アメリと貞子

今回のカウチサーフィンはショッキングな画像からスタートです。
フランスからやって来たシェヘラザードとそのお友達。

彼女たちがくれた「おみやげ」。
私が「ありがとう」と言う間もなく、彼女たちが包みを開けてしまいました。
あれよあれよという間に封は破られ、むしゃむしゃと食べられてしまいます。
それは俺にくれたんじゃなかったのかよ・・・

まず最初に向かった先は祇園。
舞妓さんもいて(たぶんニセモノ)、なかなか京都らしくていいですね。

安井金毘羅宮には長蛇の列ができていました。
この人たちは何を並んでいるのかというと・・・

もちろん「縁切り縁結びの碑」。
しかし、彼女たちはこれがなんのために存在するのか知っているのでしょうか。
それとも、世の中には、縁を切りたいと思っている人がこんなにも大勢いるということなのかな。

おそらく、八坂の塔にもっとも似合わない髪型。

本日のメインイベント、舞妓変身。
シェヘラザードは気合いが入ってます。

せっかくだからというので、オプション料金を払ってアルバムを作成することにしました。

シェヘラザードはさらに追加料金を払って、スタジオ撮影のほかに、和室での撮影にも挑戦します。

鬼気迫るシェヘラザード。
なんだか「リング」の貞子を思い出してしまいました。


シェヘラザードの友達が髪につけているのは「つつじ」の花びら。
この娘、とてもノリがいいから好きです。

いつもなら、フランス人のファッションセンスの良さには感心させられっぱなしなのですが、
今回はちょっと様子が違います。
なんだかとても違和感が・・・

フランス人って、芸者に対してこんなイメージを持ってるんですかね?

そして問題の冒頭の写真。
冗談にしても、ちょっとやりすぎだろ。

この後は清水寺へ。

フランス人に限らず、ヨーロッパ人の中には少し気取った人がいたりするのですが、この二人は違います。
めちゃめちゃ愉快な人たちでした。
こういう人と巡り合えると、「カウチサーフィンやっててよかったな」と心底思えます。
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シェヘラザードに対する第一印象は、正直言ってあまりよくありませんでした。
メールの文面はどこか投げやりでがさつ。
電話で話した感じもちょっとつっけんどん。
それに、かなり厚かましい。
通常、カウチサーファーには嵐山まで自力で来てもらうのですが、
シェヘラザードは当然のようにこんな要求をしてきました。
「私たち、京都に来るのは初めてなの。
どうやって嵐山まで行ったらいいかわからないから、京都駅まで迎えに来て!」
また、私の部屋に入るなり、
「あら、オレンジ! 1個ちょうだい」
そんな彼女たちの図々しさに、最初、私は戦々恐々としていました。
「こんな調子じゃあ、骨の髄までしゃぶられてしまう・・・」
舞妓体験では、あらかじめ予約しておいたのにもかかわらず、
お店に着いてから急きょプランを変更。
そのため、支店から本店へと移動しなければなりませんでした。
また、舞妓変身のスタジオでカメラマンに撮ってもらった写真が気に入らなかったようで、
グダグダとクレームをつける始末。
「あごのところにあるシワ、なんとかならないかしら。
この写真、なんか気に入らないのよね」
もちろん、間に立って通訳するのは私の役目なので、
冷や汗をかきっぱなしです。
こんなふうに、彼女たちには苦労させられましたが、どこか憎めないところがあります。
シェヘラザードを見てると、映画の「アメリ」を思い出してしまいました。
彼女がオドレイ・トトゥに似ているというわけではないのですが、
どこか通じるところがあるのです。
「キモかわいい」とでもいうのでしょうか。
それに、シェヘラザードはなんだか私の祖母にも似ています。
いや、彼女が老けているという意味ではないですよ。
真剣な顔して、ブツブツとぼやく様子が、なんともいえずかわいらしいのです。
一緒に何日間か過ごしているうちに、すっかり彼女たちのファンになってしまいました。
なんだか、カウチサーフィンを始めた最初の頃の、あの新鮮な気持ちがよみがえってきたような気がします。
考え方や文化の違いがあって、ちょっとぎくしゃくすることもあるけれど、
だからこそ楽しい。
シェヘラザードたちはある意味、もっとも理想的なゲストだったのかもしれません。
本当に楽しい時を過ごすことができました。
今度は彼女たちのホームグラウンド、パリで会うことになるのだろうか。
こわいような、楽しみなような・・・