杉原千畝とトゥラカイ城

ヴィリニュスでのカウチ。
なかなか豪華でしょ。

キオスクで公共交通機関用のカードを買おうとしたのですが、窓口の女性は英語を話しません。
若い人は英語を話すようですが、駅の切符売り場やキオスクで働いているのはたいてい年配の女性。
驚くほど英語が通じません。

なんとかカードを購入して、いざ、バスの中で使おうとしたらエラー表示が出ました。
カードにお金がチャージされていなかったからです。
窓口のおばちゃんももうちょっと気を利かしてくれてもよさそうなものなのに・・・
カードだけ買っても、チャージしなければ使えないのはわかってるはず。

カウナスのバスターミナル。

カウナスの街自体も魅力的だったのですが、時間がないのでまっすぐ杉原記念館を目指します。
こんな所、おそらく日本人しか訪れないので、標識なんてありません。
それでもたどりつけたのは「地球の歩き方」の地図のおかげ。
ほんとにお世話になります。

杉原記念館はなんの変哲もない普通の家。
知らなければ通り過ぎてしまいます。


案内表記も日本語。
まあ、こんな所、日本人くらいしか来ないでしょう。
あとはユダヤ人か。

杉原記念館に入ると、なかば強制的にビデオを見せられます。

このビデオ、けっこう感動しますよ。








記念にスタンプを押しました。

この場所はけっこう日本人には人気があるようです。
備え付けのノートには、ほぼ毎日、ここを訪れた人が日本語でメッセージを残していました。
私が滞在したほんの数十分の間にも、日本人らしき女性が見学していました。
大急ぎでヴィリニュスまで戻り、今度はトゥラカイ行のバスに乗り込みます。
リトアニアには見所がたくさんあるので、時間が足りません。

(バスの中で知り合ったドイツ人がくれたトゥラカイの地図)
バスの中でドイツ人の男性に話しかけられました。
スイスでスキーのインストラクターをしたり、東南アジアを数年かけて旅行したり、となかなか面白そうな人生を送っている人です。
今はトゥラカイに住んでいるとか。
「トゥラカイには何泊するんだ?」
と聞かれたので、日帰りで訪れるつもりだというと、目をむいて驚いていました。
「トゥラカイはほんとにいい所だ。最低でも3泊はしないと・・・」
でも、私のここでの目的はトゥラカイ城のみなので、数時間で十分なのです。
彼は海沿いの散歩道も教えてくれたのですが、どうやらそこを訪れる時間はなさそうです。
トゥラカイの地図をくれたり、城の絶好の撮影ポイントを教えてくれたりと、ほんとに親切な人でした。
「日本にはいってみたいけど、物価が高いからなあ」
いやいや。
スイスの方がよっぽど高いでしょ。

バスターミナルからトゥラカイ城まではけっこう歩かなければなりません。
それでもなんとか日暮れまでにはたどり着きました。
ここは夕暮れ時が一番写真撮影には適しているのですが、土産物屋などは閉店し始めていて、けっこうあせります。


侍の衣装を来ていると、よく写真撮影を頼まれます。
その際、メールアドレスを渡されて、
「ここに写真を送って」
と頼まれるのですが、これがけっこう大変。
旅行中はただでさえ忙しいのに、そんな時間ないよ・・・



結婚式の日には、新郎は新婦を抱えて橋を渡るのがこの国の習慣らしく、多くのカップルがドタバタと橋の上を走って行きます。
ちゃんと花嫁を選ばないと大変なことになりそう。
この国の女性もやはり結婚式の前には特別なダイエットをしたりするのでしょうか。
いや、ぜひしてほしい。

トゥラカイ城湖畔には、釣りをしている人もけっこういました。
観光客だけでなく、地元の人にも人気のスポットなんでしょうね。

自分ではかっこよくポーズをきめているつもりでしたが、やはり他人からは奇異に見えるようです。

「ねえねえ、おじちゃん。いったいなにしてるの~」

ヴィリニュスでのホスト、スヴァジュナスの家は市内から離れた郊外にあります。
バスの接続が悪く、早く帰らないと最終バスに乗り遅れてしまうのですが、私はここが気に入ったので、トゥラカイ城を眺めながら夕食をとることにしました。
これで最終バスを逃すことが確定しました。
あとは開き直ってのんびりするだけです。

トゥラカイ名物、「キビナイ」
予想していたのよりもかなり小さい。
私は一つしか注文しなかったのですが、中に入っている具材はいろんな種類があるので、もっとたくさん頼めばよかった。

リトアニアの定番スープ、シャルティバルシチェイ。
とても変わった色をしています。
そしてこのスープ、冷たいんです。
もう夕暮れ時なので、湖畔は風が吹いていてとても寒い。
なので温まろうと思ってスープを頼んだのに、凍えながら飲むはめになってしまいました。

寒かったのですが、がんばって外で食べました。
だってこんなきれいな景色を逃すなんてもったいないじゃないですか。
ちなみにこのレストランのウェイターはものすごくハンサム。
おまけにとても親切なんです。
湖畔にたたずむ美しい城とハンサムなウェイター。
どこをとっても絵になるなあ。
再びバスに乗ってヴィリニュスに到着した頃にはあたりは暗くなりかけていました。
ホストのスヴァジュナスに遅くなる旨連絡すると、
「ちょうどその時間は車で買い物に出かけているから、スーパーで待ち合わせしましょ」
とのこと。
タクシーを使うつもりだったのですが、お言葉に甘えてしまいました。
でも、実際にそのスーパーに行ってみると、一時間も前にそこは閉店していたようです。
もちろんしょっちゅうここを利用している彼らはそのことを知っていたはず。
私のためにわざわざ来てくれたのです。
なんていい人たちなんだ。
俺って人に迷惑かけてるなあ。

スヴァジュナス夫妻は客をもてなすのが好きなようで、毎晩私の話し相手をしてくれます。
この日は彼らの娘さんが作ったケーキをいただきながら、深夜遅くまで話し込みました。
いろいろと話題はつきません。
どうも彼らはロシアが大嫌いなようです。
彼らが若かったころは共産主義の統治下にあったので、今では想像もできないくらいに不便な生活を強いられていました。
「アップルパイをもらうのに、何時間も待たなければならないのよ。信じられる?」
奥さんのダリアは感情を露わにして当時の様子に憤っていました。
今ではとても裕福な暮らしをしている彼らにとって、ソ連時代は不幸以外のなにものでもないのでしょう。
「私、ロシアなんて大っ嫌い!
あんな奴らさっさと滅びてしまえばいいのよ。
たまにこの家の上空をNATOの戦闘機が通過するんだけど、私その度に手を振っちゃうのよ。おかしいでしょ」
もっと豊かになるために、EUに加盟するのも彼らの悲願だったようです。
「マサト、あなたギリシャを旅行したことある?
インフラが整っていないから、あの国を旅行するのっていろいろと不便なのよ。
経済だって崩壊してるし。
私その時思ったの。なんでこんな国がEUに加盟できたんだろうって。
ギリシャに比べれば、私たちの国の方がよっぽど豊かだというのに、なぜリトアニアはまだEUに加盟できないんだろうって。」
スヴァジュナス夫妻はほんとうに話好き。
いつまでも話し続けます。
明日は早朝からヴィリニュス観光をしたいんだけどなあ。
いや、普通に観光したいだけならホテルに泊まればいい。
私はその土地の人と話がしたいからかうちサーフィンを利用してるんだ。
でも、眠い。
こうして寝不足の日々が続いていくのです。