カウチサーフィン(CouchSurfing)と愉快な仲間たち

ヘンタイよ!、ヘンタイ!

イーシャンが私の部屋に泊まるのも今夜が最後。

だからというわけでもないだろうが、今夜は彼女がみそ汁を作ってくれるらしい。


「カウチサーフィンは国際交流の場」

というのが建前だが、実際は無料のホテルとして使っている人がほとんど。

なので、料理をふるまってくれるカウチサーファーなどというものはほとんど存在しない。


だが、それは仕方のないことだと思う。

彼らは旅人であり、昼間は観光に大忙し。

クタクタに疲れて帰ってきてから料理を作るなどというめんどうなことを、いったい誰がやりたがるだろうか。

普段、家にいる時は料理をするのが大好きな人でも、旅先でくらいはのんびりとしたいはずだ。


それでも中には果敢に料理に挑んでくれるカウチサーファーもいることはいる。

このイーシャンみたいに。



(台所で料理中のイーシャン(台湾))


私はゲストを平等に扱ったりはしない。

私の部屋を安宿代わりに使う人にはそれなりの対応をする。

非礼には非礼で応える。


だが、礼をつくしてくれた人には、やはり礼をもって応えたい。

あいにく私は料理が苦手なので、こんな提案をしてみた。

「うちにたこやき器があるんだけど、食べたい?」

「うそっ? ほんとに! たこやき作りたい! 食べたい!」


外国人のなかには、異常にたこを気味悪がる人がいるので、たこ焼きに対する評価は二分する。

だから事前に必ず確認しておかなければならない。

以前、たこ焼きを食べている最中に質問されたことがある。

「このボールの中に入ってるのはいったいなに? なんだかグニャグニャしてるんだけど」

「ああ、それ、たこだよ」

「たこってなに?」

「タコを知らないのかい? じゃあイカは知ってる? イカは細長くて白いけれど、タコは丸い頭をしていて、赤いんだ」

そう言った瞬間、彼女は箸を置いて、洗面所へと走っていったきり帰ってこなかった。





しかし、このイーシャンはたこ焼きと聞いて嬉々としている。

台湾では日本の食文化が大人気だ。

彼女もよくお好み焼きやたこ焼きを食べるのだそうだ。

「そっかー、じゃあこれが初めてじゃないんだ」

「台湾で食べるのと日本で食べるのとでは全然違うわ。それに、自分で作るのは初めてだし。

ね、私がたこ焼きを作ってるとこ、写真に撮ってくれない?」

「日本でたこ焼きを作った」と言うと、友達に自慢できるらしい。


私のたこ焼き器は安物で、いつもうまくいかない。

「こちら側はもうすでにこげそうなのに、反対側はまだ生焼け状態なのよね。なんでかしら」

「ヒーターに温度差があるみたいだ」

「たこ焼きってほんとは丸い形をしてるのよね。それなのに、私たちが作ったのは下側が平べったくなっちゃってる」

「ひっくり返すタイミングがマズいのかもしれないね」

一緒に食事をするだけでもそれなりに楽しいが、二人でワイワイ言いながら作るのも悪くない。

たとえできあがったものが、およそたこ焼きとはいえないおぞましい代物だったとしても、なんだか愛着がわいてくるから不思議だ。


そしていよいよ、できあがったたこ焼きを食べる。

うん、見た目はともかく、味は悪くない。

だが、イーシャンは少し不満そう。

「マサトさん、このタコ、味付けしました?」

うっ、バレたか。

実は急にたこ焼きを作ることが決まったので、材料を用意していなかった。

時間も遅いので、近所のスーパーはもう閉まっている。

そこで緊急避難として、酢の物に使うタコを流用したのだ。

梅酢にどっぷりと浸かっていたのだが、よく水洗いしたから大丈夫だろう。

それに相手は台湾人。たこ焼きの味なんてわからないはずだ。

万が一バレたとしても、

