのに一時間半もかかった。
ウクライナ、ほんと旅行者泣かせだなお前は。


荷物を預けて一段落ついても、警官と例の女性は私を放してはくれなかった。
「まあそこに座れよ」

深夜勤務で暇なのだろう。
私を肴に、彼らは何か話している。
ときおり私に話しかけてくるが、何を言ってるのかサッパリわからない。
私が何を言っても、やはりまったく通じない。


警官たちが去った後も、その女性は私から離れようとしない。
いや、逆に距離が近くなっている。
彼女はウクライナ語で一方的に話し続け、私がまったく理解していないと見るや、
「ぷぅー」
と口をとんがらせる。
なんだかかわいい。
だんだんこの女性のことが好きになってきた。

ブロンドで長身の典型的なウクライナ女性とは少し違うが、彼女はかなりの美形で日本人好みの体型をしている。
彼女もまた始発のバスを待っているようだ。
夢にまで見たウクライナ美女と朝まで一緒に過ごせるのか。
俺はなんてツイてるんだ。

彼女は私の隣に腰をおろし、さらに話しかけてくる。
お互いに何を言ってるのかまったく理解していないから不毛なはずなのに、なぜか楽しい。
ipadの写真を見せたら興味がありそうだったので、今回のヨーロッパ旅行で撮った写真を彼女に見せた。
サムライのコスチュームで撮った写真を見せたら喜ぶかと思ったのだが、反応はない。
どうやら日本の写真が見たいようだ。

だが、あいにく日本の写真は持ち合わせていない。
今回の旅行に備え、ipadやiphoneに入っていた写真はすべて別の場所に移してしまったからだ。
リヴネの駅にwifiはない。
インターネットが使えたら彼女に日本の写真を見せることができたのに、残念だ。

日本の写真がないとわかると、彼女はとたんに私への興味が失せたようだ。
ぷい、とどこかへ行ってしまった。

急に寂しくなったがしかたがない。
彼女はこの街に住んでいて、私はほんのつかの間、リヴネに立ち寄った旅行者にすぎない。
もともと接点などなかったのだ。


クレヴァン行のバスの時刻を確認しよう。
それからこの街をブラブラしてみるか。
荷物をまとめて外へ出た。
バス停はどこだ?

ウロウロしていると、例の女性が飛び出してきた。
なにかわめいているが、もちろん何を言ってるのかはわからない。

「バスの時刻(タイムテーブル)を確認しようと思うんだけど・・・」
「テーブル? テーブルなら待合室の中にあるわ。
さあ、はやく中に戻って。あなたは私と一緒にいなくちゃだめなのよ」
「いや、そのテーブルじゃなくて・・・」
私の言うことなど聞かず、彼女は私の腕をつかんで待合室の中に連れ戻す。

「さあ、ここに座って」
彼女はそう言いながら、アナトリーの奥さんがくれた弁当の包みを勝手にほどきだす。
「それは昼に食べようと思っていたんだけどな」
成り行き上しかたなく、早朝4時に朝食をとるはめになってしまった。

彼女はどこからかお皿を持ってきてくれた。
「さあ、これを使って」
さらに彼女はりんごもくれた。
彼女のくれたりんごは硬くてすっぱくて、お世辞にもおいしいとは言えなかった。
でも、この味を忘れることはないだろう。


私が食事している間、彼女は隣の席に腰を降ろし、あいかわらずしゃべり続けている。
なにひとつわかっちゃいないのに、
「うん、うん」
と相槌をうつ私。


彼女は英語よりもロシア語の方がいいらしい。
「地球の歩き方」には簡単なロシア語の単語が載っていたので、
それを頼りに彼女とのコミュニケーションを試みる。

一時間かけてやっとお互いの名前を教えあった。
「日本語ではどう書くの?」
と聞いてきたので、カタカナで彼女の名前を書いてあげたら、うれしそうに何度もノートに書いて練習していた。

彼女の名前は・・・

もう忘れた。


意思疎通なんてほとんどとれないのに、なぜか彼女といると楽しかった。
お互いになんて言ってるのかまったくわからないのに、それぞれが自分の言いたいことを勝手にしゃべり、二人で声をあげて笑った。

なにがそんなにおかしいのだろう。
わからない。
でも、彼女と一緒にいるととにかく楽しかった。
ずっとこのまま朝なんてこなければいいのに・・・


さっきまで大きな声でまくしたてていた彼女が急に声をひそめる。
肩を寄せ、唇が触れそうな距離まで顔を近づけて何かをささやく。

「 You and Me, Boy and Girl 」

そう言って彼女は抱きしめるしぐさをした。


私と彼女は数時間前に出会ったばかり。
お互いの素性はおろか、意思疎通もままならない。

でもそんなの関係ない。


東の空がうっすらと明るくなってきた。
もうすぐ始発のバスが動き出す。

もともと予定になかったリヴネを無理やりスケジュールに組み込んだため、日程に余裕はない。
私は今日中にリヴィウに着かなくてはならないのだ。

ここリヴネで過ごせる時間は限られている。
「恋のトンネル」か彼女、どちらかを選ばなくてはいけない。

隣にはウクライナ美女がぴったりと私に体を寄り添わせている。
その誘惑にはあらがえない。

だが、リヴネには「愛のトンネル」を訪れるためにやってきたのだ。
神秘的な風景をぜひともこの目で見てみたい。

クレヴァン村行きのバスがやってきた。
彼女の家へと向かうバスとは違う方向だ。

「愛のトンネル」か彼女。
俺は「愛のトンネル」の方を選んだ。

「じゃあ行くよ」

そう言っても彼女は返事をしない。
ぷい、と横を向いてしまった。


バスが出発するまでの数分間が、とてつもなく長く思えた。
もしかして俺は、とんでもない過ちを犯してしまったのだろうか?
今すぐバスを降りて、彼女のいる駅へと戻るべきじゃないのだろうか?


バスが出発する直前、後ろから誰かが俺の肩をつつく。
振り返ると彼女がいた。

彼女か「恋のトンネル」か。
両方とればいいんだ。
もしもリヴィウ行きのバスに乗り遅れたら、このリヴネに泊まればいいだけの話だ。




手をつないで歩くと願いが叶うという「愛のトンネル」。
彼女はいったい何を願ったのだろう。

彼女の名前は、もう忘れた。

でも、かたくてすっぱいリンゴのにおいはずっと消えずに残っている。
今でも。

森の中には妖精が住むという。
リヴネ。
二度とこの地を訪れることはないだろう。

テーマ : (恋愛)波瀾万丈・激動の恋愛documentary
ジャンル : 恋愛

娘さんは芸能人?!(キエフ、ウクライナ)

キエフ(ウクライナ)でカウチサーフィン(CouchSurfing)

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食卓の上に無造作に置かれた銃。
モデルガンではありません。
本物の銃です。

軍用の自動小銃を改造した狩猟用。
もちろんアナトリーは銃の所持許可をとっています。


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元軍人のアナトリーに銃の扱い方を教わりました。
今回の旅行では紛争地帯を訪れることはありません。
なので今のところ、銃を使わなければならない状況に陥る予定はないのですが、知っておいて損はないですからね。


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ひととおり写真を撮り終えたら、今度はアナトリーの番です。
彼も侍の衣装に着替えて撮影タイムとなりました。


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さすが軍隊で鍛えられただけあって、銃の構え方にも年季が入っています。
袴の横から見えている下着がなければ、もっとかっこよかったんでしょうけどねえ。


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アナトリーは仕事に出かけようとしていた奥さんを呼び止めて、これらの写真を見せます。
「どうだ!?」
「うそっ! これ、あなたなの?」

奥さんはアナトリーの侍姿にえらく感激しておりました。
私たち日本人が思っている以上に、欧米人にとってサムライというのはインパクトがあるようです。


DSC04351.jpg

アナトリーの奥さんはこれから仕事に出かけるので、彼女と会うのはこれが最後です。
すごくきれいで賢いのに、どこかおちゃめなところがあって、とても魅力的な女性でした。
時々日本に来るみたいなので、今度はぜひ日本でお会いしたいものです。


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彼女は別れ際、おみやげをくれました。
それだけではなく、私のためにお弁当まで用意してくれていたのです。
ウクライナの人ってやさしいな。


