子連れサーファー

デンマーク人の家族。
左からニコラス、ヴィクター、カリナ。
ヴィクターはこの竹の棒が気に入ったらしく、
ずっと手放しませんでした。

彼らのくれたおみやげ、デンマーク・コペンハーゲンの絵葉書とマグネット。

ヴィクター直筆の絵葉書。

ヴィクターのくれたデンマークのお菓子。

今回のカウチサーフィンはデンマーク人の親子です。
ニコラスは恰幅の良い男性で、私とほぼ同世代。
というわけで親近感がわいたのでしょうか、彼はひっきりなしに私に話しかけてきます。
レニーやミッシェルなど、最近おしゃべりな男性カウチサーファーが続きます。
ヨーロッパ人は本当に話好きなんだな。
カリナはヨーロッパの上流階級を思わせる、落ち着いた感じの女性。
ちょっと気取った雰囲気の彼女は、最初はとっつきにくかったです。
そんなカリナはデンマークで美容室を経営しています。
ホームページを見せてもらいましたが、なかなか本格的。
彼女は職業柄、おしゃれに敏感でなくてはなりません。
鼻には金のピアスなんかつけちゃったりしてます。
自分の母親が鼻に金のピアスつけてたらいやだなあ。
ヴィクターは7歳の男の子。
そういえば子供をホストするのってこれが初めてだな。
どうやって接したらいいのだろう。
ちょっととまどってしまう。
ヴィクターはちょっと変わった男の子。
私が話しかけても答えてくれません。
それに、私の存在などまるで眼中にないかのような振る舞いをします。
無視かよ。
嫌われてるのかな、俺・・・
このようにヴィクターと私の間は、最初こそ気まずいものだったのですが、
2日目くらいから徐々に私になついてくれるようになりました。
彼は竹の棒がひどく気に入った様子。
これは別のカウチサーファーが鞍馬山登山の時に使った杖なのですが、
その後、私の部屋に放置されていたのです。
私が持っていてもしょうがないので、
「そんなにその棒が好きならあげるよ、ヴィクター。」
と言うと彼は大喜び。
竹の棒を振り回して、そこらじゅうをたたいてまわっています。
頼むからガラス割ったりしないでくれよー。
これだけドタバタしてると、きっと近所から苦情がくるだろうなー。
小さな子供をホストすると、こんなところで気苦労が生じます。
ニコラス一家はおみやげにコペンハーゲンのマグネットと絵葉書をくれました。
絵葉書はヴィクターの直筆で書かれています。
そこには、2人の人間の絵が描かれていて、
「Victor-Masato We are holding hands」
との文字が。
なんだか心温まるおみやげです。
でもね、ヴィクター。
私が握手しようとしたら、走って逃げて行っちゃったじゃないか、君は。
ヴィクターはこの竹の棒を手に入れたことがよほどうれしかったらしく、
私に彼のお菓子をくれました。
子供にとってお菓子はとても貴重なものです。
それを私にわけてくれるというのですから、これはじっくりと味わって食べなくちゃね。
しかし、です。
私がそのお菓子を食べ終わる度にヴィクターはさらにおかわりをくれます。
「はい。」
「はい。」
いや、もういいよ、ヴィクター。
君の気持はよくわかったから。
竹の棒を手に入れて大喜びのヴィクターを見た母親のカリナは涙ぐんでいます。
俺、そんなたいそうな事したかなあ?
ニコラスとカリナの旅行は、すべてがヴィクターを中心に組み立てられています。
京都に来てもお寺なぞには目もくれず、
嵐山モンキーパークや東映太秦映画村などに直行します。
大阪では海遊館(水族館)に寄り、奈良では鹿と遊ぶ。
彼らを見ていると、子を思う親の気持ちって偉大だな、と感心せざるをえません。
ヴィクターってちょっと変わった子だなあ、と思っていたのですが、
実は彼には発達障害があるのだそうです。
といっても、見た目にはほとんどわかりません。
ちょっとシャイかな?という程度です。
しかしお医者さんの下した診断は、
「この子には普通学級は無理」
というものでした。
それを機に彼ら親子は旅に出ることを決意しました。
ヴィクターにもっと刺激を与えてやれば、彼の症状は改善するかもしれない、
という気持ちからです。
なので彼らは普通にホテルに泊るのではなく、カウチサーフィンを選びました。
毎日異なった人と出会うことで、ヴィクターにいろんな経験を積ませようというのです。
できればヴィクターと同じ年頃の子どものいる家に泊りたい。
でも、現実はなかなか難しい。
ただでさえカウチサーフィンのホストの少ない日本。
ましてや子供のいる家族でカウチサーファーを受け入れている家庭なんてほとんどないのが現状です。
それに加えて現在、日本はゴールデンウィークの真っただ中。
実は明日泊る場所もまだ確保できていないのです。
おいおい、家族を路頭に迷わせるつもりか、ニコラス?
テーマ : カウチサーフィン(Couch Surfing)
ジャンル : 旅行