
プラハ市内にあるカメラ屋の兄ちゃん。
チェスキークルムロフでカメラを失くしてしまったため、新しい物を買わなくてはならなくなった。

失くしたカメラとまったく同じ機種を手に入れることができ、私は有頂天になってしまった。
新しく手に入れたカメラをさっそく使ってみたくて、店員の兄ちゃんと記念撮影。
きっとこの店員さん、私のことを「ヘンな日本人」と思ったことだろう。

日本製のカメラは人気があるので、世界中どこででも入手できるんじゃないだろうか。

チェスキークルムロフで撮った写真はすべて失ってしまった。
残ったのはこの絵葉書のみ。
とほほ・・・

プラハでのホスト、エヴァとマニュ。
おとぎ話のような国、チェコで出会った美しいカップル。

調子に乗って、エヴァと肩なんて組んじゃいました。
ごめんね、マニュ。



プラハは本当に美しい。
同じ街なのに、昼と夜とではまったく別の顔になる。
昼間はため息がでるが、夜には涙が出そうになる。
今度はかわいい彼女と一緒にここを訪れたいな。
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チェスキークルムロフ
朝、暗いうちにトラムの停留所に向かう。
通りを歩いている人はほとんどいないので、迷っても道をたずねることができそうにない。
なんとか自力でプラハ駅まで行かねば。
幸いなことに、昨日の夜、エヴァが丁寧なメモを書いておいてくれたので、それを頼りに進む。
大都市間の移動は楽だ。
情報も充実していてわかりやすい。
しかし、市内の細かい場所を移動するのは骨が折れる。
観光地から外れた場所では、英語の表示やアナウンスは望めない。
バスの運転手は外国人の対応に慣れていない。
カウチサーフィンのホストは都市から離れた所に住んでいるケースが多く、
メインステーションから彼らの家に行くのに苦労することがある。
だが、それだけ地元の人の普通の暮らしを垣間見ることもできるのだ。
ここがカウチサーフィンの最大のメリットと言えるかもしれない。
とにかくプラハ本駅にはたどり着けた。
チェスキークルムロフ行きの電車の時間はまだ先だ。
電車の中で食べる食料を買い込んでおこう。
北欧諸国を旅した後は、チェコの物価はとても安く感じる。
値段を気にせずにバンバン買えるのは気持ちいい。
チェスキークルムロフ行きの電車の車掌はとて厳しい女性だった。
私のユーレイルパスを隅々まで点検し、
「旅程欄の記入が無いじゃないの!」と大声でどなる。
なにもそんなに怒らなくったっていいじゃないかよ。
私が、「後で記入する」と言うと
その車掌はボールペンを差し出し、「今すぐに書け」と言う。
ここまで厳しい人は初めてだ。
だが、私が目的地の欄にチェスキークルムロフと記入すると、彼女の表情が一変した。
「Lovely!」
とひとこと言った後、微笑みを残して立ち去っていった。
今日はいい日になりそうな予感がする。
車内で食事を済ませ、ウトウトしていたら突然、コンパートメントの扉が開いた。
腰に大型の拳銃をぶら下げ、威圧的な制服に身を包んだいかつい兄さんたちが二人、ドカドカと踏み込んできた。
なんだ、なんだ?!
ちょっと本気で怖いんですけど。
もしかして俺、拳銃で撃たれちゃうの?
あまりに急な事だったので狼狽したが、
「パスポートコントロール」と言う言葉が聞こえたのでようやく事態が飲み込めた。
日本では警察官と接する事など滅多にないので緊張する。
見た目は強面の警察官だったが、意外といい奴だった。
私のとなりにドカッと腰を下ろし、いろいろと話しかけてくる。
電車が到着すると、親切にも、
「チェスキークロムロフに行くのか? それなら乗り換えは二番ホームだ」と教えてくれたりもした。
結果的には間違っていたけれど。
乗り換えのために立ち寄ったチェスケーブディェヨヴィツェではかなり混乱した。
定刻になっても列車は来ないし、やっと来たと思ったら、「これは回送車だ。乗るな!」と言われた。
まあ、他にも観光客は大勢いたので、彼らの行動を真似していたらなんとかなるだろう。
チェスキークルムロフ行きの電車に乗ったあとも油断はできない。
途中で全員降ろされた。
英語での説明は無し。
わけのわからないまま他の乗客の後ろにくっついていく。
それでもまあ、とにかくチェスキークルムロフには着いた。
この駅、ものすごーく さびれている。
あたりにはほんとに何もない。
本当にこんな所が世界遺産なのか。
観光客はそれほど来ないのだろうか。
道を歩いていると、一人の老人が「こっちだ」と手招きする。
彼は英語ができなかったが、どうやらチェスキークルムロフまで連れていってくれるらしい。
ラッキー。
その老人は、ブディェヨヴィッツェ門の所では写真まで撮ってくれた。
彼は街を歩きながらあちこちを指差す。
何を言ってるのかまったくわからないが、おそらく「ここが写真を撮るポイントだ」とでも言ってるのだろう。
「Oh! beautiful!」と私が言うと、彼はうれしそうにうなづく。
老人はその後もあちこちに連れていってくれた。
結果的には遠まわりになったのだが、今日はたっぷり時間がある。
ここは地元の人のガイドに素直に従おう。
彼が「今夜はここに泊まるのか?」と聞いてきたので、
「プラハに宿がある」と答えたら寂しそうな表情になった。
きっと自慢の街を、もっとじっくりと見てもらいたかったのだろう。
老人と別れ、チェスキークルムロフ城を目指す。
ここの塔からの眺めは格別だと聞いたからだ。