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どこからどう見ても完璧な夫婦。

アナトリー、あんたのことをホモだと疑ったりして悪かった。



朝食を食べながら、今日のうちあわせをします。
キエフの主な見どころは昨日までにほぼ見てしまっているので、今日は特に観光の予定はありません。
なので彼はまたもや私のために詳しすぎるスケジュールを組んでくれました。


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仕事に行く途中、アナトリーは車でとある公園まで送ってくれました。

「ここからアンドレイ教会までの道は、とても素晴らしい景色が続くんだ。
普通の外国人旅行者はここのことを知らない。
だからゆったりとできるぞ。
キエフ最後の日をたっぷり楽しめ、マサト」

そう言ってアナトリーは去っていきました。


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いきなりカラフルな小便小僧の歓迎をうけます。


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そんなにジッと見つめられちゃあ、カップルも落ち着いていちゃつくこともできないことでしょう。


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こんなベンチに座りたくない・・・


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ウクライナ人の芸術的センスって・・・


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なんだかトラウマになりそうな遊戯道具。
ウクライナの子供たちの将来が心配です。


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ここはキエフ市民にはけっこう人気のスポットみたいですね。


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どうやらこうやって中に入って写真を撮るのが通のたしなみのようです。


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私もやってみました。


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でもやはり、ウクライナ人のセンスにはついていけません。


実は今日は人と会う約束があったので、彼からの電話を待っていたのですが、いまだにありません。
どうやら彼とは会えないみたいです。
ぽっかり予定が空いてしまいました。

昨日はキエフ市内を縦横無尽に歩き回ったので、今日はのんびりと過ごすことにしましょう。
郵便局で絵葉書を買って、独立広場で書きました。


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あてもなくキエフ市内を歩いていると、時々こういうのに出くわします。
一見平和そうに見えるキエフですが、戦争の影は確実に暗い影を落としています。


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プーチンの顔が印刷されたトイレットペーパー。
本人が見たら余計に戦争が泥沼化しそうな気が・・・



アナトリーの家に早めに帰り、荷造りをすることにしました。
今夜はリヴネ行きの夜行列車に乗るのです。

なんだかアナトリーはうれしそう。
どうやら今夜、娘さんが帰ってくるそうです。

「娘さんはどこに行ってたの? 旅行?」

「いや、ロシア国境地帯だ」

「え? あそこは今戦争中で、危ない場所じゃないか」

「そうだ。 私の娘はそこで戦っている兵士たちを鼓舞するために、危険を冒して行ってきたんだ」


話をよく聞いてみると、アナトリーの娘さんは歌手なのだそうです。
下の動画は、彼女たちのPV.
金髪の方の女性がアナトリーの娘さんです。





彼女たちの公式ホームページ。
「VRODA」
ウクライナ語で「Beauty」という意味らしい。
その名の通り、二人とも美しい。

http://vroda.info/


「それってひょっとして、あんたの娘さんは芸能人ってこと?」

私がそう尋ねると、アナトリーはうれしそうに娘自慢を始めました。

「今夜ここに来るのか? 会いたい! ぜひとも一目見たい!」

「なに言ってるんだマサト。
お前はもうすでに電車のチケットを買ってしまってるじゃないか。
早くしないと乗り遅れるぞ」


ただでさえ美人の多い国、ウクライナ。
その中でもさらに美しいアナトリーの娘さん。
しかも芸能人!

ちくしょう、アナトリー。
わざと秘密にしていただろう?
そんなに俺と会わせたくないのか。


ちなみに彼女の身長は185㎝。
うわっ、俺より10センチも高いじゃないかよ。
つま先立ちしてもキスするのは難しそうだな。
彼女にかがんでもらわないと。

もちろんアナトリーに見つかったら射殺されるだろうが、そのスリルがまたたまんないんだよな。


DSC04398.jpg

アナトリーの運転する車でキエフ駅まで送ってもらいました。
車内でもアナトリーは上機嫌。
そりゃそうでしょう。
むさくるしい男を追い出して、そのかわりにかわいい娘さんが帰ってくるのですから。

ちくしょう、ちくしょう。
ウクライナの芸能人、会いたかったなあ。


DSC04400.jpg

列車内ではなぜか火を焚いています。
蒸気機関車かこれは?

そのせいか車内はとても暑い。
もちろんウクライナの電車にクーラーなんてあるはずありません。


DSC04401.jpg

DSC04402.jpg

寝台車の車内。
暑いし、狭い。

リヴネには夜中の2時に到着し、そこで夜を明かすことになります。
リヴネの駅がどんな場所なのかはわかりません。

なので今は横になって、ひたすら体力を温存することに努めよう。
リヴネは今回の旅のハイライトのひとつ。
「恋人たちの緑のトンネル」のある場所なのですから、気合いれていかねば。





テーマ : カウチサーフィン(Couch Surfing)
ジャンル : 旅行

独立広場の決闘(キエフ、ウクライナ)

キエフ(ウクライナ)でカウチサーフィン(CouchSurfing)、2日目。


朝起きて下に下りていくと、すでにアナトリーがいた。
パンツ一枚でダンベルを持ち上げている。
裸の上半身からは湯気がたっている。
もうすでにかなり長い間トレーニングをしていたようだ。

「よう、遅かったじゃないか」
遅いもんか。
夜明けの時刻にあわせてタイマーをセットしておいたんだから。
そっちが早すぎるんだよ。




トレーニングを終えた後、一緒に朝食をとる。
これはなんだろう?
ひまわりの種?
いったいどうやって食べるんだ?




カップにいれてお湯を注ぎ、ふたをしてしばらく置いてから食べるらしい。




激しいトレーニングの後だから、朝からがっつりと食べる。




ヨーグルトをまぜて食べる。
私も今日は一日動き回る予定だから、食える時に食っておく。




昨日は一日、私のために仕事を休んでくれたアナトリーだが、さすがに今日は働かなくてはいけない。
でも大丈夫。
アナトリーのおかげで、昨日のうちにしっかりとキエフの地理を把握することができた。
今日は朝からガンガン観光するぞ。

まず向かったのは独立広場。
どこへ行くにしても、ここが拠点となる。


昨日はずっとアナトリーの車に乗りっぱなしだったので、今日は歩こうと思う。
ウクライナは今、国境地帯で戦争をしている。
他の国とは少し違う。
せっかくこの時期にウクライナを訪れたのだから、特殊な状況下にあるこの国の「今」を肌で直接感じたい。
そのためには自分の足で歩くのが一番だ。


そう思って歩き始めたものの、予想以上に時間がかかることに気付いた。
地図で見る限り、キエフは小さな街だが、実際に歩いてみるとけっこう広い。

広大なキエフの地図を無理やりガイドブックの1ページに収めたからだろうか。
なんかおかしい。
もうとっくに1㎞は歩いたはずだ。
もしかしてこの地図、縮尺間違ってるんじゃないか?




ようやく一つ目の目的地、キエフ大学に到着。
「なんで真っ赤な色をしているんだ? なんだか血の色のようだ」
と思ってガイドブックを見たら、まさにそのものズバリ、「血の色の大学」と書いてあった。
ロシアの皇帝、ニコライ1世以来の名残らしい。
なんだか教育に悪そうだが、歴史を保存するためにあえて残しているのかもしれない。

大学に来ればウクライナの美人女子学生に会えると思ってきたのだが、あいにく今は夏休み期間中。
大学はガランとしていた。
残念。




次の目的地、ウラジーミル聖堂の近くにきたところで、急に通りがにぎやかになった。
露店がたくさんでてるし、人通りも多い。
「お祭りか?」
とも思ったが、キエフ市内の他の場所では見かけなかった。
このウラジーミル聖堂の周りだけだ。










ウラジーミル聖堂の敷地内はさらに多くの人であふれかえっていた。
スカーフを被った女性もいる。
教会にやってくるくらいだから、きっとみんな敬虔な信者なのだろう。
こんなところでこんな格好をして、こんなことをやっている自分がどうしようもなく不自然に思えてきた。

まあ、侍の恰好をしていれば、どこに行ったって浮いちゃうんだけどね。




今度はキエフ駅へと向かう。
失った入出国カードの行方を探さなくてはならない。

インフォメーションの女性は比較的若い女性だったが、英語がほとんど通じない。
ベラルーシからの夜行列車のチケットを見せながら、
「昨日この電車でキエフまでやってきたんだけど、車内にイミグレーションカードの忘れ物はなかったですか?」
と聞いても通じない。
列車のチケットを眺めながら、時刻表を確認したりしている。

