シエスタ

ポールとマリーはとてもフレンドリーだ。
それはそうだろう。
彼らはスペインからやってきたカウチサーファーだからだ。
何度も言うが、
私はラテンのノリが大好きだ。
私とは対極的だからだろう。
今日は彼らは嵐山周辺を散策するという。
昼前に出発した。
相変わらず暑い。
スペインの気温は日本よりもっと高いが、
湿度は低く、カラッとしているそうだ。
だから、日本のこの猛暑は彼らにはかなりこたえるらしい。
まずは竹林へ。
彼らは感激して、たくさん写真を撮っている。
さすがはラテン系。
リアクションも大きい。
激しく喜んでもらえると、
観光ガイドをするのも楽しくなってくる。
野々宮神社にも感激してくれた。
何の変哲もない小さな神社なのに。
化野へも足を伸ばした。
このコースはカウチサーファーには不評なのだが、
彼らなら気にいってくれるかもしれない。
炎天下を長距離歩く。
途中、落柿舎、二尊院、常寂光寺などを通り過ぎる。
ポールとマリーは、
「このコースはいい」、
としきりに言っていた。
珍しいタイプだ。
スペイン人なのに、
日本のわびさびが理解できるのかもしれない。
しかし、さすがに真夏日に長時間歩くと体力が消耗する。
コンビニで買い物をして、
桂川のほとりで昼食にすることにした。
私は疲労のため、食欲はなかったのだが、
何か食べておかないと体がもたない。
サラダとところてんを無理やり胃袋に詰め込んだ。
お腹がいっぱいになると、自然と眠たくなる。
まだ時間はたっぷりあったので、
私は金閣寺方面への観光を提案したのだが、
彼らが選んだ選択肢は昼寝。
そう、シエスタだ。
さすがはスペイン人。
シエスタは、普通は30分ほどの仮眠のはずなのだが、
我々は数時間も眠りこけてしまった。

目が覚めた時には、すでに陽が傾きかけていて、
暑さも幾分和らいでいたので、再び散策へ。
法輪寺をぶらぶらした後、
桂川沿いを歩く。
川と山しかない小さな道だが、
ポールとマリーはここでも感激してくれた。
そうこうしているうちに、嵐山の夏の風物詩、鵜飼いが始まった。
この鵜飼いも、カウチサーファーには意外とウケがよくない。
ちょっと心配だったのだが、
どうやら杞憂だったようだ。
「これはまさに芸術!」
「嵐山最高!」
彼らは鵜飼いを間近に見て大興奮。
連れて来て良かった。
テーマ : カウチサーフィン(Couch Surfing)
ジャンル : 旅行