「次」はあるのか?

(カウチサーフィンのステファンのプロフィール写真より)
カナダ人カウチサーファー、ステファンはスロースターターだ。
昼近くまで寝ている。
寝起きはボーッとしている彼だが、
親切にもチーズをはさんだパンを私のために焼いてくれた。
今日も嵐山周辺を自転車で回るらしい。
そういえば、昨日貸した自転車の鍵は、まだ返してもらってなかったっけ。
私の自転車をすっかり自分の物にしてしまっているステファン。
まあいいんですけどね。
昼前に出かけていった彼は、昼過ぎに帰ってきた。
早っ!
予定では、 「仁左衛門の湯」でのんびり湯船に浸かるはずだったのだが、
中に入れてもらえなかったらしい。
タトゥーのせいだ。
本来はやくざ者が温泉に入るのを防ぐために入れ墨の人の入浴禁止ルールが設定してあるはずだ。
ステファンのタトゥーはすねのところに小さく存在しているにすぎない。
人に威圧感を与えるものではない。
それなのに入浴禁止とは、少しオーバーな気がする。
これもルールだから仕方がないのかもしれないが。
ということで、私の家の風呂を貸してくれ、というステファン。
なんでも、彼は腰を痛めていて、
湯船にゆっくりと浸かって暖めてやる必要があるそうだ。
小一時間ほど入浴した後は昼寝。
しばらくして目が覚めた彼は、
「今日は誰か次のカウチサーファーが来るのか?」
と私に尋ねる。
どうやら、もう一泊私の家に泊まりたいようだ。
そんな彼の思惑はわかっていたのだが、あえて気づかないフリをした。
意地が悪いことはわかっている。
でも、私は疲れていたのだ。
マックスとデリアとの三日間は有意義なものだった。
だが、中身が濃すぎていささか疲れ切ってしまったのだ。
私には休養が必要だ。
ごめん、ステファン。
予定通り、今日でおしまい、ということにしておくれ。
そんな私の意図を察したのか、彼は荷物をバックパックに詰め始めた。
そして雨の中、再び祇園のホステルへと旅立っていった。
今回のカウチサーフィンは、なんとも中途半端なものに終わってしまった。
やはり一泊だけというのは短すぎる。
ほんとに仲良くなるには、2、3泊は欲しいところだ。
ステファンはけっして悪いカウチサーファーではない。
ただ、今回は縁がなかった、としか言いようがない。
彼は京都がとても気にいったために、
予定を延長して滞在していた。
そんな彼を追い出す形になってしまったのは、とても心苦しい。
なんとか罪滅ぼしをしたかったのだが、なかなか妙案が思い浮かばなかった。
仕方なく、かきピー(わさび味)を一袋あげた。
これで許しておくれ、ステファン。
テーマ : カウチサーフィン(Couch Surfing)
ジャンル : 旅行