いやいや、そのチケットは昨日のだから。
俺が聞きたいのはイミグレーションカードのことなんだけど・・・


けっきょくここではらちがあかず、別の窓口へ行けと言われた。
別の窓口の女性はかなりの年配だったが、少し英語が通じる。
外国人担当なのかもしれない。
少しほっとするも、やはり私の言わんとしていることが理解できないようだ。
「地球の歩き方」に載っている入出国カードの写真を見せても、反応はイマイチ。

「イミグレーション・オフィスはどこだ?」
と聞いても知らないという。

そんなはずはない。
昨日、夜行列車が到着したとき、確かに係官が乗り込んできて、私のパスポートをチェックした。
この駅のどこかにイミグレーション・オフィスがあるはずなのだ。
そう詰め寄っても女性は首をすくめるばかり。

駅構内を探してみたが、それらしい場所は見つからない。
途方に暮れていたところに、一人の男が現れた。

「私なら君の力になれるよ」

なんだ、この男は?
英語はそこそこ話すようだが、見るからにうさんくさい。
体中からある種の怪しいにおいを発している。
絶対に信用してはならない。

だが、この男の力を借りるしかないのが現状だ。
だめもとで彼に状況を説明してみた。

「それは大問題だ! 今すぐ手をうたねば手遅れになる!」

男は大げさな表現で、私の不安を煽り立てる。
詐欺師の常套手段だ。
たとえそうだとわかっていても、その効果は絶大。
私はとても不安な気持ちになり、大いに焦る。
今にもこの男にすがりつきそうになる。

男は近くを通りかかった警官を捕まえて、なにか話している。
話し終えた後、
「こっちだ。ついてこい」
そう言って歩き出す。
ひょっとして、イミグレーション・オフィスに連れていってくれるのか?

しばらく歩いた後、今度は軍服を着た兵士数名となにやら話し込む。
男と兵士たちは煙草に火をつけ、一服する。
その間私はなにもせずに待っている。
いったい彼らは何をしているのだろう?
誰かを待っているのだろうか。
その誰かとは、私の窮地を救ってくれる人物なのだろうか。

彼らはなにもしてはいなかった。
ただ煙草を吸っていただけだった。

ふざけるなこの野郎。
こっちは急いでるんだ。

煙草を吸い終わった彼は言う。
「ここではあんたの抱えている問題は解決しない。
あんたは大使館に行かなければだめだ。
パスポートは持ってるか?
俺の車で外務省まで連れていってやる。」

男は私に「パスポートを見せろ」、と言う。
なんでお前に見せなきゃならないんだよ。
そもそもお前は誰だ?
それに彼に報酬も支払わなければならないらしい。

もともと大使館には行くつもりだった。
場所も確認済みだ。
彼の力を借りずとも、自分一人で行ける。
報酬を払うつもりもない。

立ち去ろうとする私の背中を、男の声が追いかけてくる。

「もたもたしてると取り返しのつかないことになるぞ!」

人を脅かすことだけは超一流だな。



キエフ駅の構内で外貨の交換所を見つけたので、リトアニアの通貨の両替を試みる。
だが、ここでもやはり受け付けてもらえなかった。
リトアニアのお金というのは、よほど需要がないらしい。

窓口を離れると、すぐに女性が駆け寄ってきた。
闇両替商だ。

「闇」といっても、ここはウクライナの首都、キエフの鉄道駅構内。
あたりには制服を着た警官や軍人がウロウロしている。
女性には不釣り合いな大きなカバンをたすきがけにして、外貨交換所の周りにたむろしている彼女たちは、どこからどう見ても「闇両替商」なのだが、誰も取り締まる気配がない。

ガイドブックには、
「闇両替商は絶対に相手にしてはいけない」
と書いてある。

だが、せっかく外国に来ているのだから、いろんなことを体験してみたい。
日本で闇両替商と出会う機会なんて今までなかった。
それに、「闇」って響きもどこかかっこよくない?
実はアングラな世界にちょびっとあこがれてたりするのです。

なので少額だけ交換してもらうことにした。
レートを確認してみると、思った以上に良いレート。
街中に店を構えている正規の両替商よりもよかったりする。

ガイドブックには、
「手品のようにお金を抜き取られる」
とか書いてあるが、そんな気配もなし。

ほんの少し両替しただけなのに、とても喜んでくれた。
感じのよいおばさんで、何度も「ありがとう、ありがとう」を連発。
そのまましばらく立ち話までしちゃいましたよ。

ダメもとで、
「ポーランドやリトアニアの硬貨も両替してくれないか?」
と頼んでみたところ、あっさりOKしてくれた。
銀行や正規の両替商では紙幣のみを取り扱っていて、硬貨の両替には応じてくれないのが普通です。

硬貨の場合はレートは少し悪くなりましたが、もともとは無駄になる運命だったのです。
たとえ少額でもウクライナの現金に交換できたのはラッキーでした。

闇両替商のおばさんはまたしてもうれしそうに「ありがとう、ありがとう」を連発。
あまりに喜ぶものだから、
「もしかして俺、大損させられてるのかなー」
なんて不安になって、もう一度為替相場を確認してみましたが、間違いはありません。

お互いいい気分になって、おばさんともずいぶん仲良くなれたと思い、
「一緒に写真を撮ろう」
と言ったら、ものすごい剣幕で怒られました。

え! なんで?
さっきまであんなに和気あいあいのムードだったのに・・・

やはり闇両替商は闇両替商でしかなかったのか。
一気に現実に引き戻され、キエフ駅を後にしました。



(シェフチェンコ記念国立オペラ・バレエ劇場)

アナトリーの奥さんから聞いたのですが、ここウクライナには、大勢の日本人留学生がバレエを学びにやってくるのだそうです。




日本食レストラン「村神」。
昨日、別の場所でもこのお店を見ました。
キエフ市内に何店舗も店を構えるチェーン店のようです。
それだけウクライナでは日本食の人気が高いということでしょうか。




黄金の門。
なかなか立派ですが、なんか思い描いていたウクライナのイメージと違う。

というわけで、侍の衣装を着ての記念撮影はパス。




しかしここで、突然日本語で話しかけられました。
「日本人ですか?」
「は、はい」

思わず日本語で答えてしまいましたが、相手の顔はどう見ても日本人には見えません。
おそらくウクライナ人なのでしょうが、日本語がペラペラなので面食らってしまいました。

彼(写真右側の人)は日本の大学に通っています。
もう東京に住んで5年以上にもなるのだとか。
だから流ちょうな日本語を話すんですね。

今は夏休みなので、故郷であるキエフに帰省しているのだとか。
写真左側の彼のお父さんは英語も日本語も話しませんが、とても感じのいい人です。

「どうしてこんな大変な時期にウクライナへやってきたの?」

彼はそう私に尋ねます。
たしかに東部では激しい戦闘が繰り広げられていますが、ここキエフは平和そのもの。
戦争の影はどこにも見えません。


「キエフにはいつまでいる? なにか困ったことがあったら、いつでも僕に連絡して。 きっと力になれると思う」

そう言って彼は電話番号とメールアドレスを教えてくれました。

見ず知らずの人間に、どうしてそこまで親切にしてくれるのだろう? これがウクライナ人の気性なのかな。
と思っていたのですが、実は彼も東京でいろんな人に親切にしてもらったそうです。
日本にやってきたての頃はそれこそ右も左もわからず、毎日 不安で仕方がなかったのだとか。
そんな時にたくさんの日本人に優しくしてもらい、大変感激したといいます。
「だからウクライナでは僕が日本人の力になろうと思ったんだ」

私が日本で彼に親切にしたわけではありません。
でも、こういう好意の連鎖っていいですよね。
私もこの輪を断ち切らないようにしたいと思います。




ようやくキエフ観光の目玉のひとつ、ソフィア大聖堂にたどりつくことができました。




大きすぎて、一緒に写真を撮るのもひと苦労です。
ここは有名な観光スポットであるにもかかわらず、それほど観光客で混雑してはいません。
けっこうゆったりと過ごすことができました。




侍の衣装を着て写真を撮っていると、

「ひとつ聞いていい? いったいなにやってるの?」

と聞かれてしまいました。
このウクライナ人の少年はとてもはきはきとした英語をしゃべり、頭もよさそうです。
ウクライナ人がみんなこの男の子のようだったら、この国を旅するのも楽なのになー。