「これが日本式だ!」と言えばなんとかなるだろう、と思っていた。


しかし、舌の肥えた台湾人をごまかすことはできなかったようだ。

ごめん。大阪で本物のたこ焼きを食べて口直ししておくれ。




たこ焼きの後は、イーシャンが作ってくれたみそ汁を飲む番だ。

「私、聞いたことがあるんです。

日本では、一人前におみそ汁を作れるようになって初めてお嫁さんに行けるんだそうですね。

私、うまく作れたかな?」

みそ汁を口に運ぶ私を、イーシャンは不安そうに見つめる。

まるで新妻を迎えた夫のような気分だ。


「うまい!」

「ほんとに?うれしい! 私、日本人のお嫁さんになれる?」

(たとえみそ汁がどれほどマズかろうと、君のようなかわいいお嫁さんなら大歓迎だよ。というよりイーシャン、君は日本人と結婚したいのか?)

お世辞ではなく、本当に彼女の作ったみそ汁はとてもおいしかった。

私の母親よりも上手なのではなかろうか(ちなみに私の母親の料理の腕はかなりのものだ)。


日本人でも、きちんとダシをとったおいしいみそ汁を作れる子は少なくなってきてるような気がする。

それなのに、台湾人の女の子がこんなにおいしいみそ汁を作って、なおかつ、

「これでお嫁に行ける?」なんて、日本人よりも日本人らしい!

台湾は日本人にとって人気の旅行先となっている。

理由はいろいろあるだろう。

・近い
・物価が安い
・日本人に対して親切

だが、それら以上に、台湾には日本が失ってしまった「日本らしさ」が残っているというのも一つの大きな理由だと思う。

台湾には、日本統治時代に作られた懐かしい建築物が、いまだに数多く残っている。

それに加えて、台湾人は日本文化を大切に扱うので、日本ではすでに失われてしまった価値観が、いまだに残っているのかもしれない。

だから台湾を訪れた日本人は、ふと、ノスタルジックな感覚におちいってしまうのではないだろうか。



(イーシャンの作ってくれたみそ汁)

イーシャンはとても快活な女の子なのだが、出会った当初は、少し私から距離を置いているような気がした。

かわいい女の子が一人で男の家に泊まりに来るのだから、相手に誤解を与えないようにふるまうのは当然だ。

しかし、そのわりに彼女は不用心なところもある。

風呂上がりに、私のとなりでストレッチをしたりするのだ。

タンクトップにショートパンツというラフな格好で、シャンプーやせっけんの香りをプンプンとまき散らしながら。

はっきり言ってこれは、かなり刺激的だ。

だが、イーシャンは別になんとも思っていない様子。

男と女とでは、こういうことに対する感じ方が異なるのだろうか。


そんな彼女とも、この数日間でずいぶんと仲良くなれた気がする。

それも、元KGBの美人スパイ、マリアのおかげだ。

陽気な彼女と3人で京都の街を観光したことで、グッと距離が縮まった。

そういうわけだから、最終日の夜はちょっとエッチな話題になることすらあった。

だが、時々、彼女の使う言葉に違和感をおぼえて、戸惑ってしまうことが何度かあった。

彼女は私にむかって、何度もこう言う。

「ヘンタイよ、ヘンタイ!」


外国人は、日本のAVやアダルト・アニメ、成人向けコミックのことを総称して「ヘンタイ」と呼んでいるようなのだ。

変態もののAVと聞くと、ものすごくえげつない内容を想像してしまうが、外国人に言わせれば、たとえ健全で(?)ごく普通のAVでも「ヘンタイ」というジャンルに入ってしまうらしい。

日本が世界に誇るアダルト・コンテンツは、諸外国では「ヘンタイもの」という不動の地位を確立しているのである。

名誉というか、不名誉というか・・・

それにしても、人の顔を見ながら大声で、「ヘンタイ! ヘンタイ!」と連呼するのはやめてもらえないだろうか?





