アフリカより愛をこめて

(ジュリエット(ブルキナファソ))
その後も、モニカとのメールのやり取りが何度かあった。
モニカって誰?
という人は次の記事を読んでください。
話の流れが見えなくなるおそれがあります。
私を連れて逃げてっ!
「Dear マサト
そちらの調子はどう?
全てが順調でありますように。
こちらは最悪です。
状況はますます悪化しているわ。
この難民キャンプは、まるで監獄。
毎日大勢の人が亡くなるの。
マサト、あなたにお願いがあるの。
私をここから連れ出して!
平和で豊かなあなたの国であなたと一緒に暮らしたいの。
このまま難民キャンプにいたら、私の命は長くはないわ。
毎日体が衰弱していくのが自分でもわかるの。
こんなところで死にたくない!」
おいおいおいおいおいおい!!!!!
なんなんだいきなりこの展開。
こんなのカウチサーフィンじゃないぞ。
ディープすぎる。
モニカのメールはまだ続きます。
「私のお願いが突飛すぎるのはわかってるわ。
でも安心して。
あなたには決して迷惑をかけないから。
私の父がリベリア政府の高官だったという話はしたわよね。
実は、父は生前、莫大な資産をヨーロッパの銀行に保管していたの。
USドルに換算したら、$6.6 million くらいになるわ。」
$6.6 million !
っていったい日本円にしたらいくらになるんだ?
額が大きすぎてイメージがわかないんだけど。
モニカのメールはさらに続きます。
「前にも話した通り、私の家族は全員殺されたから、
この財産を相続するのは私一人。
でも、問題が一つあるの。
私の家族を殺した反乱軍の兵士たちも、当然この財産のことを狙ってるわ。
連中は今でも私のことを探してるはずよ。
だから私はうかつにはここを動けないの。
そこでマサト、あなたにお願いがあるの。
私の代わりに、ヨーロッパの銀行から資金を移動してほしいの。
反乱軍の連中も、日本にまでは手が出せないわ。
そしてもう一つお願いがあるの。
私は今、国連に難民保護申請をしているの。
それによると、私はどこでも好きな国での定住権を得られるらしいの。
私は、この地獄のようなアフリカから遠く離れた、平和な国・日本で暮らしたい。
でも、そのためには、日本人の身元引受人が必要なの。
マサト、あなたにそれをお願いできないかしら。
もちろん、それ相応のお礼はするわ。」
なんだか話の展開が急すぎて、
私にはついていくことができません。
難民保護の身元引受人?
ヨーロッパの銀行から資金の移動?
そんなこと私にできるのだろうか?
「大丈夫よマサト。
難しいことは何も無いわ。
あなたはただ、係の人の指図に従えばいいだけ。
私はあなたを信頼して、全ての情報をさらけだしたわ。
だから、これだけは約束して。
このことは絶対に他の誰にも言わないで。
もし、このことが反乱軍の連中に知れたら、私の命はないわ。
いいこと?
絶対に誰にも言わないで! 」
そんなこと言われても・・・
もうブログに書いちゃったよ。
メールの最後には、連絡先の電話番号が書かれていた。
あまりの事の重大さに、
しばらく私は悩んだ。
と、そこへ、またアフリカからメールが届いた。
モニカからではない。
今度はブルキナファソのジュリエットからだ。
「私の父は生前、石油会社を経営していて・・・
莫大な遺産を私に残して・・・
あなたにも相応のお礼はするわ・・・・」
あれ?
デ・ジャ・ブか?
鈍い私も、さすがに気付いた。
その時、私のところに泊まっていたカウチサーファーに事情を説明した。
彼女はクスクス笑いながらこう言う。
「電話してみれば?
ハリウッド映画のようなスリリングな経験ができるかもよ?
ICPO(国際刑事警察機構)やFBI、もしかしたらCIAとかも出てくるかもね。」
そうなのだ。
これは欧米では有名な詐欺の手口らしい。
そして、モニカと何度もメールのやり取りをした私は、
「マヌケでお人よしな日本人」として、
詐欺師のカモのリストに登録されてしまったようだ。
今も毎日、英文の詐欺メールが届く。
「アフリカで超デカいダイヤモンド鉱山を見つけたんだが、一口のらないか?」
「若くてセクシーな黒人女性に興味はない?」
「リビアから脱出してきたんだが、政府の隠し資金が・・・」
どうでもいいんだが、このメール、
ウイルスとか仕込んでいないだろうな。
テーマ : カウチサーフィン(Couch Surfing)
ジャンル : 旅行