ソフィア大聖堂を歩いていると、一人の女性が私のことを見つめているのに気付いた。
うるうるした瞳で、ため息までついている。
もちろん、彼女がうっとりとした表情で見つめているのは私ではなく、私の来ている侍の衣装だ。
馬子にも衣裳とはよく言ったもので、侍の衣装を着た私は千倍いい男に見えるらしい。
彼女は私に抱きついて離れなかった(嘘ですよ)。

「一緒に写真を撮ろう」と言うと彼女はおおはしゃぎ。
「本当? うれしいっ!
あなたフェイスブックやってる? この写真を送って。 絶対よ!」

そう言って彼女はアドレスを教えてくれたのだが、それはキリル文字(?)で書かれていた。
私のキーボードでは入力することはできないし、そもそもなんて書いてあるのか読めない。

彼女には悪いが、いまだに写真を送るという約束ははたせていない。




ソフィア大聖堂の次に向かったのは聖ミハイルの黄金ドーム修道院。
長ったらしい名前がついているが、ただ単純に「青の教会」と呼ぶ方がいいと思う。

ここは世界遺産にこそ指定されていないが、私の中ではキエフでもっとも美しい教会だ。
アナトリーに引きずり回されて、ガイドブックに載っていないキエフ中の教会を見てきた私が言うのだから間違いない。

ソフィア広場からはけっこう距離があるはずなのに、光り輝いて見える。
なんて美しいんだ。
こんなのを見せつけられたら、行かずにはいられない。








本当に私はこの教会が気に入ってしまった。
青色にもいろいろあるが、この教会の青は私のツボにぴったりはまってしまったらしい。
青空ともよくあう。
青い建物の上に載っている金色の屋根も光り輝いている。
この教会だけで、何十枚もカメラのメモリーを消費してしまった。

青の教会で夢中になって写真を撮っていると、一人の僧侶が私の方をジッと見ているのに気付いた。
「ひょっとして、神聖なる教会の中で刀を腰に差している侍が気に入らないのだろうか」
とヒヤヒヤしたのだが、私をとがめようとする気配はなさそうだ。

「修道女にカメラを向けてはいけない」という話をどこかで聞いたことがあるので、
きっと僧侶も写真撮影はNGなんだろうな、とは思った。

だが、青の教会のあまりの美しさにハイになっていた私は、果敢にも彼に写真撮影を申し込んでしまった。
僧侶は英語が話せないようだったが、私の言わんとしていることは理解できているようだ。
カメラを向けても立ち去ろうとはしない。


写真を撮った後、僧侶に「ありがとう」と言うと、彼がひとこと。

「で、いくらくれるんだい?」

え? もしかしてこの坊さん、金を要求してるのか?
私は最初耳を疑った。

ローマなどの観光地では、古代ローマ軍の兵士の衣装を着た人がいて、一緒に記念撮影をするとお金を要求される。
だが、教会の僧侶にも同じことを要求されるとは思ってもみなかった。

ヨーロッパを侍の衣装を着て旅行していると、たくさんの人から「写真を一緒に撮ってほしい」とせがまれる。
私は今までそれらの要請を断ったことがない。
ましてやお金を請求しようなんて考えたこともない。

日本のお坊さんにだって、金に汚い人はいる。
僧侶はみな聖人君子たれ、なんて言うつもりもない。

でも、私の大好きな青の教会の住人の口から金を要求されたのはショックだった。
こんなにも美しい建物の中にいる人が、その程度の人間だったなんて信じたくなかった。


英語のできない僧侶さんよ、あんたの唯一知っているフレーズが
「金をよこせ」
なのかい?

いくら払うかって?
答えはNOだ! ゼロだっ! お前なんかに1円も払うもんか。


思わず語気を荒くして怒鳴ってしまったが、今では大人げないことしたと後悔している。
写真を一緒に撮ってお金をもらうことを生業としている人は大勢いる。
なにも珍しいことではない。

ほんの気持ち程度でもいいから、あの僧侶にもお金を支払えばよかったのだ。
これからはお金を要求されたら、いくらかは支払うようにしようと思う。
もちろん不当に高額な要求は断るし、私の方からお金を請求したりはしないが。




この女性、けっこう大きな子供が3人もいるというのに、なお美しい。
やはりウクライナの女性のレベルは高かった。




ついにやってきました、アンドレイ教会。
長らくおあずけを食らっていたので、ようやく対面できた喜びもまたひとしお。





アンドレイ坂。
ただの通りだというのに、こんなに心惹かれる場所もそうないでしょう。

ちなみに、このアンドレイ坂は下りよりも上りの方が風情があると思いました。




アンドレイ坂には露店がズラリと並んでいます。








この時点で今日訪れる予定の場所はペチェールスカ大修道院ひとつを残すのみとなりました。
が、このアンドレイ坂からはかなりの距離があります。

「地下鉄とバスを使うか?」
一瞬悩みましたが、やはり当初の予定通り徒歩で行くことに決定。

ヨーロッパの昼は長い。
日没までにはまだまだたっぷり時間があります。
急ぐ必要はありません。

キエフは今回の旅のハイライトの一つ。
じっくりとこの目で見て、ゆっくりと歩いてみたい。






ようやくたどり着いたペチェールスカ大修道院。
入り口の門かと思いきや、後でガイドブックで確認すると、これは聖三位一体教会なのだとか。
このペチェールスカ大修道院の敷地内にはたくさんの教会があるのですね。
敷地内はかなり広そうです。




大鐘楼は工事中でした。
中には入れません。

ガイドブックには
「2009年8月現在改装のため閉館中」
と書いてあります。

現在は2014年8月。
5年経ってもまだ終わんないのかよ・・・

ガイドブックには
「周囲360度のすばらしいパノラマが楽しめる」
と書いてあったので期待していたのですが、がっかりです。




その埋め合わせというわけでもないでしょうが、大鐘楼のふもとでは、
美しいウクライナ女性がきれいな衣装を着て、これまた美しい歌声を披露してくれていました。




ウクライナの女の子たちと遭遇




彼女たちに

「チャイ?」(あなたは中国人なの?)

と聞かれました。
「いや、日本人だ」
と答えると、ホッとした様子。

「チャイ(中国人)、NO!
ジャパン、GOOD!」

どうやら中国人はかなり嫌われているみたいです。
「日本人は好き!」と言われてうれしくなりましたが、同時に複雑な気持ちにもなりました。

ヨーロッパ人にとって日本人も中国人も見た目は変わらないのです。
私たちは日本語と中国語の区別がつきますが、欧米人には難しい。

つまり、彼らにとっては日本人も中国人も一緒なのです。
中国人が世界中で嫌われているということは、日本人もそのとばっちりを食うということになります。











ウスペンスキー大聖堂






全聖者教会

帰りはバスを利用しました。
今日の目標をすべて達成した安堵からか、バスの中で居眠り。
どうやら降りるべき場所を乗り過ごしてしまったようです。
目が覚めた時には、自分が今どこにいるのかわからなくなってしまっていました。

でもまあきっとキエフ市内のどこかなのでしょう。
地下鉄の駅のマークが見えた時点でバスを飛び下りました。

駅名を確認すると、当初乗る予定だった路線とはまた別の地下鉄です。
独立広場まで戻るためには一度乗り換えなくてはならず、ややこしい。

でもまあこうやって迷うことで、より旅の記憶は鮮明なものとなるのです。
キエフの交通機関をより知ることができることにもなり、一石二鳥です。




さすがに疲れがでてきたのですが、夕陽に映えるウクライナの独立記念碑を見て目が醒めました。




独立広場では一人のウクライナ人青年と出会って話し込みました。
彼の英語はとても早口で、ついていくのが厳しい。
きっと頭の回転が速いのでしょう。

話の内容も多岐にわたり、アニメやゲームの話から世界情勢まで、常に頭をフル稼働させなければおいていかれます。
それはそれでとても有意義な時間なのですが、私は日が暮れる前にアナトリーの家に帰りたい。
あたりが暗くなると、道に迷う可能性が高くなるからです。
それに、独立広場で侍の衣装を着て写真も撮りたい。

しかし彼の話はエンドレス。
気が付くと、太陽が地平線に隠れようとしています。
ヤバい、限界だ。

まだまだしゃべり足りなそうな彼の話を強引にさえぎり、引き取ってもらったのでありました。
さあ、急いで写真を撮って引き揚げよう。




そう思っていた矢先、今度は3人組の男が話しかけてきました。
サムライは忙しいのだな。

「あんた、そんな格好してるけど、腕の方は確かなのかい?」

なんか挑発的な言動。
と思っていたら、

「ちょうど俺たちは腕のたつ男を探していたんだ。
あんたは探してた条件に合いそうだ。
どうだい、俺たちと一戦交えないかい?」

ほんとに戦いを申し込まれました。


彼らはインターネット上で動画を配信する番組を制作していて、今回のテーマは「道行く人と枕で殴り合う」というなんともおバカなテーマ。
なんだかおもしろそう。
もちろん喜んで参加させてもらいましたよ。








「番組のためのたんなるおふざけ」
かと思って甘く見ていたのですが、この男、本気で殴ってきます。
しっかり体重を乗せて。

しかも、枕だってけっこう重い。
顔面にヒットしたら失神するレベルです。


彼と戦っているうちに、だんだんと本気になってきました。
いや、本気でやらないとボッコボコにされてしまう。

あれ?
俺、はるばるウクライナまでやってきて、いったいなにやってるんだろ?