狭いらせん階段を登り切ると、そこには息を呑む光景が広がっていた。
寒かったが、すぐに降りるのはもったいなかったのでしばらく塔の頂上でボーッとした。
たまにはこういうスローな日もいいものだ。
チェスキークルムロフは小さな町だが、ずっといても飽きることがない。
ここでゆっくりランチを食べる予定だったが、とてもそんなヒマはなかった。
時間があっという間に過ぎる。
まばたきするのも惜しい。
街全体が美し過ぎる。
列車が来るのを待つ間、チェスキークルムロフの駅前のスーパーに立ち寄る。
昼食を探していたのだがロクな物がない。
パンばっかり。
ふとラーメンが食べたくなった。
日本に帰ったらたらふく食べることにしよう。
チェスケーブディェヨヴィツェで乗り換える時に気付いた。
カメラがない。
どこで失くしたんだろう。
電車の中か。
昨日の分までの写真はiPadに入れてある。
だが、せっかくチェスキークルムロフで撮った写真が失われてしまった。
残ったのは絵葉書のみ。
まあいいか。
また今度来よう。
この街は気に入ったし。
プラハで日本製のカメラ買えるかなあ。
出来れば同じ型のがいいな。
プラハに向かう列車で、座席を探してウロウロしていると、
車掌に「そこは一等車だ」と言われた。
だが、私はユーレイルパスを所持しているので、一等車も乗り放題なのだ。
「わかってる」と言って座ろうとすると、チケットの提示を求められた。
その車掌は「お前みたいな若造が一等車に乗るなんて100年早いわ」とでも言いたげな表情をしている。
私はそんなにみすぼらしい格好をしているのだろうか。
プラハに着いてすぐにマニュに電話した。
だが、彼らはチェコに来てまだ二ヶ月。
日本製のカメラを買える場所は知らないらしい。
プラハの駅構内には電気屋はなさそうだ。
市の中心部に行くしかないか。
時刻は七時を回っている。
まだ開いているだろうか。
急いで繁華街へ向かっていると、「OLYMPUS」という看板が目に飛び込んで来た。
私の失ったカメラはNikon。
出来れば同じカメラが良かったのだが、この際仕方が無い。
日本製のカメラならどこのでも問題はないだろう。
ん?
よく見ると、店内にはOLYMPUSだけでなく、Nikonのカメラも陳列してあるではないか。
しかも私の失くしたカメラと全く同じ機種もある。
これはまさに天の恵みだ。
問題は値段。
日本で買った時の値段よりかなり高い気がする。
悩んだ。
だが、あと一ヶ月以上もカメラ無しで旅行するわけにはいかない。
携帯電話やiPadのカメラでは心もとない。
店員の説明によると、EUから出国するときにある程度の税金が還付されるそうだ。
それを考慮に入れればそんなに悪い買い物ではない。
店員の兄ちゃんはとても親切で、もう夜も遅いというのに、カメラのセッティングをやってくれた。
もちろん日本語モードにしてくれている。
ストラップも付けてくれ、おまけになんと三脚までくれた。
使い慣れたカメラを再び手に入れることが出来た私はすっかり舞い上がってしまい、
店員の兄ちゃんと記念撮影までしてしまった。
聞くと、この店は普段は6時半には閉めるそうだ。
私はツいてる。
これからは絶対にカメラを肌身離さず持っていよう。
しばらくしてエヴァとマニュが迎えに来てくれた。
マニュの同僚たちのたまり場のパブに連れていってくれるそうだ。
残念ながらそのパブはチェコのものではなくメキシカン。
まあいいか。
ところが、そのパブにはスナック程度しかなく、本格的な料理は食べられない。
そこでいったんそのパブを出て、別のレストランに連れていってもらった。
明日はチェコの祝日。
そのため、どこのレストランも満席で、マニュとエヴァはあちこち探しまわってくれた。
ようやく見つかったレストランは典型的なチェコ料理の店ではなく、クネドリーキは置いていない。
残念だが、これ以上彼らの手をわずらわせるわけにもいくまい。
豚肉の料理とビールを頼んだ。
彼らはすでに夕食を済ませているらしい。
私に付き合ってくれたのか。
申し訳ない。
その後くだんのメキシカンパブに戻ったのだが、店内は満席でマニュの同僚たちとは離れた席になってしまった。
マニュには悪いことをした。
店内は騒々しく、大声で怒鳴らなければ隣の人と会話もできない。
私はあまりこういう場所は好きではないのだが、ホストの意向には逆らいたくない。
ここがカウチサーフィンのつらいところか。
隣に座ったカップルが話しかけて来た。
彼らも旅行者で、ウルグアイから来たらしい。
なんと、横浜に住んでいたこともあるとか。
彼はよくしゃべる男で、なかなか話が止まらない。
二杯目のビールで酔いがまわってきた私は眠くて仕方がない。
早く帰っって寝たいなあ。
明日は4時半起きなのだから。
それにしてもプラハの路面電車は不便だ。
車内でチケットを買うことはできない。
全ての停留所に自動券売機があるわけでもない。
おまけに自動券売機はコインしか受け付けない。
しかもコインが古かったりすると機械が受け取ってくれなかったりする。
エヴァが携帯電話でeチケットを買ってくれなかったら、無賃乗車するしかないところだった。
彼らのアパートに帰ってからも出発の準備をしなければならない私は、結局2時すぎに寝た。
三時間も寝れないのか。
やっぱり2カ月で22カ国すべてを回るのは無理があるのかなあ。
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