翌朝、イーシャンは旅立っていった。

台所には、大きな鍋にみそ汁がたくさん入っている。

「こんなにいっぱい!」

「これだけあれば、3日間くらいはもつでしょ。このみそ汁を飲むたびに、マサトさんは私のことを思い出すのよ」

だが、その日のうちにすべて食べてしまった。

あまりにもおいしいみそ汁だったので、一度食べ始めると止まらなかったのだ。


それに、たとえみそ汁なんかなくたって、君のように濃いキャラの子を忘れることなんてできないよ。

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テーマ : カウチサーフィン(Couch Surfing)
ジャンル : 旅行

カウチサーフィンは危険です

今回は、ある女性の体験記です。
以下、全文をそのまま転載します。

_____________________________________


友達がNYにいるのでこの前旅行に行ってきました。NYに行く前に
カウチサーフィンの事をネットでたまたま見てから色々と調べたときに
事件があったのも見ました。なので女のホストの人を探していたのですが
見つからず、男の人でも今まで泊めた人のコメントなどを見て信頼できる人だったら
大丈夫かなと思ってダメもとでメールを送ってみたところ返事が返ってきたので
Facebookなどでコンタクトをとって泊まれることになりました。この人は日本人の
女の人を泊めたことがある人だったし他の一人旅をしている女の人も泊めた経験があり
コメントを見る限り良さそうな人でした。そしてこの人自身もカウチサーフィンのゲスト
の経験もあったので、100パーセントではないけど大丈夫だと信じていました。
会ったときからちょっとボディータッチが多いと思い、強く断らなかった自分も悪いけど初めてのカウチサーフィン
でなるべく楽しみたかったし冗談を言いながら上手く交わそうとしましたが、
相手にはちゃんと伝わっていなかったのか、ただ無視していたのか、
2日目の夜、私はその人と色んな話がしたかったので色々と質問していましたがその人はあまり
乗り気じゃない感じでした。一緒にソファーに座っていて、相手が横になりはじめわたしも横になるように
言われたのですが、何度も断りかなり嫌な気配がしたので離れようとしたとき強くつかまれ危うく犯される
寸前でした。必死すぎてちゃんと覚えていませんが大きい声を出したか、本気で怒ったか
その後もどうすればいいか分からなかったけど、とりあえずもう二度カウチサーフィンでホストをしないでくれ
と頼みました。そしたら相手はその事について謝りホストはしないと言ってくれプロフィールも
書き換えると言っていました。
その人はこれが初めてだと言っていましたが正直信用できません。
旅行後にその人のプロフィールを確認したところ隠されていて確認できませんでしたがその人がもし
まだカウチサーフィンを続けていたら嫌なのでもう一度調べるつもりです。

そして次の日NYにいる友達と会ってその事を伝え、なんとか泊めてもらえることになり大丈夫でした。

マサトさんや他の日本人のカウチサーフィンの体験を見ると良い出会いがあるのもカウチサーフィン、
でも他人のお家に泊まることは本当に気をつけないといけないことだとしみじみ思いました。
私は英語があまり上手ではありませんが英語を勉強中で、これから出来たらもっと色んな国に行ってみたいと
思っています。英語で話すのは練習にもなるし他の国の人関われ色々と話せたら普通に旅行を
するより私にとってはそのほうがもっと楽しい旅になると思うのでカウチサーフィンというサイトはとても
いいと思います。だけど本当に今回のような事は二度とおきて欲しくないし、せっかくの旅が楽しめなく
なってしまうので、特に女の一人旅の人は気をつけて欲しいと思いました。カウチサーフィンを始める前に
カウチサーフィンの事について調べているときにマサトさんのサイトを見ていたので、きっとカウチサーフィンを
これから始めようと思っている人、興味がある人がたくさん見ているんじゃないのかなと思い
この事を少しでもいいのでブログに載せてもらえたら言いと思いメールしました。