以下のビデオが編集後のものです。
私の出番は最後の10秒ほど。
ラストシーンも私ですよ。






夜の独立広場は昼間とはまた異なる趣があってきれいです。




しかし、親ロ派との戦いで犠牲となった人たちの写真がたくさん並んでいるのを見せつけられると、この国の置かれている深刻さを直視せざるをえません。




このような写真はここだけでなく、市内のあちこちで見かけました。




一見平穏に見えるキエフ。
しかし確実にこの国は今戦争状態にあるのです。



__________________________________________



ビデオ撮影のせいで、すっかり暗くなってしまいました。
でも、とても有意義な経験をさせてもらうこともできました。
キエフの中心地、独立広場で侍の衣装を着てウクライナ人と殴り合うなんて経験、そうそうできるもんじゃありませんからね。

ひと段落ついて、かなりお腹が減っていることに気がつきました。
もうあたりはすでに暗くなってしまっているので、今さら急いだって仕方ありません。
市内でゆっくり晩御飯を食べてから帰ることにしました。
キエフでのホスト、アナトリーの家の周辺には食べるところはなさそうですから。

もしかしたら彼らの家で夕食にありつけるかもしれませんが、それを期待して帰るのはあまりにも図々しい。
アナトリーに「帰るのは遅くなる」旨の連絡を入れてから、夕食にしました。


しかし、問題はこれからです。
アナトリーの家まで自力で帰り着かなければなりません。
彼の家は実にわかりにくい場所にあるのです。

もちろん朝出発する前に目印となるポイントはしっかりと把握しておきました。
が、昼と夜とでは景色の見え方が全然違います。
バスの窓から見る眺めには、まったく見覚えがありません。

バスの停留所には停留所名を示すプレートもなく、どこで降りればよいのかわからないのです。

「あれー、おかしいなー。こんなに時間かかったっけ?」

と思っているうちに、バスはストップ。
どうやら終点まで来てしまったようです。

バスの運転手さんに目的地を告げると、そこはとっくの昔に通過してしまったとのこと。
「なんでもっと早く降りなかったんだ?」
と呆れられてしまいました。

幸いこのバスは終着駅から再び同じルートを折り返し運行するそうです。
追加料金もとられませんでした。
今度は運転手さんが降りる場所を教えてくれました。
「ここだ! ここがお前の降りる場所だ」

ああ、情けない。
旅人初心者か、俺は。


バスを降りた後も私の迷走は続きます。
「たしか二つ目の路地だったよなー。」
などと思いつつ記憶を頼りに歩いてみたものの、まったく見覚えのない場所に出てしまいました。

あたりは真っ暗。
人通りだってほとんどありません。
だんだん不安になります。

「落ち着け、落ち着け。こういう時は焦らず振り出しに戻った方がけっきょくは近道なんだ」
そう言い聞かせてまた元のバス停からスタートするのですが、何度やってもアナトリーの家にたどり着けません。

アナトリーの家はこのすぐ近くのはずなので、電話して迎えに来てもらうことは可能です。
でも、それはあまりにも情けない。
なんとか自力で帰り着きたいところです。

さっきから何度も同じところを堂々巡りしていたので、今度は違うルートを考えてみます。

「でも、どう考えてもこっちじゃないんだよなー」

と思いつつ歩いていると、なんだか見覚えのある場所に出ました。
実は、バスの運転手さんは私を別の場所で降ろしていたのです。

なぜだ?
アナトリーに書いてもらったメモをそのまま見せたのだから、絶対に間違うはずなんてないのに・・・


けっきょく家にたどり着いたのは夜の11時。
アナトリーはかなり不機嫌そうです。
無理もありません。
彼には仕事があります。
明日も朝早く起きなければならないのです。

「メシは食ったのか?」

それでも私のことを気遣ってくれるアナトリーの目をまともに見ることはできませんでした。
本当に申し訳ないです。


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ヌーディストビーチ(キエフ、ウクライナ)



ついにやってきました、ウクライナのビーチ!
普通の日本人観光客には、キエフのドニエプル川で泳ごうという発想はあまりないでしょう。

アナトリー、でかしたっ!
ナイス・サジェストだ。




対岸にはアンドレイ教会が見えます。
なかなか良いロケーション。




さきほど見た川沿いの教会も見えます。




簡易更衣室。
これがビーチに点在しています。

なんだかちゃちな造りで、その気になれば簡単に中をのぞけてしまいますが、
まあそんな無粋なことをする奴はウクライナにはいないのでしょう。




ひょっとしてヌーディストビーチなのでは?
と淡い期待を抱いていたのですが、みなさんしっかりと水着を着こんでいらっしゃる。

まあ当然か。
かりにもここはウクライナの首都なのだから。




せっかくだから、アナトリーと記念撮影!

な、なんか俺たちヤバくない?




こ、これはどう見てもホモ・カップルだろ・・・
またペギーにあらぬ疑いをかけられそうだ。




次にアナトリーが連れてきてくれたのは、軍事博物館。
戦車がズラリとならんで圧巻です。




キエフで軍事博物館に寄る予定はありませんでした。
というより、そんな物があるなんて知りませんでした。
東側の兵器を見る機会はこういうときくらいしかありませんから、まあ寄っていきましょう。




ここでもアナトリーはひとつひとつの兵器について詳しく解説してくれます。
「なんでそんなによく知ってるんだ?」
と思っていたら、彼は元軍人だったそうです。

そういえば、彼の顔はそんな顔つきをしている。
初めてアナトリーの写真をカウチサーフィンのプロフィールで見た時、
「なんだかロシアの軍人さんみたいな顔だなあ」
という印象を受けたのですが、あながちそれは間違いではなかったのですね。







通常兵器の他にも、こんな物騒なものが・・・








軍事博物館のすぐそばに大祖国戦争歴史博物館もあります。

ちなみにこの彫像は、モスクワの方向を向いているのだとか。
ロシアに対するウクライナの断固たる姿勢の表れなのでしょうか。




そしてここからはペチェールスカ大修道院がすぐ近くに見えます。
でもやっぱりアナトリーはそこに行く気はないみたい。
ちぇっ。また おあずけかよ。



きれいにカラーリングされた戦車は、子供たちの遊び場と化していました。




躍動感あふれる彫像。




夕方、ようやくアナトリーの家に帰ってきました。
これが今夜のカウチ。
なかなか豪勢です。
まるで一流ホテル。
こんな部屋にタダで泊まれるのですから、カウチサーフィンはやめられません。

それにしても、まる一日車でキエフ市内を走り回ったというのに、
ガイドブックに載ってるような場所は一つも行かなかったな。




さっそく夕食をふるまわれました。
アナトリーの家は広く、庭を見渡すことのできるテラスで食事をとります。
なかなかぜいたくですね。








サーロー一式!
たまねぎや生のにんにくと一緒にボリボリ食べます。
こんなのを毎日食ってるウクライナ人はきっと精力絶倫に違いない。




ソースと一緒にパンに乗せて食べます。
このサーロー、ウォッカによくあう!
私は普段お酒はあまりたしなみませんが、サーローと一緒ならウォッカがうまいんです。
ついつい飲みすぎてしまいます。
ウクライナ人に酒豪が多いのは、このサーローのせいかもしれません。




自家製ウォッカ。




食後にはデザートとお茶。
このデザート、なんだかよくわからない食べ物ですが、とにかくうまい!




