抱いてください

(ルーマニア人カウチサーファー、ラ・ルカ。本文とは関係ありません。)

(イギリス人カウチサーファーのイヴェッタ。本文とは関係ありません。)
カウチサーフィンは健全な交流の場だ。
だが、若い男女が一つ屋根の下で過ごせば、
時には過ちも起きるにちがいない。
この広い世界には大勢のカウチサーファーがいるのだ。
なかには破廉恥な行為を行っている人もいることだろう。
でも、私には遠い世界のことだ。
今、私は日本人の女の子をホストしている。
だが、ついに昨日は彼女と顔を会わすことはなかった。
私は朝早くに出かけたし、
夜中に帰宅した時には、すでに彼女は部屋の扉をピシャリと閉じていたからだ。
「カウチサーフィンって、いったいなんなんだろう」
そんな哲学的なことを考えながら眠りについた。
すーっ。
扉が開く気配がして目が覚めた。
おそらくマキさんがトイレに行くのだろう。
と、思っていたのだが、彼女は私の傍で立ち止まった。
何かをためらっているような雰囲気だ。
「いけない、マキさん。
カウチサーフィンはそんなことをする場じゃない!
それに僕たちは知り合ってまだ数日しか経ってないじゃないか。」
マキさんが私の体を揺さぶる。
女性に恥をかかせるわけにはいかない。
ここまできたら、もう覚悟を決めるしかない。
「わかりました、マキさん。
あなたの気持ちに応えさせてもらいます。」
私は意を決して目を開けた。
そこにはマキさんが立っていた。
だが、パジャマ姿ではない。
もちろん下着姿でもない。
手袋にマフラー、帽子、それに防寒着までガッチリと着こんだ完全武装だ。
「あのー、私これから朝の散歩に行ってきます。
1時間くらいで戻るので、玄関の鍵は開けたままでもいいですよね?」
まだ夜も明けきらない早朝に彼女は出かけていった。
早朝の嵐山は清々しくて、オーラを感じるそうだ。
わざわざ私に声をかけてから出ていくとは、
なんて律儀な子なんだろう。
というより、黙って出て行けよ!
こっちは寝てるのに、わざわざ起こさなくても・・・。
それにしても、この昂ぶった気持ちをどこへぶつければいいのだろう。
こんな不埒なことを考えている私には、カウチサーフィンをする資格なんてないのかな。
テーマ : カウチサーフィン(Couch Surfing)
ジャンル : 旅行