長々と読んでくれてありがとうございます。

______________________________


このように、ポジティブのレファレンスがある人でも、100パーセント安心とは言えないようです。
やはり女性は女性のホストを探すのが一番なのかもしれません。

会ったこともない人の家に泊まることになるカウチサーフィン。
危険な側面があることは否めません。

KGBとカウチサーフィン

ブログの更新をサボっているのがバレてしまいますが、葵祭に行ってきました。









葵祭と言えば、京都三大祭りの一つ。

日本でも有数の大きなお祭りですが、実は外国人のウケはあまりよくありません。

「これぞニッポン」といった伝統的な衣装を着た豪華な行列を間近で見ることができるのですから、

外国人観光客はさぞかし感動するかと思いきや、リアクションはいまいち。

最初のうちこそ、「オォーッ!」と叫んでいるのですが、そのうちテンションが下がってきます。

まだ行列が目の前を歩いているというのに、写真を撮るのをやめ、カメラをしまってしまいました。


これは葵祭に限ったことではありません。

時代祭や鞍馬の火祭もそうでした。

どうも彼らは、行列がただダラダラと歩いているだけだと、飽きてしまうようなのです。


もちろん個人差はあります。

「葵祭、最高!感動したっ!」という外国人も大勢いるでしょう。

もしかしたら、私の解説がマズいのかもしれません。


当初の予定では京都御所から下賀茂神社まで行列を追いかけるつもりだったのですが、彼らはすでに興味を失ってしまったみたいですね。




写真左はイーシャン。台湾人の彼女はここ数日、私の家に泊まっています。

古き良きアジア人女性と、進取的な欧米人女性の両方の良さをあわせ持った、とても魅力的な女の子です。


右側はマリア。ロシア人です。

彼女はホテルに宿泊しているのですが、地元の人間と京都を歩いてみたかったようで、私にメッセージを送ってきました。


私はロシアをはじめとする旧東側諸国の人はみんな、英語が苦手なんだというイメージを持っていました。

しかし、このマリアはとても流暢な英語を話します。ロシア訛りのようなものはありません。

そこで、銀閣寺から哲学の道を歩いて下りながら、私たちはいろんな話をしました。


(銀閣寺にて)

マリアのカウチサーフィンのプロフィールには、「士官学校卒業」と書いてあったので、そのことについて聞いてみました。

ロシアの軍人と話をする機会なんてそうそうないですからね。

なにか機密情報も聞けちゃうかも!


しかし、マリアはなんだか言いにくそうにしています。

あれ?なにかマズい質問したかな?


「あなたたちを怖がらせたくなかったから士官学校って書いたんだけど、ほんとはそうじゃないのよ」

実は彼女は軍人ではなく、情報機関の人間だったのです。

そう、いわゆる「KGB」です。


えええええ!!!!!

それって、ある意味、ロシア軍人よりすごいぞ。


イーシャンも驚いています。

「そうとは知らずになれなれしく口をきいてしまいました。数々の無礼をお許しください~~~。どうか命だけは~~~」

ちょっとおおげさだな。



マリアは士官学校ではなく、諜報員を養成する学校を卒業しました。

その時の写真を見せてもらいましたが、パリッとした制服に身を包んだ彼女は、今とはまるで別人です。

その冷たい目からはなんの感情も読み取ることができません。


ところが、今我々の目の前にいる女性はとても陽気で、冗談を言っては私たちを笑わせてくれます。

ロシア人というより、まるでアメリカ人です。



それに、彼女は一人で京都を歩くことさえできない人間なのです。

最初、彼女とは駅で待ち合わせしようとしたのですが、

「私すぐに道に迷っちゃうのよ。悪いけど私の泊まってるホテルまで迎えに来てくれない?」という始末。

確かKGBって敵地の奥深くに潜入するのが任務じゃなかったっけ?