食事の後は再びお出かけ。
いったいどこに行くんだい、アナトリー?

「いいところに連れていってやろう、マサト」
「いいとこってどこ?」
「ヌーディストビーチ」

え?
首都のキエフにヌーディストビーチ?
そもそもキエフには海すらないというのに?




ヌーディストビーチは車ですぐのところにあるらしい。

「毎日夕方にそこでひと泳ぎするのがわしらの日課じゃ」

なんと、奥さんも一緒に行くらしい。




車を停めて、森の奥へ。
本当にこんなところにヌーディストビーチが存在するのだろうか?




そのヌーディストビーチは森の中にある湖にありました。
この湖の周りには背の高い草が生い茂っており、さらにビーチは一段低いところにあります。
なので外からは容易に見ることができません。
というわけでここがヌーディストビーチたりうるということらしいです。




せっかくなのでヌーディストビーチなるものを体験してみたかったのですが、とても無理!
ここは森の中。しかも日は暮れかかっています。
とても寒いんです。
パンツどころか、服を脱ぐ気にすらなりません。
いや、服を着ていても寒い。

彼らが泳いでいる間、私は毛布にくるまって一人ふるえていました。




「マサト、あなたは泳がないの? 
あら、毛布になんかくるまっちゃって。
ほんとに変な人ねえ。」

変なのはそっちの方だ。
こんなに寒いのにバシャバシャ泳ぐなんてどうかしてる。
ウクライナ人の神経はいったいどうなってるんだ?

あれ?
奥さん水着きてる。
ここはヌーディストビーチじゃなかったのか?

ひょっとしてアナトリー、外から見えないことをいいことに、あんたが勝手に脱いでるだけじゃないのか?
おまわりさん、ここに露出狂がいますよ!




ビーチからは若い男女の歓声が聞こえてきます。
彼らは水着を着てるのか、それとも裸なのか?
確かめてみたかったのですが、あまりの寒さにとてもそれどころではありませんでした。

まあいいや。
オデッサには有名なヌーディストビーチがあるということなので、そっちに期待することにしよう。





家に帰ると、アナトリーの奥さんが一枚のパンフレットをくれました。
表紙の写真は彼女のものです。
やはりウクライナの女性は美しい。

彼女はウクライナの民族舞踊の団体を主宰しているのだとか。
日本にも何度か公演に来たことがあるそうです。

その時に覚えたのか、日本語の歌を何曲か歌ってくれました。
「しあわせなら手をたたこ、しあわせなら態度でしめそうよ、・・・」
なかなか上手な日本語です。
キエフでウクライナ人から日本の歌を聞かされるとは思ってもいませんでした。




写真の中央に写っているのがいるのがアナトリーたちの娘さん、アーニャ。
ほえええ、ウクライナの民族舞踊ってせくしぃだなあ。




このパンフレットには他にもきれいな女の子がいっぱい。
みんなアナトリーの奥さんの主宰するダンス教室の生徒さんなのだそうです。
その教室はここから近く、彼女は毎日そこで教えています。

「明日、ぜひ見学させてくださいっ!」
何度も彼女に頼んだのですが、私の英語が通じないのか、彼女は私がなにを言いたいのかわからない様子。
もしかしたらやんわりと断られていたのかもしれません。
やはり下心が見え見えだったか。




彼女は生徒さんたちのコーラスが収録されたCDもくれました。

あの、できたらDVDの方がいいんですけど・・・
それも、なるべく過激なやつお願いします。




___________________________________________


サーローを肴にウォッカを飲む。
もっともぜいたくなウクライナの夜の過ごし方だ。

アナトリーは地図を広げながら、明日の予定を説明する。
彼は仕事があるので、明日は一緒に来れない。
そのために、私が一人でも歩けるようにレクチャーしてくれているのだ。

親切はありがたいのだが、私には私の、行きたい場所というものがある。
アナトリーの意見は大いに参考にさせてもらうが、やはり自分のスケジュールは自分で決めたい。

だが、そんなことにはおかまいなしに、アナトリーは話し続ける。
地図に大きく番号までふって、訪れる順番や道順を細かく書き込んでいく。
所要時間や費用、見どころなど、まさに頼りになるガイドだ。


彼の話を聞いているうちに、今日の彼の行動の意味がわかったような気がした。
今日彼が連れていってくれたのはどこもわかりにくい場所にあり、、交通の便が悪く、公共交通機関では訪れるのが難しいと思われる場所が多かった。
ガイドブックに載っているような有名観光スポット周辺には標識などもあり、自力で訪れることはそう難しいことではないから、彼に案内してもらう必要なんてないのだ。

そして目印となる場所では車を停め、私の記憶に残りやすいように配慮をしてくれた。
そんな調子でまる一日、車でキエフの街を走り回ったのだから、私の頭の中には市内の様子がしっかりと刷り込まれている。
この街に来てまだ一日目だが、私はもうすでに自由自在に歩き回ることができるようになっていた。
アナトリーのおかげだ。


「マサト、明日は何時に起きる?」
と聞かれたので、
「そうだなあ、8時くらいかな。今日は疲れたからゆっくり寝たいよ」
と答えたらアナトリーは失望していた。

彼は毎朝夜明けとともに起床してトレーニングにはげむ。
きっと私にも同じことを期待していたのだろう。

私はカウチサーフィンのプロフィールに自分のことを「サムライ」と記載している。
「日本の侍はきっとストイックで勤勉に違いない」
アナトリーはそう解釈して、私を彼の家に招待したのかもしれない。
そんな彼の期待を裏切ってしまった。
侍は朝遅くまで惰眠をむさぼったりはしないのだ。

カウチサーフィンを無料の宿としかみなしていないサーファーのなんと多いことか。
だが私は京都で400人ものカウチサーファーをホストしてきた。
ホスト経験のない、その他大勢のサーファーとは違うという自負がある。
ホストする側の気持ちはわかっている。

サーフする側にメリットがあるように、ホストする側にだって意義があるのだ。
何の目的もなしに自宅を見知らぬ外国人に開放する人なんていない。

そこのところをわかっていないカウチサーファーは多い。
「食事を一回おごればいいんだろう」
「おみやげを持っていったからそれでいいだろう」
そんな問題じゃないのだ。


「いや、アナトリー、違うんだ。
昨日はベラルーシからの夜行列車でよく眠れなかったし、夜中の3時に国境通過の審査があったから、明日の朝は遅くまで寝ていたいんだよ。
俺だって日本にいるときは朝早くに起きるし、トレーニングだって欠かさないんだよ」
と、のどまででかかったが、やめておいた。
日本人は、侍は言い訳なんてしてはいけない。
これ以上アナトリーを失望させるわけにはいかない。

ただ黙って夜明け前に起き、アナトリーと一緒にトレーニングすればいいだけの話だ。
俺にだって意地がある。

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ハズレか? 当たりか? (キエフ、ウクライナ)

ベラルーシ~ウクライナの国境を通過したのは夜中の3時。
当然深い眠りについている時刻だが、容赦なく起こされる。
いや、不穏な雰囲気で嫌でも目が覚める。

私のコンパートメントにも係官が乗り込んできて、パスポートをチェックする。
同室の他の人はみんなベラルーシ人かウクライナ人。
IDカードをさっと見るだけで手続きはあっさり終わったのに対して、なぜか私だけ時間がかかった。
端末機になにか打ち込み、パスポートをパラパラめくってすみからすみまで眺めている。
なんだか落ち着かない気分だ。

まだ夜明け前であたりは真っ暗。
隣のコンパートメントからは女性の声が聞こえてくる。
なにを言ってるのかわからないが、大声で抗弁しているようだ。

彼女の子供だろうか。
小さな子供が大きな声で泣き喚いている。
真夜中に叩き起こされて、無骨な審査官の検閲を受けるのは気分のいいものじゃない。
子供じゃなくても泣きたくなる。
なんだか自分が強制収容所行きの列車に乗り込んでしまったかのような錯覚をおぼえた。




朝8時、列車はウクライナのキエフに到着した。
ここでも係官が乗り込んできて、パスポートをチェックする。

そしてまたしても私だけ時間がかかった。
他の乗客はみんな列車を降りてしまっているのに、私だけ取り残されている。
係官が私になにか聞いてくる。
だが、なにを言っているのかわからない。

なんだ? なにか問題でもあるのか?
これは国際列車なんだから、係官も英語くらい話せよ。

係官はしきりと無線で他の誰かと交信しては、私に質問をしてくる。
英語ではないので答えようがない。

これではラチがあかないと判断したのか、係官は「ついてこい」という仕草をして歩き出した。
私のパスポートを持ったまま。

ウクライナは今、準戦時下にある。
少しでも怪しいと感じた人間は、即座に連行して詳しく取り調べるのかもしれない。

いったいなにが引っかかったのだろう。なにか不審な点でもあったのだろうか。
やましいことはないが、やはり緊張する。
それに、キエフでのホスト、アナトリーが駅まで迎えに来てくれているはずだ。
彼を長時間待たせるのも心苦しい。


プラットフォームの端まで来たところで、係官が指差す。
その先には、見覚えのある顔が私に向けて手を降っている。
アナトリーだ。

「お前の友達か?」
おそらく係官はそう言ったのだろう。
「そうだ、俺の友達だ」
と答えるとどこかへ行ってしまった。

いったいなんだったんだ?
なんであんなに時間がかかったんだ?
脅かしやがって。
さっさとパスポートを返せよボケっ!




