カウチサーフィン(ドイツ、エマ)、(スペイン、アレハンドラ)
エマは今夜からは別のホストの家に泊まる。
聞けば、次のホストも京都市内の人だそうだ。
なぜ?
そんなに私の部屋の居心地が悪いのか?
エマ曰く、同じホストの家にあまり長く居候するのは気が引けるからだそうだ。
そんな遠慮することないのに・・・
たった3泊しかしてないじゃないか。
アレハンドラを見ろ。
もうすでに1週間も滞在しているぞ。
しかもまだ私の家に居座るつもりだ。
だが、もうすでに決定事項なので仕方が無い。
今日は延期していた苔寺(西芳寺)観光の日。
天気も良く、とても気持ちの良い朝だ。
苔寺はそんなに遠くないので歩いて行くことにした。
私は嵐山に住んで2年になるが、
恥ずかしながら、まだ一度も苔寺(西芳寺)に行ったことが無い。
松尾大社からは標識がこまめに出ていて、
迷うことなくたどり着くことができた。


この場所は京都の西の外れで、
金閣寺などと比べるとマイナーな観光地なのでなめてかかっていた。
だが、私の予想とは大きく異なり、
この苔寺(西芳寺)というのはものすごーく観光地化された場所だった。
いかにも、といった感じの食堂や土産物屋、
それにバスターミナルまである。
もっと驚いたのは、観光客がうじゃうじゃいるということだ。
こんなにもメジャーな所だったのか。
苔寺(西芳寺)の入り口で葉書を見せて中に入る。
エマが
「マサト、ここは私に払わせて」
と言うのでお言葉に甘えようとしたのだが、
彼女はなかなかお金を出そうとしない。
後ろには大勢の人が並んでいる。
仕方なく自分で払った。
3000円也。
残念ながら、建物の中は写真撮影禁止。
建物の中には、小さな文机と硯一式がたくさん並べられていた。
おおーっ。
書道の道具を見るのは何十年ぶりだろう。
だが、残念ながら、今日は写経はナシ。
読経だけだ。
お坊さんと一緒に般若心経を声を出して読む。
なんだか恥ずかしいぞ。
エマはどうしてるのかな?
彼女の方をちらっと見ると、
苦笑いをして肩をすぼめていた。
そりゃ読めないわな。
私は般若心経はなんとか読むことができたのだが、
その次の座禅和讃はどう読めばいいのかわからなかった。
それは他の人も同じようで、みんな沈黙していた。
なんだかよくわからない儀式だったが、
苔寺の庭園を散策するためにはこの試練を乗り越えねばならない。
読経の後は木のお札に自分の願い事を筆で書いた。
エマは
「世界平和」
と漢字で書いていた。
スケールがデカい。
私は、
「カウチサーフィンでヨーロッパ旅行!」。
自分のことしか考えていないことがバレバレですね。
そしていよいと苔寺(西芳寺)の庭園の散策の時間。
今日は祝日ということもあって、かなりの参拝客がいる。
狭い道を大勢で歩かなくてはならないので、写真を撮るのが難しい。
それでもエマは感激していた。
よかった。
3000円も払ったかいがあった。












予定ではこの後、アレハンドラと合流する約束だったのだが、
この苔寺(西芳寺)の周辺には他にも魅力的なスポットがたくさんある。
せっかくここまで来て見ずに帰るのはあまりにももったいない。
そこでアレハンドラに電話して、予定をキャンセルした。
意外にも、彼女はおとなしく納得してくれた。
ちょっとは大人になったようだ。
苔寺(西芳寺)の次は「竹の寺」で有名な地蔵院へと向かった。
おおっ!
この景色は見たことがあるぞ。
よくガイドブックに載っている写真はこれだったのか。

またもやエマは大感激している。
このまま帰るのは惜しいので、抹茶を飲んでゆっくりしたい、と言う。
しかも、今度こそ彼女のおごりだ。
抹茶にはお菓子がついていた。
「竹の寺」らしく、竹の形をしたお菓子だ。

庭はとても静かで、ゆったりと落ち着いた時間が流れていた・・・・
と言いたいのだが、実際には蚊が多く、何箇所か刺されてしまった。
お次は鈴虫寺・・・・
のはずだったのだが、信じられないくらいの長蛇の列。
エマには午後から約束があったので、ここは断念せざるをえない。


その後、月読寺、松尾大社と見学して回った。

私の家の近所に、こんなにも素晴らしい場所があったのか。
いい発見をした。
ありがとうエマ。
家に帰るや否や、エマはあわただしく出発の準備を始めた。
JRの嵯峨嵐山駅までの行き方がわからないと言うので、送っていくことにした。
なぜか、エマの重いリュックを私が担ぐ羽目に・・・
祝日の嵐山は観光客でごったがえしている。
その中を50リットルのバックパックを担いで歩くのはかなり骨の折れる作業だ。
まあ、これもヨーロッパ旅行のトレーニングだと思えばいいか。
そしていよいよ嵯峨嵐山駅。
エマともお別れだ。
彼女とはたった3泊だけの付き合いだったが、
とても濃い時間を過ごせた。
エマも同じような気持ちらしく、涙ぐんでいる。
つられて、こっちまで泣きそうになってくる。
心配しなくても、数週間後には私はドイツにいる(はず?)。
またすぐに会えるさ。
テーマ : カウチサーフィン(Couch Surfing)
ジャンル : 旅行