方向音痴の工作員なんて、敵に捕まりまくりじゃんかよ。



また、マリアの体型はどう見ても鍛え抜かれたスパイのものではありません。

わずか20分ほど哲学の道を歩いただけでヒィヒィ言っているのです。

格闘戦になれば、小柄なイーシャンの方が余裕で勝つでしょう。


「こ、これでも射撃は得意なのよ・・・」

マリアの言い訳が虚しく響きます。



KGBといってもいろんな部署があります。

みんながみんな、銃や戦車でドンパチをやるわけではないのです。


マリアの専門は情報。

ドイツ語、フランス語、スペイン語・・・。なんと彼女は数ヶ国語を自在に操るといいます。



また、彼女の父親やお兄さんもKGBの諜報員でした。

彼女の家系は、先祖代々情報機関で働いてきたのです。

「スパイ一家」

うわあー、かっこいいー。



たとえ家族といえども、自分の仕事の話はできません。

同じKGBでも、部署が違えば機密を漏らすわけにはいかないからです。

だからお互いが今どんな作戦に従事しているのかわかりませんし、聞いてもいけないのです。



ある時、マリアのお父さんは3週間くらい家に帰ってきませんでした。家族には何も言わずに。

数週間ぶりに彼が家に帰って来た時、体中あざだらけ、傷だらけだったそうです。

にもかかわらず、家族の誰も

「今まで何も言わずに、いったいどこにどこに行ってたの?」

「その傷はどうしたの?」

とは聞かなかったそうです。


みんな何事もなかったかのように、いつもどおり夕食を食べたのだとか。


すげー、かっこよすぎる。




マリアが他の部署に配置換えになった際、転属先の新しい上司から、

「おお、君があの「伝説の」〇〇〇の娘さんか」

と言われたそうです。


彼女のお父さんはKGB内でもかなり有名なスパイだったようですが、いまだにマリアはその「伝説」の内容を知らされておりません。


なんか映画みたいだなー。




(法然院にて)

ここでおそらく疑問に思った人もいることでしょう。

「KGBのエージェントが身分を明かしてもいいのか?」


マリアはもうずいぶん前にKGBを退職しています。

彼女のお父さんもお兄さんも。



辞めた後も数年間、元エージェントはロシア国外に出ることは許可されません。

機密保持のためでしょう。



その数年間の軟禁状態が終了した時、マリアはこれからは自由に生きることを決意します。

それからは毎年、自分の誕生日はロシア国外で祝うことにしているのだとか。


「実は今日は私の誕生日なのよ。何かお祝いして!」



晴れて自由の身となった彼女ですが、「元KGB」という肩書は一生ついてまわります。

彼女は事情があって宿泊先のホテルを変えたことがあるのですが、すぐに公安当局から照会がありました。

「貴君は宿泊先を変更したようだが、その理由はいかに?新しい滞在先からは飛行場の設備が見渡せるようだが、その場所を選んだ理由を明確に回答されたし」

また、国によっては入国を拒否される場合もあるのだとか。



そんなマリアは今、日本語に興味がある様子。

「マサトと知り合ったのも何かの縁だから、これからもスカイプで連絡を取りましょ。日本語を教えてね」


日本語をマスターして、いったい君は何をしようというんだ、マリア?