キエフ駅構内






なにかの広告。
こういうのを見ると、
「ああ、俺は遠くまで来てしまったんだなあ」
という気分に浸れます。
モンサンミッシェルなどの日本人に人気の観光地には日本語の標識までありますが、ああいうのはやめてもらいたいものです。
気分がだいなしになる。


この広告になんて書いてあるのかまったくわかりません。
が、ウクライナの女性がとてもきれいだということだけはわかります。






駅周辺ではやたらと軍人の姿が目に付きました。




ホストのアナトリーは車で迎えに来てくれました。
思い荷物を持っている身にはとてもありがたい。




ウクライナ国旗のカラーをしたトラムを眺めながら、キエフ市内を快適にドライブ!
、と言いたいところですが、いったいどこを走ってるんだ、アナトリー?
彼の車はトラムの間を縫うように走ります。
ウクライナではこんな所を走っても違法じゃないのか?
なんだか少し不安になりました。




「マサト、私の家に寄る前に、君に見せたい場所がたくさんあるんだ。ここはひとつ、小旅行と洒落込もうじゃないか」

とのアナトリーの提案で、キエフ市内を散策することになりました。

いったいどんな素敵な場所に連れて行ってくれるんだろう。
わくわくするなあ。












アナトリーが連れて行ってくれたのは、なんだかよくわからない場所ばかり。
ガイドブックには載ってないので、おそらくかなりマイナーな場所だと思われます。

キエフでの貴重な3日間。
一秒だって無駄にはしたくありません。
アナトリー、はやく有名な観光地に連れて行っておくれよ~


いやいや。
普通の旅行をしたいのなら、カウチサーフィンなんか使わなければいいのです。
ガイドブックに載っている場所を回るだけなら、自分独りでもできます。
または、ツアーを利用すれば手っ取り早いんです。

地元の人しか知らない穴場的スポットを訪れることができる。
ガイドブックには載っていない、新しい発見をすることができる。
それがカウチサーフィンの魅力だったはずだろ?

このブログの存在意義、私の旅の本来の目的を危うく失念するところでした。




それでも、 それでもさ、本音を言うと有名な観光スポットを早く見たいよ!
アンドレイ坂の上にはエレガントなアンドレイ教会が見えているというのに、なんだかとても遠い存在に感じます。




「マサト、腹はへってないか?」
とアナトリーが聞いてくれたおかげで、食事にありつくことができました。




アナトリーが連れて来てくれたのは、「プザタ・ハタ」というウクライナ料理のレストラン。
値段も安く、キエフ市内に何店舗もあるチェーン店なので、けっこう重宝します。




朝からビールも飲んじゃいましたよ。
旅行中は無礼講なのです。






アナトリーにおごってもらいました。
ありがたや、ありがたや。




「マサト、ウクライナに来たからにはこれを食わにゃならん」
「はあ・・・」
アナトリーに勧められるままに、なんだかよくわからない物を注文されてしまいました。




中はこんな感じ。








ここからもアンドレイ教会が見えます。
ううっ。
いったいいつになったら行けるのだろう。



食事の後は外貨の両替のために銀行に連れて行ってもらいました。
ポーランドのお金は交換してもらえたのですが、リトアニアのお金は受け取ってもらえません。
なんだか不便だなあ。

ここで私は重大なことに気づきます。
ウクライナで外貨を両替するにはパスポートの提示が必要なのですが、パスポートと一緒に保管しておくべき入出国カードが見当たらないのです。
地球の歩き方にはこう書いてあります。

「・・・カードは、ウクライナを出国する際に提出しなければならない。これがないとトラブルとなり、出国できなくなることもあるので、なくしてしまわないように細心の注意を払って保管しておくこと」

出国できないって、いったいどういうことなんだろう・・・
そんな大事な物、いきなり失くしちゃったよ。
これは大変なことになったぞ。

きっと寝台列車の中だ。
係官に連行された際、あわてて列車から降りたもんだから忘れ物がないか十分にチェックする時間がなかった。
きっとベッドの上に置き忘れてきたに違いない。

「アナトリー、急いで駅に戻ってくれないか? イミグレーションカードを失くしちゃったよ」
「はあ? なんだそれは。今すぐじゃなきゃダメなのか?」
「そうだ。今すぐだ。あれがないと厄介なことになる」

私がそう説明しても、アナトリーはなんだか気乗りしない顔。

「そんな紙切れ1枚失くしたってどうだっていいじゃないか。
それに今更駅に戻ったって遅いぞ。列車はとうの昔に出発してしまっている。」

「でも、もしかしたら誰かが発見して、駅の遺失物拾得係りに届けてくれたかもしれないじゃないか。
とにかく駅に行って確かめてみたいんだ」

私が必死に説得しても、アナトリーは大きく頭を振ってため息をつくばかり。

「いいか、マサト。
お前はウクライナに到着したばかりじゃないか。
イミグレカードが必要なのは出国の時だろ? いったい何日後の話だ?
そんな先のことを心配するよりも、今を楽しめ。
お前は今キエフにいる。
だったら今この瞬間はキエフをエンジョイすることに専念すればいい。」

アナトリー、他人事だと思ってないかい?
時間が経てば問題が解決するとでもいうのか?
事態はあんたが思っているよりもはるかに深刻なんだ。
たとえ手遅れだろうが、俺は今できる手はすべて打っておきたいんだよ。
じゃないと後で後悔する。

しばらく二人で言い合いをしていたのですが、どうしてもアナトリーは駅まで行ってくれません。
なんて頑固なオヤジだ。

彼が不親切なわけではけっしてありません。
リヴネ行きのチケットを買うために、売り場まで連れて行ってくれたのです。
しかし、チケット売り場からは車ですぐそこのキエフ駅には行ってくれません。

「出入国カードがなかったら、いったいどうなるんだろう?」
俺はそんな不安を抱えながら、ウクライナ出国の日まで過ごさなければならないのだろうか。
いや、明日の朝一番で駅まで行こう。
それでもし見つからなければ日本大使館に行って相談しよう。














私のそんな不安をよそに、アナトリーのツアーは続きます。
もちろんガイドブックには載っていない超マイナーな場所ばかり・・・

ああ、こんなことしてるヒマがあったら、駅に行ってイミグレーションカードの行方を確かめたいなあ。




寿司屋の前で記念撮影なんかしてる場合じゃないっつうの




丘の上で燦然と輝くアンドレイ教会。
ああ、いったいいつになったら俺はお前に会えるのだ。


キエフには大学や教会が山のようにあります。
それら一つ一つについてアナトリーは丁寧に解説してくれます。

が、はっきり言って私はそんなの興味がない。
キエフには他にもっと観光客向けの見どころがたくさんあるので、短い滞在期間を有効に使いたい。
それにアナトリーの英語はわかりづらい。
彼の解説を聞いていても、ちっとも理解できない。


さらに困ったことに、彼は私の体をベタベタ触るのです。
肩を組むだけならまだしも、腕を組んだり手をつないだり。
私の体をくまなくさすっては抱きしめます。
ぞ・ぞ・ぞ・ぞーっ。
鳥肌が立ってきたぞ。

最初こそ「これがウクライナ式の歓迎方法なのかな」などと思っていたのですが、だんだんと気持ち悪くなってきました。

「このおっさん、もしかしてホモじゃねえだろうな」

思えばキエフでのホストを探していた時、真っ先にメッセージを送ってきてくれたのがこのアナトリーでした。
私が彼にカウチリクエストを送ったわけではありません。
「ぜひうちに泊まりに来てくれ」
彼の方から熱烈なラブコールがあったのです。

アナトリーはまだカウチサーフィンの経験がありません。
それなのにこの積極的なお誘い。

もしや、キュートな俺の写真に一目惚れしたアナトリーは、彼の家に俺をおびき入れ、手籠めにしようとたくらんでいるのでは?


