セヴェリナ(ロシア)、バス(オランダ)、(オーストラリア)

先入観念とはいかに恐ろしいものか。
今回のカウチサーフィンではその事をいやというほど思い知らされた。
最初にセヴェリナからカウチリクエストをもらったとき、
私はセヴェリナは男性の方だと思っていた。
彼らのカウチサーフィンのプロフィールには写真が一枚しかなく、
その写真には男性と女性の二人が写っていた。
セヴェリナのプロフィールにはロシアで生まれ育った、とあったので、
てっきり白人男性の方がセヴェリナだと思ったのだ。
だが違った。
セヴェリナは黒人女性の方だった。
彼女の両親はアフリカのケニア出身。
その後ロシアに渡り、セヴェリナはそこで生まれ、暮らした。
白人男性の名はバス。
彼はオランダ人だ。
そして現在、二人はオーストラリアのシドニーで暮らしている。
その事実関係を知った後も、私の思い込みを修正するのは容易ではなかった。
黒人女性=ロシア人
どうしてもこの関係がしっくりこない。
この私の先入観のせいで、セヴェリナには不愉快な思いをさせてしまったかもしれない。
一緒に夕食をした時のことだ。
メニューにストロガノフがあったので、つい、バスに向かって
「バス、君向けのロシア料理があるよ」
と言ってしまったのだ。
ロシア人はセヴェリナの方なのに・・・
私は、自分自身のことを人種差別などしない人間だと思っていた。
だが、今回のカウチサーフィンでは、いろいろと考えさせられることが多かった。
私の思考パターンの節々に、黒人を特別視している傾向が見受けられるのだ。
セヴェリナはとても美人で、頭もいい。
黒人にありがちな、独特の体臭も彼女からは感じられない。
そのことに対する私の正直な感想は、
「おっ! 黒人の割には・・・」
というものだった。
カウチサーフィンを始める前は、私は外国人と接したことはほとんどなかった。
周りには日本人しかいなかった。
もちろん日本国内にもさまざまな問題は存在する。
アイヌ民族や在日朝鮮人など。
でも、それらは自分には関係の無い、遠い世界の話だと思ってきた。
カウチサーフィンを始めて、世界各国の人と知り合うようになってから思うのは、
「この世界には実に多様な人間が存在するんだな」
ということだ。
中には、日本の常識がまったく通じない人もいて、
不愉快な思いもした。
逆に、私が相手に失礼な振る舞いをしたこともあったかもしれない。
でも、そういう点もすべてひっくるめて、カウチサーフィンは面白いと思う。
これまでは主に欧米からのカウチリクエストが多かった。
最近では、東南アジアのカウチサーファーからもカウチリクエストが届くようになった。
もっといろいろな国の人と知り合いたい。
アフリカとか。
話を今回のカウチサーフィンに戻そう。
セヴェリナとバスからのカウチリクエストはシンプルなものだった。
「コピペっぽいな」
というのが私の第一印象だ。
彼らのカウチサーフィンのプロフィール欄もそっけない。
正直言って、あまり彼らに期待していなかった。
だが、実際に会ってみると、意外に彼らはいい人たちだ。
とてもおだやかな性格で、それでいて会話も弾む。
彼らの英語もとても理解しやすい。
セヴェリナとバスとは2回、一緒に夕食を食べたのだが、
2回とも彼らが支払いをもってくれた。
思えば、こういう律儀なカウチサーファーは久しぶりだ。
彼らはオーストラリアのシドニーに住んでいる。
近いうちに彼らと再会できたらいいな。
テーマ : カウチサーフィン(Couch Surfing)
ジャンル : 旅行