テーマ : カウチサーフィン(Couch Surfing)
ジャンル : 旅行

リトル・オバマ



右からデレク(アメリカ)、イーシャン(台湾)、ジュン(香港)、そして私。

今夜は多国籍ナイトなのだな。


「マサト、今夜は空いてる?」

朝、出かける準備をしながらイーシャンが聞いてくる。

台湾人の彼女は今、私の家に泊まっているのだが、カウチサーフィンを利用してたくさんの人に会いたいようだ。

今日も別のカウチサーファーと会う約束があるので、一緒に食事でもどうか、ということだった。


それはいいが、イーシャン、なんだその格好は。

彼女は昨日私と会った時は、いかにもバックパッカーらしい、シンプルないでたちだった。

ところが今朝の彼女はとてもオシャレ。

ひらひらしたスカートにハイヒール。メガネをコンタクトに変え、化粧も念入りに。

どこからともなくいい香りが漂っている。


俺と会う時と他のカウチサーファーと会う時ではずいぶんと気合いの入れ方が違うじゃないかよ。



イーシャンのお目当ての人はデレク。京都で英語の教師をしているアメリカ人だ。

英会話スクールではなく、公立学校で教えているらしい。


職業柄、彼は日本人の英語が壊滅的にひどいということを知っている。

そのせいか、私に話しかける時もとてもはっきりと発音してくれる。

たいへんありがたいことなのだが、なんだかくやしい。


デレクは会話する時、必ず最初に相手の名前を呼ぶ。

一見するとフレンドリーなようだが、まるで教師が生徒に語りかけているようでもある。


彼は小柄で歳も若いのだが、とても貫禄がある。

全身から自信がみなぎり、威風堂々としているのだ。

かといって、えらそうにしているわけでもない。

アメリカ人にはこういうタイプが多い。


そしてバリトンの効いた声で理路整然と話す。

なんだそのかっこよさは。

まるでオバマ大統領じゃないかよ。


そんなわけだから女性陣はうっとりとして、目がハートになっている。

はっきり言っておもしろくない。



食事の後、4人で八坂神社へ行った。

そこで干支の話になり、私を除く3人ともが同じ干支であることが判明。

私を除く3人で大いに盛り上がっていた。



話せば話すほど、デレクという人間の素晴らしさがわかってくる。

本来ならこういう人間に出会えたことに感謝するべきなのだが、俺はそんなにできた人間じゃない。

そう素直には喜べない。


だめだ。

勝てる気がしねえ。

テーマ : カウチサーフィン(Couch Surfing)
ジャンル : 旅行

彼氏?

カウチサーフィンは必ずしも宿泊を伴なうとは限らない。

私の家には今、台湾人のイーシャンが泊まっているのだが、彼女は今日は他のカウチサーファーと会う約束があるとかで、一人ででかけてしまった。

そういう状態のところへ、別のカウチサーファーからメッセージが届いた。

香港人のジュンからだ。

彼女はゲストハウスに泊まっているから、寝る場所は必要ないのだが、一人で旅行しているので、誰か地元の人間に京都を案内してもらいたいということだった。


(高台寺の近くにある着物のレンタルショップ)

ジュンの京都での目的は、着物を着て街を歩くこと。

レンタルの予約はすでに済ませてある。

そのお店は香港や台湾ではかなり人気があるらしく、京都を紹介する雑誌などで頻繁にとりあげられているのだとか。

そのため、お店の中は台湾や香港からの観光客でいっぱいだった。

少なくとも私がいた間には、日本人の客は一人も来なかった。



(手を洗うジュン。清水寺にて)


(清水寺の中にあるお茶屋さん)



待ち合わせ場所にジュンが現れた時、彼女は私を見て落胆したように見えた。気のせいかもしれない。

彼女は終始笑顔を浮かべている。でも、それはよく訓練された作り物のように見えなくもない。

彼女は私に何を期待していたのだろう。

彼女は私の何に失望したのだろう。



(高台寺)





この着物レンタルのお店はブログを運営している。

その中で使いたいからということで、お店の人がジュンの写真を撮った。


その時お店の人から「彼氏?」と聞かれた。

うれしかった。

「そうか、俺と彼女はそんなふうに見えるんだ」と思ったからだ。


でも、しばらくしてからそうでないことに気付いた。

どこからどう見てもお似合いのカップルに向かって、「二人は付き合ってるの?」と聞く人はいない。


私とジュンはとてもそういう関係には見えなかったのだろう。

それなのに一緒にいるから不思議に思って、「彼氏なの?」と聞いたのではないだろうか。


べつに彼女と付き合いとかそういうわけではない。

ただ自分が、「若くてかわいい女の子と一緒にいるのが不自然な存在」なのだということに気づかされ、ちょっぴりさびしくなっただけだ。




この水で顔を洗うときれいになれるらしい。



テーマ : 京都
ジャンル : 旅行

カウチサーフィン(CouchSurfing)とは?

