









































バルセロナでカウチサーフィン
ジュネーブからバルセロナへの夜行列車は寝台車ではなく、座席を利用した。
それでも追加料金は60ユーロ以上。
ユーレイルパスを利用しなければ、いったいいくらになるんだろう。
座席車といってもフラットシートなので、これまで利用したどの寝台車よりも快適だった。
睡眠時間も8時間以上とれたし。
例のごとく列車は遅れてバルセロナに到着。
駅で私を待っていてくれたエリックに感謝。
なんと今日はこのエリックが一日中バルセロナをガイドしてくれるという。
カウチサーフィン大好き!
エリックがカウチサーフィンを使うのはこれが初めて。
今まではピースボートのボランティアをやっていたそうだ。
だからたくさんの日本人と会っている。
彼は日本の文化が大好き。
空手に剣道、柔道をもう10年以上も習っている。
カウチサーフィンのプロフィール写真は刀を持った侍の衣装だ。
日本語の学校に通っているので、かなり日本語を話せる。
カタカナとひらがなを書けるというから驚きだ。
私の希望でまずはグエル公園を訪問。
すごい。
写真で何度も見ていたが、ここまで素晴らしいとは。
私は芸術にはあまり興味が無いのだが、ガウディは別格だ。
この公園は一日いても飽きない。
この旅行中、今までお土産は買わなかった。
荷物が増えるのを嫌ったからだ。
だが、ここでは思わず買ってしまった。
欲しいものを一つに絞ることができず、いくつも買ってしまった。
財布の紐が緩みっぱなし。
たまには散財もいいだろう。
エリックはいろいろと解説をしてくれる。
いままで数多くのピースボートの乗客をガイドしてきただけあって手馴れている。
きっと飽き飽きするくらいこのグエル公園にも来ているんだろうな。
あまりにもグエル公園が良かったので長居してしまったが、お腹も減った。
時間が惜しかったが昼食も必要だ。
エリックはタパスのお店に連れて行ってくれた。
典型的なスペイン、カタロニア料理をたくさん注文してくれる。
そして全ての料理の名前をノートに書いてくれた。
スペイン語とカタカナで。
彼がいなかったらこんなにたくさんの料理を味わうことはできなかっただろう。
ここは彼にご馳走せねば。
と思っていたら、エリックが支払ってくれた。
なぜだ?
逆だろう?
ラ・ランブラ通りと市場も面白い。
羊の頭や牛のペニス、うさぎなど、グロテスクな食材もズラリと並んでいる。
動物愛護協会の関係者が見たら大泣きする光景だ。
バルセロナでのホスト、マリアとファクへのお土産に牛のペニスを買った。
(彼らにこれを渡した時には苦笑いをしていた。
おそらくゴミ箱行きだろう)
ラ・ランブラ通りには大勢の大道芸人がいる。
ジッとして動かないので、最初は人形かと思った。
コインを渡すとパフォーマンスをしてくれる。
ここでエリックの友達、コーサイと合流した。
彼女は日本ヲタクらしい。
彼女の本名はイリスというのだが、これはスペイン語で「虹彩」と言うんだそうだ。
だから彼女は名前をコーサイに変えた。
コーサイはエヴァンゲリオンなどのアニメが大好きで、フィギュアもたくさん持っているとか。
スペイン人にしては奥ゆかしい性格をしている。
しかもかわいい。
うーん、タイプだ。
日本に遊びに来ないかな。
三人でポルノショップに入った。
これには驚いた。
ラ・ランブラ通りというバルセロナでも屈指の大通りにこんな店があるだけでもすごいのに、女の子同伴で入るなんて私には想像もつかない。
しかも店の中には大勢の女の子がいて、バイブなどのアダルトグッズを物色している。
目を疑った。
スペイン人ってオープンなんだな。
旧市街の歴史地区では教会にも入った。
あまりにも大きく、観光客も大勢いたので、最初はこれがサグラダファミリアかと思ったほどだ。
今日はもう陽が暮れかけているので、サグラダファミリアは明日に延期。
代わりにカサ・ミラとカサ・バトロを鑑賞。
やはりガウディは素晴らしい。
またお土産を衝動買いしそうになった。
危ない危ない。
夕食にはエリックの恋人、リンも加わった。
彼女は中国人なのだが、もうヨーロッパに何年も住んでいるせいか、とても中国人とは思えない。
身のこなしがヨーロッパ人のそれなのだ。
このレストランはカタロニア料理専門のお店だと説明された。
スペインとカタルニアとの関係はなかなか複雑で、エリックが時間をかけて丁寧に説明してくれた。
私にはどちらも同じなのだが、彼らにとっては重大問題らしい。
まあいずれにせよ、カタロニア料理は美味しかった。
トマト大好きな私とは相性がいい。
そのうちにさらに二人のスペイン人女性が加わった。
エリックのクラスメイトのアリアンナとアナだ。
アリアンナもかなり日本語ができる。
とても明るく、私の抱いていたスペイン人女性のイメージそのものだ。
どうしてスペインの女性はこんなにも魅力的なんだろう。
スペイン人はとてもフレンドリー。
エリックとアリアンナは楽しそうに笑いながらお互いの体を触りあっている。
だが隣にはエリックの恋人、リンがいるのだ。
それなのに別の女の子を抱きしめるエリック。
スペイン人にとってはごく普通の光景なのだろうが、私から見ればちょっと理解し難い。
それはリンも同じようだ。
だんだんリンの表情が険しくなってきた。
徐々に無口になり、我々の会話にも入ってこなくなった。
明らかに怒っている。
それなのにエリックはおかまいなしにアリアンナとベタベタしている。
リンがトイレに立った時にエリックにそれとなくさとしたのだが、彼には私が言わんとしていることが理解できないようだ。
「スペイン人にとってスキンシップはとても大事。
リンもそれはわかってくれている」
彼の言い分はこうだった。
リンの不機嫌さを察してか、アリアンナとアナは帰って行った。
だが、その後もリンの期限は治らない。
我々三人の会話もどことなくぎこちない。
居心地が悪かった。
リンの期限が悪いことを差し引いても、カタルーニャレストランでの会話は楽しかったので、気づけば11時を回っていた。
駅に預けた荷物を回収することが不可能になってしまった。
なんたる不覚。
そんな私をかわいそうに思ったのか、エリックとリンはファクたちの家を探すのを手伝ってくれた。
夜中に知らない街をさまようのは心細いので、彼らの好意はありがたかった。
だが、はたしてこの二人の関係はうまく行くのだろうか。
遠ざかる彼らの背中を眺めながら、ふと、そんなことを考えてしまった。
結局ファクの家のブザーを押した時には夜中の12:30を回っていた。
彼は寝ていたようだ。
申し訳ない。
マリアは夜勤で、明日の朝帰ってくるとか。
なんともハードスケジュールな二人だな。
とりあえず今夜は寝よう。