さらに困ったことには、アナトリーは私のカメラを奪ったきり返してくれません。
「マサト、お前の写真を撮ってやろう。そこに立て」

きっと彼は善意でやってくれているのでしょう。
でも、せっかくウクライナまで観光に来ているのだから、自分でたくさん写真を撮りたい。
それなのにずーっとアナトリーは私のカメラを手放しません。

なんとか返してもらっても、すぐにまた
「ほら、ここなんて写真撮影にはピッタリだぞ。
カメラをよこせ、マサト。 俺がお前の写真を撮ってやるから」
そう言ってまた私のカメラを奪ってしまいます。

これでは自分のペースで観光ができません。

今回のカウチサーフィンはホスト選びに失敗したかな?




「ガイドブックに載っていない」(超マイナーな)教会めぐりにもうんざりしてきたころ、アナトリーは市場に連れていってくれました。
しかし、あいにく今日は休みの模様。
ほとんどの店は閉まっていて、市場の中はガランとしています。
なんだかシラけた空気が漂います。




ここでもアナトリーは丁寧に解説をしてくれます。

「マサト、これを見ろ。これはだな・・・」
「もしかして、サーロー?」
「そうだ。よく知ってるな」

ベラルーシでのホスト、サンダルイクから、
「マサト、ウクライナに行ったら絶対にサーローを食べなきゃダメだぞ」
と言われていたのを思い出しました。

アナトリーはそのサーローを大量に買おうとしています。
「これがなきゃウクライナの夜は始まらないのさ」




うひょー!
今夜はサーローにありつける!

地球の歩き方には載っていないこの「サーロー」。
カウチサーフィンを利用していなければ、自力でこの珍味にたどりつくことはできなかったかもしれません。

ちょっとふてくされていた私でしたが、これで一気に機嫌がなおります。
ルン、ルン♪




次にアナトリーが連れてきてくれたのは、なんだか高そうなレストラン。




高級そうなワインがずらりと並んでいます。




「アナトリー、ここは俺には高級すぎるよ。
それにまだそんなにお腹は減っていない」

「心配するなマサト。 ここは私の友人の経営するレストランだ。
君に紹介しようと思って連れてきただけだ」




このレストランのオーナー・シェフだというアナトリーの友人は、料理の世界ではかなり有名らしい。
実際、本を何冊も出していて、彼のことを知らない人はいないらしい。




上の写真がこのレストランのオーナー・シェフ。
そして下の写真はアナトリーの息子。

えっ!
アナトリー、あんた息子がいたのか。
ホモじゃなかったんだ。




オーナー・シェフは言います。

「どれ、一緒に写真を撮ってやろう」

なんて高飛車なんだ!

彼がどのくらい有名な人なのか知らない私には、この写真の価値はわかりません。
でも、なんだかカウチサーフィンらしくなってきました。
自分一人で旅をしていたら、この人と会うこともなかったでしょう。
握手もしてもらえなかったことでしょう。
いらんけど。




ご丁寧にも彼は自分の著書に直筆のサインまで書いて私にプレゼントしてくれました。
ここまでしてくれるということは、やはり彼は本物の有名人だったのだろうか。
いまだに謎です。




私が「ありがとう」と御礼を言うと、彼は大笑いしながらワインを一杯プレゼントしてくれました。
クリミア産の「アリガタヤ」という名のワインだそうです。




レストランの近くには川の中に教会が!
なんでわざわざこんなところに建てなきゃならなかったんだ?




橋を渡ったその先にあるのは・・・



ビーチ!

「マサト、アンドレイ教会を眺めながらひと泳ぎと洒落込もうじゃないか」
とのアナトリーの提案。

キエフで泳ぐなんてことはまったく私の計画にありませんでした。
しかし、むろん異論はありません。

いやっほー!
初日にしてウクライナ美人の水着が拝める!






テーマ : ヨーロッパ旅行記
ジャンル : 旅行

カウチサーフィン(CouchSurfing)とは?

CouchSurfingKyoto

Author:CouchSurfingKyoto
.カウチサーフィン(CouchSurfing)とは。

日本に観光に来た外国人の宿として無償で自宅を提供し、国際交流を深めるというカウチサーフィン。

また、自分が海外に旅行に行く時には、現地の一般家庭に泊めてもらい、その土地に住む人々の生の暮らしを体験することだってできてしまいます。

ここは、そんなカウチサーフィンの日常をありのままにつづったブログです。

「カウチサーフィンは危険じゃないの?」
そんな危惧も理解できます。
たしかに事件やトラブルも起こっています。

なにかと日本人にはなじみにくいカウチサーフィン。

・登録の仕方がわからない
・詳しい使い方を知りたい
・評判が気になる

そんな人は、ぜひこのブログをチェックしてみてください。
きっと役に立つと思います。

最後に。

「カウチサーフィンを利用すれば、ホテル代が浮く」

私はこの考え方を否定しているわけではありません。
私もそのつもりでカウチサーフィンを始めましたから。

しかし、カウチサーフィンは単なる無料のホテルではありません。
現在、約8割のメンバーはカウチの提供をしていません。サーフのみです。

だって、泊める側にはメリットなんてなさそうですものね。

「自分の部屋で他人と一緒に寝るなんて考えられない」
「お世話したりするのってめんどくさそう」

時々私はこんな質問を受けることがあります。

「なぜホストは見知らぬ人を家に招き入れるのか?」

それはね、もちろん楽しいからですよ。

自己紹介
プロフィール


こんにちは。
京都でカウチサーフィン(CouchSurfing)のホストをしている、マサトという者です。
ときどきふらりと旅にも出ます。
もちろん、カウチサーフィンで!


(海外)
2011年、ユーレイル・グローバルパスが利用可能なヨーロッパ22カ国を全て旅しました。
それに加えて、イギリスと台湾も訪問。
もちろん、これら24カ国全ての国でカウチサーフィン(CouchSurfing)を利用。

2012年、東南アジア8カ国とオーストラリアを周遊。
ミャンマーを除く、8カ国でカウチサーフィンを利用しました。

2013年、香港、中国、マカオをカウチサーフィンを利用して旅行。 風水や太極拳、カンフーを堪能してきました。

2014年、侍の衣装を着て東ヨーロッパ20か国を旅行してきました。


(日本国内)
これまでに京都で329人(53カ国)のカウチサーファーをホストしてきました(2013年6月25日現在)。

もちろん、これからもどんどんカウチサーフィンを通じていろいろな国の人と会うつもりです。



カウチサーファーとしてのカウチサーフィン(CouchSurfing)の経験:


オーストリア、ベルギー、ブルガリア、クロアチア、チェコ共和国、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、ルーマニア、スロヴェニア、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、台湾

シンガポール、インドネシア、オーストラリア、マレーシア、タイ、ミャンマー、ラオス、カンボジア、ベトナム

香港、中国、マカオ

スロヴァキア、ポーランド、リトアニア、ラトヴィア、エストニア、ベラルーシ、ウクライナ、モルドヴァ、沿ドニエストル共和国、ルーマニア、セルビア、マケドニア、アルバニア、コソヴォ、モンテネグロ、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、リヒテンシュタイン


ホストとしてのカウチサーフィン(CouchSurfing)の経験:


アイルランド、アメリカ、アルゼンチン、イギリス、イスラエル、イタリア、イラン、インド、インドネシア、ウクライナ、エストニア、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、韓国、クロアチア、コロンビア、シンガポール、スイス、スウェーデン、スコットランド、スペイン、スロヴァキア、スロヴェニア、タイ、台湾、チェコ共和国、中国、チュニジア、チリ、デンマーク、ドイツ、トルコ、日本、ニューカレドニア、ニュージーランド、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、ブラジル、フランス、ベトナム、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、香港、マダガスカル、マレーシア、メキシコ、モルドバ、リトアニア、ルーマニア、ロシア



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