CouchSurfingKyoto

Author:CouchSurfingKyoto
.カウチサーフィン(CouchSurfing)とは。

日本に観光に来た外国人の宿として無償で自宅を提供し、国際交流を深めるというカウチサーフィン。

また、自分が海外に旅行に行く時には、現地の一般家庭に泊めてもらい、その土地に住む人々の生の暮らしを体験することだってできてしまいます。

ここは、そんなカウチサーフィンの日常をありのままにつづったブログです。

「カウチサーフィンは危険じゃないの?」
そんな危惧も理解できます。
たしかに事件やトラブルも起こっています。

なにかと日本人にはなじみにくいカウチサーフィン。

・登録の仕方がわからない
・詳しい使い方を知りたい
・評判が気になる

そんな人は、ぜひこのブログをチェックしてみてください。
きっと役に立つと思います。

最後に。

「カウチサーフィンを利用すれば、ホテル代が浮く」

私はこの考え方を否定しているわけではありません。
私もそのつもりでカウチサーフィンを始めましたから。

しかし、カウチサーフィンは単なる無料のホテルではありません。
現在、約8割のメンバーはカウチの提供をしていません。サーフのみです。

だって、泊める側にはメリットなんてなさそうですものね。

「自分の部屋で他人と一緒に寝るなんて考えられない」
「お世話したりするのってめんどくさそう」

時々私はこんな質問を受けることがあります。

「なぜホストは見知らぬ人を家に招き入れるのか?」

それはね、もちろん楽しいからですよ。

自己紹介
プロフィール


こんにちは。
京都でカウチサーフィン(CouchSurfing)のホストをしている、マサトという者です。
ときどきふらりと旅にも出ます。
もちろん、カウチサーフィンで!


(海外)
2011年、ユーレイル・グローバルパスが利用可能なヨーロッパ22カ国を全て旅しました。
それに加えて、イギリスと台湾も訪問。
もちろん、これら24カ国全ての国でカウチサーフィン(CouchSurfing)を利用。

2012年、東南アジア8カ国とオーストラリアを周遊。
ミャンマーを除く、8カ国でカウチサーフィンを利用しました。

2013年、香港、中国、マカオをカウチサーフィンを利用して旅行。 風水や太極拳、カンフーを堪能してきました。

2014年、侍の衣装を着て東ヨーロッパ20か国を旅行してきました。


(日本国内)
これまでに京都で329人(53カ国)のカウチサーファーをホストしてきました(2013年6月25日現在)。

もちろん、これからもどんどんカウチサーフィンを通じていろいろな国の人と会うつもりです。



カウチサーファーとしてのカウチサーフィン(CouchSurfing)の経験:


オーストリア、ベルギー、ブルガリア、クロアチア、チェコ共和国、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、ルーマニア、スロヴェニア、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、台湾

シンガポール、インドネシア、オーストラリア、マレーシア、タイ、ミャンマー、ラオス、カンボジア、ベトナム

香港、中国、マカオ

スロヴァキア、ポーランド、リトアニア、ラトヴィア、エストニア、ベラルーシ、ウクライナ、モルドヴァ、沿ドニエストル共和国、ルーマニア、セルビア、マケドニア、アルバニア、コソヴォ、モンテネグロ、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、リヒテンシュタイン


ホストとしてのカウチサーフィン(CouchSurfing)の経験:


アイルランド、アメリカ、アルゼンチン、イギリス、イスラエル、イタリア、イラン、インド、インドネシア、ウクライナ、エストニア、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、韓国、クロアチア、コロンビア、シンガポール、スイス、スウェーデン、スコットランド、スペイン、スロヴァキア、スロヴェニア、タイ、台湾、チェコ共和国、中国、チュニジア、チリ、デンマーク、ドイツ、トルコ、日本、ニューカレドニア、ニュージーランド、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、ブラジル、フランス、ベトナム、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、香港、マダガスカル、マレーシア、メキシコ、モルドバ、リトアニア、ルーマニア、ロシア



メールフォーム:個人的に相談などありましたら、こちらからどうぞ(非公開です)

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